【インタビュー】MADKID「全員が同じマインドで踊って歌ってラップしているので、ダンスと歌は切り離せない」
切れ味鋭いダンスと歌とラップをそれぞれハイレベルでやってのけ、最新型ダンス・ミュージックやポップスを取り込んだ魅力的なトラックや作詞作曲もメンバーが手掛ける。こんなに多才な男たちを単なるダンス&ボーカル・グループでくくってはいけない、MADKIDはそんな気にさせる強いアーティスト・パワーを持つ五人組だ。2018年1月にシングル「Never going back」でメジャー・デビューを果たし、日本中を飛び回って熱いパフォーマンスを見せてきた結果として着実にファンは増加中。ニュー・シングル「RISE」がTVアニメ『盾の勇者の成り上がり』(2019年1月スタート)のオープニング・テーマに決定して、いよいよブレイクの時が近づいてきた。グループのこれまでの歩み、パフォーマンスの哲学、ニュー・シングルの音楽性、そして未来の展望に至るまで、ストイックでありながら親しみやすいパーソナリティが伝わるBARKS初登場インタビュー。
■「RISE」は僕たちには当たり前な構成だけど
■アニメのテーマソングではあまりない構成だと思う
――メジャー・デビュー・イヤー。ここまでの手応えは?
SHIN:本当にあっという間の1年だったし、いろんな地方にたくさん行かせていただいたので、1日1日が速かったですし、いい経験になりましたね。「あ、仕事してる」という充実感はありました。
YOU-TA:僕たちMADKIDは3年間インディーズで頑張ってやってきて、お客さんが三人とか、自分たちでチケット・ノルマを払って出演させていただくようなライブから始まって、2018年の1月にメジャー・デビューさせていただいたわけなんですけど。そこまでの3年とその後の1年を比べると充実感も全然違いますし、五人でいる時間もどんどん密になって、大変なこともあるんですけどとても楽しく過ごせた1年でした。
KAZUKI:活動当初はライブの本数も少なかったし、週2回でも多いかなという感じだったんですけど、今はライブの本数も増えたし、練習も制作の機会も増えたので。一緒にいることでさらにチームワークが良くなったのかなと思います。
YUKI:今まで何をやるにしても僕たちが決めてきたんですけど、今年からは僕たちの意見を伝えつつ、いろんな方が動いてくれることを肌で感じるようになりました。自分たちの力ではステップアップできなかったところを、周りの力に支えられて上がっていくのがよくわかった1年でした。メジャー・シーンに上がったからとかじゃなくて、僕たちの意思が前よりもステージに表れてきて、本当にスタートラインに立てた気がします。
▲3rd single「RISE」【Type-A】CD+DVD
▲3rd single「RISE」【Type-B】CD
――ラッパーのLINさんが渋滞に巻き込まれてるみたいで、まだ到着しないので、いない間にこっそり話しちゃいましょうか(笑)。メンバーから見てLINさんは、今年1年でどんなふうに変わったと思います?
YOU-TA:LINはひとことで言うと問題児なんですけど(笑)。でもすごい才能がある人間で、メジャー・デビューしてからはLINが単独で手掛けた曲がCDになったり、今回のシングルの3曲目「出ていってよ」もLINの作品だし、それが結果的に僕たちっぽい曲になっていってるので、ますます欠かせない存在になっていますね。それとLINはたぶん、メジャー・デビューするまでは仕事としてやってる自覚があまりなかったと思うんですけど、そこのマインドの部分がかなり変わってきたと思いますね。
YUKI:LINはメンバーの中でも一番意思が固くてブレない人だから、それをちゃんと音楽を通して消化していくことに費やした1年かなと思います。はたから見てもすごいストイックに楽曲制作をしているし、同じラッパーとして尊敬する部分がすごく多くて。本人もインタビューで「チームは俺一人ではできないことを補ってくれる」と絶対言うので、全員でそのバランスを保てるようになった1年かなと思います。
▲YOU-TA (Vocal)
――なるほど。あとでLINさん来たら答え合わせしましょう。2018年にCDシングル2枚と配信シングル1曲をリリースしていて、どれも曲調が全然違うのが印象的で。それはメジャー・シーンで自分たちのいろんな面を見せたいという気持ちがあったから?
YOU-TA:いろいろ見せられるのが強みだと思ってるからこそ、いろいろ見せた感じですね。似たような曲はほとんどないですし、日本のシーンで2ラップのダンス&ボーカル・グループはほとんどいないので、どれもそこを生かせた楽曲になっていると思います。
――あ、LINさん来ました。
LIN:すみません、遅れまして。
――いえいえ。ちょうどさっき、みんなに今年を振り返る言葉をもらってたんですよ。LINさん、2018年はどんな年でした?
LIN:セカンド・シングル「Summer Time」の時から僕一人がプロデュースした楽曲がリリースされてるんですけども、自分が作った曲がメジャーで流通することが信じられなかったです。夢が叶った気がしました。
――曲作りは進歩した?
LIN:ずっとやってきているので、自分ではそんなに変わらないつもりなんですけど、いろんな方に聴いてもらって「良くなったね」と言っていただけるので。あまり自信を持てるタイプではないんですけど、人の言葉を信じて頑張っていこうと思いました。
――メンバー、スタッフ、周りの人との絆はどうですか。
LIN:メジャー・デビューを発表してからそろそろ1年が経つんですけど、いろんな地方に行く時にもたくさんの人が動いてくださって、自分たちも頑張らなきゃという気持ちにいつもなります。メンバー同士はさらに結束が強くなったと思いますね。自分は親しい人間にも積極的にコミュニケーションを取るタイプではないんですけど、ここ1年は話すことも多くなったし、より仲良くなりました(笑)。
YOU-TA:合ってましたね(笑)。
――合ってた(笑)。実はさっき、「LINさんが今年どう変わったか」というテーマでみんなで話してたので。
LIN:そうなんですね(笑)。
▲LIN (Rapper)
――掲載されたらチェックしてください(笑)。今プロデュースの話が出ましたけど、LINさん単独じゃなくて作詞作曲のクレジットが「MADKID」になっている時って、どういう作り方をしてるんですか。
LIN:わりと分担しています。トラックは僕が大まかなものを作って、YUKIが「ここは抜いてみたい」と言ったりすることが多いですけど、歌詞はみんなで寄せ集めたものが多いです。一人で書いてる部分がほぼないぐらいの混ざり方で、五人でディスカッションしながら作っていきます。
――そのやり方は結成当時から?
YOU-TA:いや、ここ1年ぐらいですね。ただ今回の曲「RISE」はLINとYUKIがほとんど書いてくれたんですけど、それを歌う時に…今までは僕が全部歌って、そのあとにKAZUKIとSHINが歌入れをしていくという順番だったんですけど、それだとイメージが完全に見えてこないから「全員でやろう」ということになって、全員でディスカッションしながらまとめていくスタイルに変えました。「Summer Time」ぐらいからそういうやり方をしています。
――そのニュー・シングル「RISE」の話に行きますか。これはTVアニメ『盾の勇者の成り上がり』(2019年1月スタート)のオープニング・テーマになっていて。書き下しですか。
LIN:そうです。「曲調はロック・テイストで」というリクエストがあったんですけど、ただロックをやってもバンドの人には勝てないし、そこでどうやってMADKIDらしさを出そうか?というところで、シンセを入れて、ラップをどうやってロック調とうまく合わせるかを工夫しました。
――エレキ・ギターがかっこいいハードロック・テイストでありながら、サウンドはEDMで、ヘヴィなブレイクダウンがある。
LIN:こういうロック・テイストのものはあんまりやってこなかったので、面白かったですね。
YUKI:僕は個人的にアニソンが好きなので、最初はアニソンに寄せすぎな部分も若干あったんですけど。そこに寄せすぎるとMADKIDらしさが出ないことが作っててわかりましたね。LINと一緒に作っている最中に、僕個人は楽曲に対して今までと違うアプローチをしようとした結果、あまりうまくはまらなくて、いつも通りにやった方がうまくいくということがわかった感じです。
――ああー。なるほど。
YUKI:アニソンだからとか、ロックにしなきゃとか、ジャンルを意識しすぎるとMADKIDの良さがなくなっちゃうんだなと。この曲のMADKIDらしさはどこか?と言われたら、英語の使い方だったり、一番で二人のラップの掛け合いが出てきて、あとからそれぞれ歌が出てくるという、僕たちには当たり前な構成だけど、アニメのテーマソングではあんまりない構成だと思うので。そういう部分が僕たちの強みなのかなと思います。
▲SHIN (Vocal)
――いろいろ考えて、結局自分たちのストロング・ポイントを押し出すことが正解だったというのは面白いです。YOU-TAさんはこの曲については?
YOU-TA:今年出した「Never going back」「Summer Time」と比べてこの曲は、“一生残る曲になる”というイメージがあったんです。ちっちゃい時に見たアニメの曲は今でも頭に残っているし、このアニメがとてつもないことになったら僕たちの曲もそこに寄り添っていく、そう思って歌を録りました。しっかり考えて歌ったというか、エネルギーを注ぎましたね。特にAメロの部分をすごく凝って歌っていて、僕はもともと内にこもるような歌い方が好きなんですけど、でもこのAメロはわかりやすく歌っています。サビはキャッチーにまとめて、途中で二人(KAZUKI、SHIN)が入ってきてバランスを取りつつ、最終的にいい感じに仕上がりましたね。
KAZUKI:僕は声質的にロックは合わないというか、どっちかというと細い方なので、歌うのは難しかったです。いろんな声質を試しながらレコーディングして、Bメロは普段の歌声と違う野太い感じにしてみました。今まで聴いてくれた人に、いつもと違うと思ってもらえたらうれしいですね。
SHIN:僕もロックを歌うことはなかなかないので、難しかった部分もあるんですけど、自分なりに力を込めて歌いました。アニメに沿った楽曲として“成り上がり感”を出すというか。そこはみんな意識したと思います。
YUKI:主人公になった気で、たぶんみんな歌ってるよね。
LIN:作詞の面で言うと…MADKIDは、インディーズで活動している時は僕たちに賛同して手伝ってくれる人はあまり多くなかったので、そういう意味で主人公と同じような気持ちでスッと歌詞が書けたんですよ。そこまで頑張って寄せたわけではないんですけど、アニメのスタッフの方に「こんなに寄せていただいていいんですか」と言っていただいて(笑)。
――言われてみれば本当にそう。「立ち上がる何度だって」「リスク恐れず光追って」とか。まさにグループの歩みそのもの。
LIN:そうですね。
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