【レポート】L’Arc-en-Ciel<LIVE 2018 L’ArChristmas>、20数年ぶりのライヴ披露となった楽曲も
L’Arc-en-Cielが12月19日および20日、<LIVE 2018 L’ArChristmas>と題した東京ドーム2Days公演を開催した。2017年4月の東京ドーム2Days<25th L’Anniversary LIVE>以来、1年8ヵ月ぶりとなった同公演はチケット応募総数45万人にものぼり、両日合わせて11万人の動員に加えて国内外ライヴビューイングによる2万人が約3時間のステージに歓喜した。このライヴの模様が2月23日(土)にWOWOWプライムで放送される。
<L’ArChristmas>は、結成30周年を目前に控えたL’Arc-en-Cielからの“一足早いクリスマスプレゼント”として行われたものだ。そのセットリストは、ここ数年演奏されていないマニアックな楽曲が披露されるであろうことが事前にアナウンスがされており、実に20数年ぶりのライヴ披露となった楽曲をはじめ、それらを壮大に彩るドラマティックな演出に超満員の嬌声が止むことがなかった。
その幕開けはhydeのヴォーカルと鍵盤の音色だけでイントロが奏でられた「winter fall」。美しい歌声とこの夜にふさわしくもレアな1曲目が客席のどよめきと悲鳴を誘い、ここから始まるステージに対する期待を高めた。<L’ArChristmas>というコンセプチュアルなタイトルが導いたセットリストは、雪や鐘の音といった歌詞、リズムやメロディー感などを含めて、“冬を想起させる楽曲”を中心としたもの。その後も、kenのトーキングモジュレーターによるギターソロやyukihiroのロートタムの音色が鮮やかな「snow drop」、バンクーバー冬季五輪のNHKテーマソングとしても知られる名曲「BLESS」といったナンバーをはじめ、選曲の素晴しさがドームに冬の景色を描いていく。
また、クリスマスをテーマとしたライヴはL’Arc-en-Ciel初の試みとなる。それゆえ前述したように、20数年ぶりのライヴ披露となるナンバーも用意されており、これらがコアファンのハートに火を点けた。tetsuyaのファルセットによるコーラスや、ゆるやかな3連のリズムが心地よい「Dearest Love」、終盤に披露された「I Wish」は、実に1997年の<L’Arc-en-Ciel 1997 REINCARNATION >以来。さらに、中盤のセンターステージを盛り上げた「静かの海で」は客席5万5千人による“feel heavenly”の大合唱がドーム内にこだまして雄大で荘厳。これら20数年ぶりに演奏された楽曲の数々が、この夜の感動のハイライトシーンのひとつひとつとして刻み込まれた。
見どころ聴きどころはまだまだある。パイプオルガンの音色をバックにhydeとtetsuyaが美しいハーモニーを響かせた「Hurry Xmas」は、この夜のためにアレンジが施されたもの。センターステージで披露された「未来世界」は、kenとtetsuyaのコーラスとhydeの主旋律によるアカペラがゴスペルのように清らかで、yukihiroによるジャジーなリズムも、tetsuyaによるアップライトベースの柔らかな音色も絶品の味わいだった。言うまでもないが、L’Arc-en-Cielの醍醐味のひとつにアレンジ、ヴォイシング、コードワークなどアンサンブルの妙があり、それらがクリスマスをテーマにアレンジされた楽曲は、<L’ArChristmas>だからこそ聴くことができたものだったと言えるだろう。
そして、約3時間の熱演をよりドラマティックなものにした驚きの演出の数々もL’Arc-en-Cielならでは。あまりにも大きなツリーを中心に、トナカイや雪原をイメージさせるオブジェがレイアウトされたステージセットが白銀の世界を描き、LEDヴィジョンに映し出される映像の数々が<L’ArChristmas>に込められた物語を展開していく。「DIVE TO BLUE」でブルーに点灯したL’edバンドがドーム内を波模様に染め上げる演出は実に壮観だった。さらには、金色と赤色のテープがドームの広大な空間に放たれ、色とりどりの巨大バルーンが客席の上を転がり続けた「Link」。そのバルーンが割れると中から小さな風船が溢れ出る光景がなんとも楽しげで、オーディエンスの表情に笑顔が揺れた。そして客席のド肝を抜いたのが「trick」の演出だった。長方形のスライディングステージの全方位に4人が陣取り、センターステージからメインステージへステージごと移動する大仕掛け。tetsuya、yukihiro、ken、hydeの順にヴォーカルが移り変わり、そのエンディングでメインステージ上に4人が横一列に並び立って演奏するレアな光景がライヴを熱く燃え上がらせた。これら各楽曲を彩る演出はもとより、楽曲同士の間に発生する化学反応まで、舞台演出が色濃いものとして考え尽くされていたことも記しておきたい。
「クリスマスっていうことで、神様っているのかなって考えてみました。でもね、神がいなかったとしても、クリスマスってたくさんの人に夢を与えることが出来てるじゃないですか。信じるとか信じないじゃなくて、今日、僕たちがこうやって出会えた奇跡、そして愛し合った時間。これは確かに存在してた。とても重要なことだと思います。導いてくれたこの日に感謝します」──hyde
これは、<L’ArChristmas>のラストナンバー「雪の足跡」の前に語られたhydeの言葉だ。hydeの澄んだ歌声にパイプオルガンやブラスサウンドが絶妙にマッチして、あまりにもドラマティック。yukihiro、tetsuya、kenの演奏は少ない音数だからこそ、音と音の間に極上の呼吸が息づくようで、濃厚な空気感を伴いながら最後の一音まで丁寧に奏でられた。そのエンディングでは「きよしこの夜」の一節が挿入され、場内に白い紙吹雪が舞い上がる至高のラストシーン。「メリークリスマス!」という言葉をhydeが発して<LIVE 2018 L’ArChristmas>が幕を閉じた。L’Arc-en-Cielが持つ色鮮やかさは、永遠であることを証明した夜。その感動は彼らの歴史に深く刻まれることだろう。
これら見どころシーン目白押しの“クリスマスの奇跡”が、早くもWOWOWで放送される。チケットの即完を受けて、「ウィング席(ステージの見えない見切れ席)」が販売されるなど、大盛況となった<LIVE 2018 L’ArChristmas>。体感できた方も残念ながら出来なかった方も、当日が蘇る放送をWOWOWでバッチリ見よう!
取材・文◎梶原靖夫
撮影◎今元秀明/岡田貴之/緒車寿一/加藤千絵/田中和子
提供◎WOWOW
『L'Arc~en~Ciel LIVE 2018 L'ArChristmas』
収録日:2018年12月19日、20日
収録場所:東京・東京ドーム
番組オフィシャルサイト: https://www.wowow.co.jp/music/larc/
[関連番組]
L’Arc-en-Ciel特別コンテンツをParaviにて2019年1月より3か月連続配信
詳細: https://www.paravi.jp/static/larc/
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