【インタビュー】きいやま商店、結成10周年「今年こそ“シャレオツ”で行きます」
きいやま商店が12月15日、ヒューリックホール東京にて<10th Anniversary きいやま商店 シャレオツLIVE>を開催する。タイトル通り、結成10周年を記念して行われる同ライブは、自身最大規模の東京ワンマンとなるものだ。
◆きいやま商店 画像
沖縄・石垣島出身のリョーサ (Vo / 三線)、マスト(Vo / G)兄弟と、従兄にしてリョーサの同級生だいちゃん (Vo / G)の3人組によるステージは、あまりにも個性的で愉快痛快。先ごろ開催されたMONGOL800主催フェス<What a Wonderful World!! 18>にて約1万人が集結した場内を“沖縄方言や身内ネタを巧みに用いた歌詞”と“バラエティーに富んだサウンド”、そして“爆笑必至の掛け合いMC”で抱腹絶倒のダンスフロアに変えてしまった。
BARKS初インタビューではユニット結成の経緯からターニングポイント、そして、“目指すはドリフターズ” “夢は紅白歌合戦出場”など、きいやま商店を語るに欠かせないキーワードについてじっくりと話を訊いた。1時間強の取材は終始笑いの途切れないマシンガントークの応酬。“楽しむこと/楽しませること”を片時も忘れない3人の仲むつまじきグルーヴと、気取らない言葉の数々に石垣島の雄大な自然さえ感じられるものとなった。身内から全国へ。その輪をますます広げ続ける彼らの10周年記念ロングインタビューは、<What a Wonderful World!! 18>の感想から。
◆ ◆ ◆
■石垣島のおじいさんたちも
■「3人でやったらおもしろいのにな」って
──まずは、モンパチフェス<WWW!! 18>の感想からうかがいますが、ハーモニーもMCもゴキゲンなステージでした。
だいちゃん:“最も出演したいフェス”のひとつだったので、初めて出させてもらってとても嬉しかったし、お客さんの盛り上がりがありがたかったですね。
リョーサ:オレらの前のかりゆし58(Beach STAGE)が終わったら、お客さんがみんな別のステージに移動しちゃったんですよ。音出しリハーサルのときには客席に200人もいなくて、“ヤバい、ヤバい”って3人で震えてたから。ところが、本番始まったらお客さんがいっぱいでメッチャ嬉しかったです。
▲MONGOL800主催フェス<What a Wonderful World!! 18>11月3日+4日@沖縄・美らSUNビーチ |
マスト:ステージ上からは、「PUFFYが始まりますよ!」って教えてあげたんですけどね。
リョーサ:そのMCが一番ウケました(笑)。
──トーク術も見事でしたが、かりゆし58とホーンセクションを迎えたバックバンドも豪華で。
だいちゃん:贅沢でしたよね。かりゆし58とは以前から仲良しなんです。今年7月に豊崎美らSUNビーチで開催された夏祭り『とみぐすく祭り2018』で共演したときに「<WWW!! 18>でも一緒にできたらいいね」なんて軽いノリで話してはいたんです。
──息もピッタリなステージでしたね。「オレらが紅白歌合戦に出たいと思っている曲をやろう」というリョーサさんのMCに続いて、かりゆし58が自身の代表曲「オワリはじまり」を歌い始めるとか、コント仕立てもあり(笑)。
マスト:ははははは! あれはステージの5分くらい前に、かりゆし58と楽屋で打合せして決めました(笑)。それに付き合ってくれるのが彼らのいいところ(笑)。
▲MONGOL800主催フェス<What a Wonderful World!! 18>11月3日+4日@沖縄・美らSUNビーチ |
マスト:ステージ上からの景色も最高でしたよ。遠くのほうでお客さんが手を挙げてくれているのが見えたり、ステージ下手から続く海岸線では、海に足をつからせながら盛り上がってくれているお客さんがいたり。そういうシチュエーションに、こちらのテンションもアゲられましたね。
リョーサ:だから、モンパチに“ありがとう!”ですよ。
──そもそも、モンパチとの繫がりはどれくらい前に遡るんですか?
マスト:僕のもうひとつのバンド“ノーズウォーターズ”がモンパチと同じHigh Wave (レーベル)に所属していて、一緒にツアーを廻ったりしていたんですよ。だから、もう20年来の付き合いですね。きいやま商店としては8年くらい前、ミュージシャンだけの新年会でキヨサク(上江洌清作 / Vo&B)とかとセッションしたり。モンパチと初めて一緒のイベントに出たのが福岡の<22nd Sunset Live 2014 -Love&Unity->。そのときにサッシー(高里悟 / Dr)とか崇(儀間崇 / G)が「衝撃を受けた」って言ってくれて。以降、沖縄のデパート広場で演るような小さなイベントにも家族で観に来てくれるようになったんです。
──プライベートでも親交が深いんですね。
リョーサ:そうですね。それから、モンパチ主催<800だョ全員集合!!>(2015年)とか、昨年末のカウントダウンライブ(<MONGOL800 ga COUNTDOWN “Happy 20th ANNIVERSARY”)に呼んでもらったり。そのカウントダウンのときに「<WWW!! 18>に出たい!」って言ったら本当に出してくれたという。
──それほど「出たい!」と思っていたモンパチ主催<WWW!!>は、沖縄のアーティストにとってどんなイベントなのでしょうか?
だいちゃん:たとえば、今年で言うと僕らが昔から好きだったユニコーンとかスピッツとか、すごいミュージシャンたちが沖縄に集まるわけじゃないですか。“もしかしたら、日本一すごいアーティストが揃うフェスなんじゃないか!?”って思うくらい。まず、それ自体が嬉しいですよね。沖縄のお客さんも夢見心地だったんじゃないですかね。
マスト:それに、雨も晴れもあったという意味では、本土から来てくれたお客さんにいろんな沖縄を観てもらうことができましたし。フェス前夜に僕ら、「きいやま商店のステージは絶対太陽が出る」って宣言してたんですけど、ライブが始まったら雨も上がって見事に晴れましたから、沖縄の自然も味方してくれました。
▲MONGOL800主催フェス<What a Wonderful World!! 18>11月3日+4日@沖縄・美らSUNビーチ |
リョーサ:だからちょうど10年前のことなんですよね。
──それまでは3人とも別バンドで活動していたとのことですが、それぞれの音楽性は全然違ったそうですね。
リョーサ:僕は八重山モンキーというバンドで、沖縄民謡をベースにしたワールドミュージックみたいな音楽をやっていたんです。“チャンプルーロック”を掲げていたので、パンクとかアイリッシュとか、いろんなジャンルを混ぜていこうみたいな。
だいちゃん:僕はBEE!BANG!BOO!っていうバンドをやってまして。ロックンロールを中心に、ウッドベースだったりブラスセクションが入ってたりするので、ジャズやBE-BOP、JIVEとかジャンルはいろいろですね。
マスト:さっき言ったノーズウォーターズは島(石垣島)の同級生で組んだバンドで。音楽的にはメロディーにキャッチーさがあるロックみたいな感じです。
だいちゃん:ノーズウォーターズとBEE!BANG!BOO!は東京で活動してたから、お互いのライブに行き来してたんですけど、リョーサは福岡にいたから、3バンドでの対バンっていうのもあまりなかったんです。一度、BEE!BANG!BOO!主催イベントにノーズウォーターズと八重山モンキーに出てもらったことがあったくらいかな。
マスト:そのときくらいから、3人で一緒にやりたいというのはあったんじゃない? 島のおじいさんたちも「お前ら、3人でやったらおもしろいのにな」みたいなことを言ってくれていたので。
だいちゃん:ただ、「3人ともボーカリストだから、なかなかねー」と(笑)。
◆インタビュー(2)へ