【ツーマン前哨戦 対談】圭[BAROQUE] × 都啓一[Rayflower]、「何も宿っていない音楽には意味がない」
■もしRayflowerに何かあった時に
■僕が一番の被害者になっていい
──BAROQUEというバンドもいろんな変化を経て今、2人体制になったと思います。長い付き合いである圭さんと怜さんは、「“言わなくても分かる”部分もありつつ大喧嘩も経て、しっかりと考えを伝え合ういい状態になった」と前回の対談で怜さんがお話されていました。圭さんからご覧になって、バンドの今の状況はどうですか?
圭:僕が中学3年生ぐらいの時、怜が高2年ぐらいの時に出会って。やっぱり、これだけ付き合いが長いといろいろなこと染みついているというか、もうしゃべらなくても良くなってくるというか。お互いのツボとかがメチャクチャあるから、何を言ったら喧嘩になるかとかも分かるんですよ。
都:うん、分かるね(笑)。
圭:そうすると争いを避けるようになっていくんですね。別に仲が悪いわけじゃないですけど、プライベートで僕ら2人だけで会う機会は減った。でも、ぶつかることを怖がっていると、本当に距離が出来てしまう。若い頃は2人でしゃべっていたことが、誰か通して話をするようになると、曲がって伝わったりもする。それでいつの間にかに心が離れたり……いろんな時期がありました。やっぱり、“言わないといけないところ”もあるんです。僕らは2人だけなので、全てがそこからスタートするわけで。たとえば、サポートミュージシャンを迎え入れることって、僕らの家に招待するようなものなので、家の状態が殺伐としてたら、空気も音も殺伐としたものにしかならないんですよ。僕ら2人がお互いらしくいられる状態を作っておくことが一番大切なんです。それには努力も必要なのかな?と思ってますね。だから、言いづらいことも言って。ぶつかったら1時間でも2時間でも話し合う。そこに愛があればいいのかなと思ってますけどね。
▲都啓一 [Rayflower] |
圭:2人の場合、どちらかが気を遣ってるケースも多いんじゃないですか? BAROQUEは年上の怜が、たぶんいろいろ気を遣ってくれてますから(笑)。
都:ははは。2人って、何かあった時に相談するメンバーが他にいないから、すごいよね。Rayflowerは5人だから、「ちょっとこれ、やりたくないな」と1人が言ったとしたら他のメンバーに相談できる。そこで、「どう思う? やっぱりこれキツいかな?」「いや、キツいんじゃないですか?」という意見を参考にできるし。その相談相手が、一緒にステージに立ってないスタッフだとまた違うでしょ?
圭:そうですね。BAROQUEの場合は、どちらかと言うと僕のほうが何かを提案したり作ったりすることが多いんですね。基本的に彼は、すごくイヤなことに対しては「NO」を言うんですけど、その度合いが分からない時もあって。内心ちょっと微妙だと思ってるけど「いいよ」と言ってる可能性もあるじゃないですか? それは僕、すごく気にしますね。その状態でやっても上手くいかないですから。結構、スタッフにも聞きますよ「あの話、怜は大丈夫そうだった?」みたいに(笑)。
都:分かる。「大丈夫だと思いますよ」というリアクションだった時は、「本当かな?」と思ったりね(笑)。その時に「いいよ」と言ったにもかかわらず、1週間くらいに「やっぱりあれさぁ……」と言われたとしたら、「じゃあ、最初から“NO”って言ってくれよ!」って思っちゃうからね(笑)。Rayflowerは大人やから、それを言わないのでラクなんだけども(笑)。ちょっと語弊があるかもしれないけど、もし何かあった時に僕は、Rayflowerの中で一番の被害者になっていいと思ってるんですよ。俺が抱えればいいっていう想いで、ずっとやってる。その覚悟みたいなものはメンバーに感じてもらってるかもしれないですね。
圭:分かります。だから、最後に信じてもらえるかですよね。信じてくれるんだったらやろうと。
都:これはいい話やな~、ヤバイな(笑)! そういう部分って音に乗るし、プレイに影響する。音楽的な方向性がどうとかいうよりも、そこが上手くいかないとね。
▲都啓一 [Rayflower] / <Rayflower presents Night which GLORIOUS>2017年3月22日@LIQUIDROOM ebisu |
都:そこは裏切りたくないですね。そのためにも僕の場合、相談事や連絡事項はメールやLINEで済まさないようにして、だいたい電話を掛けますね。話さないと伝わらないことが多いので。
圭:たしかに文面だけだと、ニュアンスが分からないですもんね。すごく冷たい文に読めたりもするし。
都:そうそう。メンバーだけのグループLINEがあるんだけど、「明日は〇時集合です」ぐらいの連絡はそこで伝えればいいんですよ。でも例えば、「セットリストを考えました。これどう?」という提案はまずそこに出して、「あ、ここはちょっと」というやり取りになったら、すぐに電話するんだけど、5人だとちょっと大変かな。全員に電話するから(笑)。
圭:素晴らしいですね!
都:そこはちゃんとやらないとね。たとえば、ギタリストとかベーシストはチューニング違いとかで楽器の持ち替えもあるから、そういう流れを意識してのセットリスト作りもあるし。それもこれまでにいろいろと経験してきたからかな(笑)。逆に言うと、連絡がないと「大丈夫かな?」って不安になるんですよ。だから、ツアーを回ってる時が一番いい。フラットに付き合えて、すぐ話ができるでしょ。普通に5人でご飯も食べに行くし、「今日はちょっとやめとくわ」「分かった」みたいな感じで踏み込まないので。前々回から本数が多いツアーを回るようになったんだけども、ツアーから帰ってきて「もうツアーはええわ」となるメンバーがいるかもって、結構不安やったのね。
圭:ツアーって諸刃の剣なところがありますもんね。長いと特に。
都:そうそう。だけど、メンバーから「まだまだもっと回りたい」という声が出たから、「あ、これは上手く行ってる」と感じて。そういうバンドの状態はすごく嬉しかったね。
──都さんがホスピタリティーを発揮して、居心地のいい場所を作っていらっしゃるんでしょうね。
圭:それは前回のツーマンで対バンさせていただいた時に思いました。最近はイベント後に打ち上げが催されることも少ないですけど、その時は打ち上げの場を設けていただいて、すごく僕らのことを気遣っていろんなことを話してくださったんです。主催者の責任感を感じましたし、見習わないといけないと思いました。
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