「Power & Passion ~古河機械金属 応援歌~」が生まれるに至った、裏のストーリー

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▲ティザー映像

エッジの立ちまくったメタルサウンドに乗って、「古河気合筋肉」というブランドロゴが現れるだけのティザー映像が世に公開されたのが2019年3月6日。その映像には「2019.03.20」という文字が掲げられていた。

そして2019年3月20日、この日「古河気合筋肉」オフィシャルサイトで公開されたのは、ティザー映像に使われていたメタル楽曲「Power & Passion ~古河機械金属 応援歌~」の全貌であった。「古河気合筋肉」のテーマソングとも言えそうなこの曲は、メタルバンド、オリンポス16闘神が書き下ろした新曲である。

▲「Power & Passion ~古河機械金属 応援歌~」

楽曲は、高純度なメタルで硬質コーティングされたかのヘヴィ&コアなメタルサウンドで、古河機械金属株式会社が掲げる「Power & Passion」をそのままサウンドに具現化させたかの激熱な仕上がりとなっている。サウンド、アレンジから歌詞に至るまで徹頭徹尾のこだわりを持って制作された渾身のメタル楽曲だが、実のところ、この作品が誕生するに至っては、ちょっとばかり長いストーリーがある。

   ◆   ◆   ◆

事の発端は2017年春、BARKSのプロデューサーIが都営地下鉄で目にした電車広告だった。古河機械金属という会社が自らの会社名をパロって「古河気合筋肉」として交通広告を掲示していたのである。


「なんだこれ」

気にした時点で負けなのだが、Iはすぐさま検索し、古河機械金属株式会社が日本の高度成長を支えてきた日本有数の非鉄金属/産業機械関連の大手メーカーであることを知った。そして、そんな伝統と革新の一部上場企業が自社PR施策として自ら「古河気合筋肉」というブランドを掲げ、「自社製品とマッチョな人間を対決させる謎の映像」や「女子高生が重機に恋心を抱く」といった夢想猛々しいストーリーを、ネット上に無邪気に公開している事実を知るのである。


「なんだこれ」

調べれば調べるほどに、古河機械金属と「古河気合筋肉」とのギャップが広がっていく。「ふざけたことを真剣に行っているバカな大人」が大好きなIは、同じく「ふざけたことを真剣に行っているバカな大人」が集結したメタルバンドのオリンポス16闘神に声をかけ、勝手に盛り上がったあげく「古河気合筋肉」応援歌を作っちまおうと悪乗りするわけである。

ちなみにオリンポス16闘神は、農業法人ベジフルファーム社歌「小松菜伐採」や、海産居酒屋さくら水産のテーマソング「マグロのアラ煮は80円」といった法人の特性を楽曲にぶちこむ手法によって、すでに多くの企業や団体に楽曲提供を果たしている。「BtoBtoC戦略に特化した世界初のインディーズバンド」として10数名に及ぶバンドメンバーを擁し、医者/大学教員/マンガ家/投資家/元修斗世界チャンピオン/整体師/元パチプロ…といった珍獣のようなメンバーで構成された極めて稀有なメタル集団なのである。

Iとオリンポス16闘神は、熱病にうなされるように「古河気合筋肉」とのコラボを爆進、「古河気合筋肉」プロジェクトを遂行させている古河機械金属株式会社・広報担当者も、水を得た魚のように応援歌企画に共鳴を見せたことで、無事に応援歌実現への道筋が出来上がったというわけだ。


そもそも常識で考えれば、メタル応援歌の企画など受け入れられるはずもないところなのだけど、相手は「古河気合筋肉」と自社名をパロって電車広告に掲載している連中である。どうにも同じ匂いがする、ワンチャンある…とシンパシーを感じ、何度も何度も打ち合わせを重ねた暁に、ついに古河機械金属・広報がメタル応援歌制作企画に乗る決断を下した。140年余りの歴史を紐解いても過去に例のない、非合理でクレイジーなジャッジメントだったことだろう。

とはいえ、140年以上もの長きにわたって日本の非鉄金属/産業機械産業を牽引してきた企業ゆえ、応援歌といえども彼らが出すOKのハードルは低くなかった。油圧ブレーカの破砕をイメージするような重いリズムはオリンポス16闘神の真骨頂だが、今作中盤では「エコや静音」といった革新と社会貢献を表現すべくクリーントーンを起用してアニメ声のナレーションを挟み込む新基軸も見せている。これもオリンポス16闘神と「古河気合筋肉」のコラボレーションが生み出したケミストリーのひとつだろう。経営理念をも歌詞に練り込んで猛進する様子を1分30秒にねじ込んだ力作となり、曲中には“日本の安全運動の先駆け「安全専一」は「安全第一」の前身です”といったトリビアも埋め込まれている。

メタルという奇抜なサウンドを欲しがった結果「メタルっぽい曲」でPRする大手企業も少なくないが、聴いての通り「Power & Passion ~古河機械金属 応援歌~」は、遠慮なしの高純度メタルとして生を受けた。「この本気度こそ古河機械金属のアイデンティティそのものなのだ」とオリンポス16闘神は語り、「高純度メタルこそ、当社との親和性そのもの。コアなメタルファンも納得の本気の純度が、Power & Passionを胸に走り続ける企業姿勢に共感する」と古河機械金属株式会社・広報もコメントを寄せている。

無事生を受けた「Power & Passion ~古河機械金属 応援歌~」が、この後どのような展開を見せるのか?2019年春と噂されていたニューアルバムへの先行シングルとなるのか、ライブで披露されることはあるのか、BtoBtoC戦略はどこまで発展を見せるのか…、オリンポス16闘神の動きも気になるところだ。

文:BARKS編集長 烏丸哲也


▲オリンポス16闘神

◆古河気合筋肉オフィシャルサイト
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◆「Power & Passion ~古河機械金属 応援歌~」BARKS内特設ページ
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