4月1日、オリンポス16闘神がバンド名を企業に譲渡

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メタルバンドのオリンポス16闘神とBARKSが、謎のPRブランド「古河気合筋肉」に惚れ込んで勝手に制作したメタル楽曲は、古河機械金属株式会社・広報からのお墨付けを頂戴することで「Power & Passion ~古河機械金属 応援歌~」という正式タイトルの命名を受け、2019年3月20日にきっちりと生を受けた(参照:「Power & Passion ~古河機械金属 応援歌~」が生まれるに至った、裏のストーリー)。

非鉄金属・産業機械の大手メーカーだけに、古河機械金属株式会社のオフィシャルサイトを見てみると「ロックドリル」「メタルリソース」「カテゴリートップ・オンリーワン」「Power & Passion」「力強さ・スピード」「熱意・情熱」といった単語が飛び交っている。吸い寄せられるようにシンパシーを感じたオリンポス16闘神とBARKSは「こりゃまるでヘヴィメタル・コミュニティじゃないか」と小躍りをすることとなる。勝手に応援歌企画に乗り出したのは、そういう経緯だったのだ。

しかしながら、「非鉄金属・産業機械の大手メーカーを応援する音楽であれば、メタル以外考えられない」という迷いなき一点集中の楽曲制作だったものの、その実、メタル権化のオリンポス16闘神をもってしても、応援歌の制作は楽なものではなかったという。何せ明治8年創業から140年以上もの歴史を持つ日本の高度成長を支え続けてきた一部上場企業を応援しようじゃないかという企みだ。重みが桁違いなのである。つまりは桁違いにヘヴィな楽曲を生み出さなければ意味がない。そもそも創業時にはロックなんてもちろん、レコードすら存在しなかったのだ。

そして、会社の理念や実績に沿いながら企業姿勢を表現するには、単語の選定にも細心の注意が必要となる。語感・韻を活かしながらグルーブに乗り、アタックの強い譜割りで濁音や破裂音を乗せるという手法は、コアメタルサウンドの制作には欠かせぬものだが、一部上場企業が発する理念とビジョン/行動指針を表す言葉との不一致がオリンポス16闘神を悩ましていく。

▲「Power & Passion ~古河機械金属 応援歌~」

歌詞の可聴性を維持しつつ、メタル特有の喧騒性を表現するというギリギリの境界線を古河機械金属・広報と共に攻め、ついに完成となった「Power & Passion ~古河機械金属 応援歌~」は、オリンポス16闘神/BARKS/古河機械金属・広報ともに満足する激熱なメタル応援歌となった。「メタルで企業を応援する」という、ありそうでなかった・やりそうで誰もやらなかったプロジェクトは、達成感と充足感と心地よい疲労感をもって、無事に幕を閉じようとしていたその時、古河機械金属・広報が、ポツリと攻めの一言を繰り出した。

「難産をもって最高の出来上がりとなったこの素晴らしい応援歌を更に拡散すべく、もっと話題性のある面白い事はできないかな?」──古河機械金属株式会社・広報

この応援歌を更に世に広めたい、多くの人に届けたいという古河機械金属・広報の思いは、オリンポス16闘神の願い、そしてBARKSのメディアポリシーとも100%合致する。「楽曲に対するリスペクト、バンドへの信頼、応援歌企画への心からの賛同」を受け取ったオリンポス16闘神とBARKSは、喜びと感謝を胸に新たなアイディアを思案する。

「面白いこと、そうですね…」

そんなリクエストに対し、とんでもないカウンターをさっと繰り出してしまうのが、オリンポス16闘神というバンドの真面目(しんめんぼく)であり非凡たる所以でもある。耳を疑うような奇天烈な提案をさらりと言い放ったのである。

「それでは、オリンポス16闘神のネーミングライツ権を譲渡し、バンド名を「古河機械金属16闘神」にするというのはいかがでしょうか。企業におけるロックバンドの命名権取得は世界初では?」──オリンポス16闘神

「え!それありですか?話題性があり面白いですね。でも、もっと面白くするにはインパクト重視で“古河気合筋肉16闘神”にしてみたらどうだろう」──古河機械金属株式会社・広報

もうイカれている。古河機械金属のために生み出された楽曲「Power & Passion ~古河機械金属 応援歌~」なのであれば、それを歌うのもオリンポス16闘神ではなく「古河気合筋肉16闘神」であれば美しく面白い、という正気の沙汰をサラリと飛び越えた発案が、前代未聞のバンド名ネーミングライツ施策を生み出すこととなったわけだ。

メタルバンド、オリンポス16闘神は2019年4月1日をもってバンド名を改名、2019年5月31日まで古河気合筋肉16闘神として活動することとなる。人間や事物/施設/団体/キャラクターに対する命名はよくある話だが、ロックバンドのネーミングライツが譲渡される例は聞いたことがない。これを悪ノリと評するか斬新なビジネスモデルの一端と捉えるか…、もはやそんなことはどうでもいい。そもそも古河機械金属株式会社にとっても、このような事例は長き歴史の中で一度もなかったのだ。浮かび上がった事実はひとつ、オリンポス16闘神も古河機械金属株式会社も、ロックスピリットにあふれたメタルな人々だったということである。


▲オリンポス16闘神改め、古河気合筋肉16闘神

2019年は、オリンポス16闘神が3枚目となるアルバム『闘神道』を発表すると公言していたタイミングでもある。古河気合筋肉16闘神「Power & Passion ~古河機械金属 応援歌~」は新作『闘神道』に収録されるのか、そもそも古河気合筋肉16闘神としての活動はあるのか?…というよりも、5月31日までにリリースされてしまったら、そのアルバムはオリンポス16闘神の3rdアルバムではなく、古河気合筋肉16闘神の1stアルバムとなってしまうのか?

エイプリルフールのタイミングで本当にバンド名を譲渡してしまったオリンポス16闘神は、以下のコメントをBARKSに寄せてくれた。

「はじめまして、古河気合筋肉16闘神と申します。オリンポス16闘神では初心者お断り感ハンパないブルータルサウンドを垂れ流しておきながら、そろそろ我々の音楽でお茶を濁さないかね」と新手の持久戦スタイルを開眼しておりました。ついに打席が来たようです。世はエイプリルフールですが、エブリデイ・フーリッシュな私共にとっては、いつもより少しBPM高めでドラゲナイなカーニバルの幕が開けた程度でございます。…何を言っているかさっぱりわからないかもしれませんが、要は「覚悟」を知らしめ、「覚悟」とは劣勢を覆す狂気だという事です。代打で失敗は許されませんから、ネーミングライツ権を譲渡し、著しく徳の低い狼藉の数々をロンダリングしてでもクライアントファーストに徹する所存でございます。私共は16名のメンバーが所属し、過密集落のように思われがちですが、断捨離したら跡形も残らない烏合の衆ですので、これを機にリストラも視野に入れた構造改革と共に、古河気合筋肉16闘神としてシーズン2を邁進致します」──古河気合筋肉16闘神

文:BARKS編集長 烏丸哲也




▲オリンポス16闘神

◆古河気合筋肉オフィシャルサイト
◆「Power & Passion ~古河機械金属 応援歌~」BARKS内特設ページ
◆オリンポス16闘神改め、古河気合筋肉16闘神オフィシャルサイト
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