【インタビュー】BiS×渡辺淳之介、オーディションドキュメンタリー映画の真相「合格することがゴールじゃなくて、そこから始まる」

ポスト


■なんであんなにできたのかは、わかんないんけど、必死にやっていた(ミュークラブ)

――最近、アイドルになることのハードルが下がっていて、以前よりもなりやすくなったと思うんです。でも、その分、生き残っていくことが大変なのではないかなと。だから、このオーディションのように最初に大きな関門があるのは、実はいいことなんじゃないかと思いました。

ペリ・ウブ:アイドルになると、つらいこともたくさんあります。自分も合宿オーディションを受けてBiSに入ったんですけど、最初に芸能界の予行練習みたいな経験をさせていただいたのはよかったと思っています。そこで頑張れなかったら、もちろんそのあとも続かないし、だから先に苦労を経験させていただいた上で受かることができてよかった。

――ミュークラブさんはどうですか?

ミュークラブ:私はカメラが苦手だったんです。でも、合宿中って、ずっとカメラが回っているじゃないですか。だから、合宿ですごいカメラ慣れしました。

――ずっと撮られているから、オフな瞬間がなく、緊張感も続くのでは?

トリアエズ・ハナ:カメラがいる状況には、途中から慣れちゃいましたね。1日目とかはどこを見てもカメラがいて、けっこう緊張していたんですけど。

渡辺淳之介:初日から“処女です”とか言ってたじゃん。

トリアエズ・ハナ:あ! 言った(笑)。

パン・ルナリーフィ:全然緊張してないじゃん(笑)。

ペリ・ウブ:でも、カメラがずっと回っていることに意味があるんじゃないですか。いつどこで誰が見ててもおかしくないってことを最初から経験できるから。

――今回の映画は、候補生たちがオーディションに受かることを“ゴール”として描いていないことも印象的でした。

渡辺淳之介:この子たちも、多分最初はオーディションに合格するのがゴールみたいに思っていたとは思うんです。でも、合格することがゴールじゃなくて、そこから始まるんで。そこらへんは合宿の初日から1週間経つにつれて、踊りの練習をしたりとかして自分がステージに立つことをだんだんイメージし始めたりして、そういうところで意識が変わってくるのかなって気はします。あと、BiSはずっといじめられ続けていて(笑)。

パン・ルナリーフィ:いじめだったんですか?

渡辺淳之介:だって2位以下は、もしかしてBiSじゃなくなるかもしれない。
※取材日は2018年12月17日


◆【関連リンク】「BiS.LEAGUE」1位はゴ・ジーラ、アヤプリら5名に戦力外通告

トリアエズ・ハナ:本当に頑張ります。

渡辺淳之介:ハナは、ずっと最下位の方にいたよね。

ハナ:そうですね、毎回10位、9位、10位みたいな(笑)。

ペリ・ウブ:言ってしまえば、BiSは合宿がずっと続いているみたいな感じなので、BiS.LEAGUEで順位は出るんですけど、みんなが合格できたらいいなって思っています。心を震わせられる何かで、みんなで合格できれば、2位以下とかもなくなるのではないかと。メンバーそれぞれ考え方に違いはあるけど、私は戦いではなく、高め合いだと思っています。

――この映画に対する渡辺さんのコメントの中に、“理不尽”という言葉があって、これは重要なキーワードなんじゃないかなと思っているんです。この映画ほどの理不尽さはないかもしれないけど、生きていると誰しも理不尽なことに出会うじゃないですか。この映画を観ると、そういう状況でどういう行動を起こせばいいのかというヒントが得られると思っています。

渡辺淳之介:その通りですね。本当に社会の理不尽さって、この業界じゃなくてもある。女の子たちも、学校だったら勉強すれば点数取れるし、失敗しても許してもらえるみたいな環境にいたわけだから、最終的に自分のことは見捨てないんでしょ?っていう気持ちがあったと思うんです。でも、このオーディションはそんなことはない。敗者復活はあったけど、それも人生ゲームだったり、くじだったりしましたし。ただ、実はあれも運だけとは言えなくて、やる前に調べておけば切り抜けられたのかもしれない。努力しても報われない世界ではあるんですけど、結局努力しないと報われないので、そこらへんを彼女たちにも感じ取ってもらいたいなっていうことはありました。

――敗者復活というところでは、ミュークラブさんはスクワット対決で復活しました。

ミュークラブ:そうですね。陸上部だったので、足はけっこう強いかもしれないです。

渡辺淳之介:陸上部だったわりには、マラソンでそんな目立ってないよね。

ミュークラブ:え! 長距離じゃないんですよ。

渡辺淳之介:知らないよ(笑)。でも、スクワットは持久力じゃないの。

ミュークラブ:確かに。なんであんなにできたのって言われたら、わかんないんですけど。必死にやっていました。

トリアエズ・ハナ:140回以上だもんね。

ペリ・ウブ:ミュークラブは、唯一この中で落ちたことを経験してる子だよね。

渡辺淳之介:なんかジンクスがあったよね、1回落ちると絶対受からないとか。候補生たちは、いろいろ方程式をしゃべっていたじゃん。

トリアエズ・ハナ:1回落ちて救済措置で受かっても、そのまま合格している人が今までいなかったので、その意識は私たちの中にあったのかもしれないですね。

渡辺淳之介:だから、女の子たちは1回落ちると諦めるんだね。

トリアエズ・ハナ:そうだと思います。

渡辺淳之介:もったいない。

トリアエズ・ハナ:本当にもったいないと思う。

◆インタビュー(3)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報