【ライブレポート】FLOW「みなさんを招くからこそ“神祭り”」、10年ぶり武道館をGRANRODEOも祝福

FLOWが1月30日、＜15th Anniversary Final「FLOW LIVE BEST 2019 in日本武道館〜神祭り〜」＞と題したワンマンライブを開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆FLOW 画像

会場を埋め尽くす赤いTシャツの背には白く“FLOW”の文字が。開演を待つ日本武道館に充満する期待という名のざわめきが、場内の暗転によって大歓声へと変化した。そして10年ぶりの武道館ライブはアグレッシヴに音を轟かせる「Break it down」から幕を開けた。


1曲目からフロアはサイリウムが放つ赤い輝きに染まり、客席を見遣りながら歌声を響かせるKOHSHIとKEIGOへ向けて拳が突き上げられて、幕開けから大合唱。序盤から畳み掛けるようなセットリストが展開していく。

慟哭のラウドロック「JOY TO THE WORLD」から「7th Heaven」に繋がれば、赤一色だった光が様々な色へと変わり、カラフルに変貌する武道館。もちろん、サイリウムを握らずに拳を突き上げ続けるファンも熱い。

生粋のロックファンとアニメファンが混在する稀有な場所ならではの色彩感。これは10年前の武道館公演にはなかったものであり、ロックとアニメソングのボーダーや国境を超越してきた彼らだから見せられる光景だ。



IWASAKIとGOT’Sが紡ぐビートが熱を帯び、「Steppin’ Out」ではタオルによる旋風が巻き上がり、“Oi!!!Oi!!!”のチャントが天井を突き破らん勢いでこだまする。お立ち台に乗り、天井近くまで埋まった客席に向けてタオルを振り回すKEIGO。そして、高らかに声を上げるKOHSHIの姿も勇ましい。

「この中に、“10年ぶりに来たよ”って人もいると思うし、“初めてFLOWのライブに来たよ”っていう人もいると思うんだよ。でも今日、この1月30日のFLOWのライブは、みんなでしか作れないんだからなー！ ひとりでも欠けたらダメなんだぞー！」

KEIGOの声と共にヘヴィでラウドな「赤いサイレン」、メロディックなKOHSHIのボーカルとKEIGOのキレあるラップが武道館のテンションをヒートアップさせる「Red Hot Riot」を披露。さらに情熱の歌の後には、会場を青く染めた「ブレイブルー」、運命を彩る光の歌「COLORS」とアニメソングの金字塔曲が響く。




“神祭り”というライブタイトルになぞらえて、ステージ前は“Fighting Dreamers 神エリア”、“東の神エリア”や“西の神エリア”、“天の神エリア”など、“神エリア”と名付けられた客席。「“神祭り”はFLOW自身や楽曲が神ではなく、ここに集った一人ひとりが“神”」なのだとKEIGOとKOHSHIが語った。

「みなさんを招くからこそ神祭りなんですからね」──KEIGO
「今日は元祖FLOW流応援歌を持ってきました!!」──TAKE

そして掻き鳴らされたイントロに歓喜の声が上がった。インディーズでのラストシングル「メロス」だ。デビュー前に歌ってきたナンバーを15年以上の時を経て国旗はためく武道館のステージで響かせる。続けて披露された「常夏エンドレス」は10年前の武道館のときには生まれていなかったナンバーであり、会場が一体となっての大合唱。ピアノと都会的なサウンドが叙情的な歌詞と共に響く「音色」では揺れるサイリウムの光が楽曲の哀愁を視覚的に彩った。KOHSHIもギターを手に取り、厚くサウンドを響かせる。

エレクトロとラウドをメロディックに融合させた「Answer」、オールドスクール的なロックンロール「Shakys」など、オーディエンスのクラップビートが楽し気で、サウンドをさらにカラフルにしていった。



KEIGOが、「前回の武道館公演は、ファンのみんなに連れて来てもらった武道館だった」と10年前の想いを語り出した。デビュー5年目で到達した10年前の武道館では、FLOWがどんなバンドなのか自分たちでも言葉に出来ないまま、ライブでオーディエンスと繋がりたくてがむしゃらにもがいていたそうだ。“また必ず自分たちの力でやりたい”という想いを抱きながら10年、再びこの武道館のステージへ。そして、「デビューから15年以上の時を重ね、全国のファンとライブを積み重ねてきた今、はっきりと言えることがある」とマイクをグッと握った。

「FLOWはみんなでライブを作り続けているバンドです。それは学生だろうが、社会人だろうが、男だろうが、女だろうが、日本なのか、海外なのか、アニメかロックか、そんなものは本当にどうでも良くて。来てくれるみんなとその日しか出来ないライブをずっと作り続けていきたい」

そして披露された「ONENESS」は、この日本武道館のために作られたテーマソングでもある。ライブで客席とステージがひとつになった瞬間に完成する楽曲だ。“Woh oh oh”と大きくこだまする声。その歌声と共にFLOWの5人も力強く歌って、楽曲に魂が宿されたようだ。



ビジョンに映像がインサートされると、あの豪華共演によるユニットの登場だ。「再び武道館に立つことになったときから、どうしても一緒に音を放ちたかった」とメンバーが口にし続けてきたFLOWの盟友であり戦友でもある、GRANRODEOを招きいれてのFLOW×GRANRODEOのライブへ。アニメ『七つの大罪』テーマ曲のために結成された７人組スペシャルバンドが「Howling」を響かせた。

「GRANRODEO的にも今年最初のライブが、ソウルメイトとでも言いましょうか、FLOWのライブ。呼んでいただいてありがとうございますっ！」──KISHOW
「TAKEちゃんも“GRANRODEO、呼びたかった”って言ってくれて本当に嬉しい」──e-ZUKA

さらには、KISHOW曰く「まさに７つのパワー！みたいな曲」である結成のきっかけになった「７-seven-」が放たれた。互いを煽りながら全身全霊でコラボレーションを楽しみつつ、全力で音を放つ7人が大きな熱気を生み出した。



ライブ終盤に突入すると、神祭りはますます“祭り”の様相を強める。軽快なイントロと共にGinyuforcE&RAB (リアルアキバボーイズ)がステージに駆け込み、見事なヲタ芸ブレイクダンスで魅せた「愛愛愛に撃たれてバイバイバイ」へ。さらに「HERO～希望の歌～」やアニメ『NARUTO』とのコラボ曲である「Sign」では青く染まった会場にKOHSHIの歌声と想いが滲む。

「風ノ唄」ではフロアが青や緑に輝き、地を揺らすように響く“Wow oh”という声やクラップ音に、アニメ『テイルス オブ ゼスティリア ザ クロス』の天族と人とが手を取り合うような一体感が生まれた。そして、武道館を“今日イチ”揺らしたのはやはりこの曲、「GO!!!」だ。極彩色に染められたフロアの歓声に煽られるように花道を駆けまわるKOHSHI、KEIGO、TAKE。恒例のウェーヴも決まると、コール＆レスポンスで会場中の歌声をステージへと集めた。



「今、目の前にいる全員が、オレたちがバンドやってる理由だろう！ 武道館！ オレたちの仲間の歌！歌ってくれ！」──KEIGO

続いて披露された「ANTHEM」は、どんなに苦しいときにもファンがいたからこそ進んでこられたことが深く刻まれた曲だ。ビジョンの映像が５分割され、５人がそれぞれ大写しにされた。

「なんで続けてこられたかというと、そんなのたったひとつ。そこにみんながいたから。15年分の想いを伝えさせてください。本当にありがとう」──KOHSHI

10年前の武道館公演でもラストナンバーだった「Garden」へ。優しいビート、ハートフルなリフ、鳴りやまない拍手。これからも彼らは、目の前のファンと共に進んでいく。武道館に集う全ての人とガーデンパーティをするように、笑顔がこぼれるFLOWの5人の姿が印象的な本編ラストとなった。



新曲「PENDULUM」とデビュー曲「ブラスター」でアンコールを熱く盛り上げたFLOWは、ここから次へと歩を進める。10年ぶりの武道館は懐古的なものでなく、その記憶の先を見せてくれるものとなった。