【インタビュー】劇場版ゴキゲン帝国 白幡いちほ、ガチで取締役会長になったアイドルの野望

■ゴキ帝を幅広く知ってもらいたいので、音源は無料にしてしまった方がよい

――老人ホームを作りたいという構想もお持ちですが、それもユニークですね。

白幡：Tシャツやレストランと同じく、ゴキ帝はファンの生活に食い込んでいきたいんです。あと、季節を感じられたら強いなって思っていて。ゴキ帝を追いかけていると、春には花見、夏にはバスツアー、秋には運動会、冬にはクリスマスっていうように季節ごとのイベントを全部体験できるようにしたい。

――“体験”というキーワードは面白いですね。今後、楽曲の無料化も考えているようですが、このことに関連するのでは？

白幡：楽曲はゴキ帝を知ってもらうための武器の1つでしかないので、そこでお金を取るのはもうないのかなと思っています。楽曲を通じてライブに来てくれて、そこで花見やバスツアーなどをやっていることを知ってもらって……ゴキ帝のいろいろなイベントに参加して、結果人生がハッピーになるっていうのが一番いいなって思っています。

――11月21日にリリースする2ndアルバム『スタンドアップ』が、ゴキ帝が音源をCDという形で発表する最後の作品になるそうですね。

白幡：みんな、もうCDってあんまり買わないですよね。私も、CDはファンの方や共演したグループさんからいただいて聴くことはありますけど、基本はiTunesでしか音楽を聴いていないです。ネットがこんだけ普及していたら、音楽や映像を盤で出すのって難しいじゃないですか。音質にこだわらないライト層も増えてきているし、無料で聴く方法を見つけてしまう人がいるのも事実です。だから音源を無料で配布するようになるわけでもないですけど、ゴキ帝のことをいろんな人に幅広く知ってもらいたいので、音源は最初から無料にしてしまった方がよいと思っています。

――ゴキ帝の活動の中心は音楽を売ることではなく、メンバーとファンが同じ空間を共有することなんでしょうね。

白幡：そうですね。音楽も、YouTubeも、グッズも、ゴキ帝を通じて人生を楽しくするための方法の1つでしかないと思っています。原始時代って、火を囲んでみんなで打楽器を叩いて楽しんでいたわけじゃないですか。そこに帰るっていう感覚に近いのかもしれない（笑）。みんなで“祭りだー！”って騒ぐことが楽しいみたいな。なので、音楽を売ることが間違っているとか言いたいわけではなくて、ゴキ帝にとっては音楽を売ることはもう違うのかなって思っています。ゴキ帝は、メンバーもファンも原始時代に帰る感じ（笑）。

――今後はファンを巻き込んで、新しいエンタテインメントの形を作っていくのでしょうね。

白幡：はい。ゴキゲン帝国はなんでもできるって思っていて。ファンの方には “ゴキ帝”を楽しんでもらいたいので、その場所がライブハウスのフロアなのか、飲食店なのか……年老いて、ちょっとライブに行くのがしんどい方には老人ホームでもいいみたいな感覚です。そういう楽しい場所をずっと提供していきたいなって思います。

――そうなると、今後白幡さんが表舞台に出なくなることもある？

白幡：ありますね。

――ゴキゲン帝国という“場”が生き残っていくんでしょうね。

白幡：そうですね。それが受け継がれていく感じ。今、やっとスタート地点に立ったというか。いつか島を買いたいですね（笑）。その島には、老人ホームもあって、ライブハウスもあって、畑もあって、あとテーマパークもあって。もう独立国家ですね。

――それなら株券を買ってもらうんじゃなくて、税金を納めてもらえばいいわけですね。

白幡：いいですね（笑）。その代わりに国民は、税金を納めるだけで生活に関わるすべてのことが無料化されているという。音楽もライブも食べ物もテーマパークも、全部無料。まさに夢の国（笑）。私は、その島の端の海岸沿いに小さな家があればいい。あとはみんなの投票で、代表を決めて活動していってほしいです。


取材・文：鈴木健也（BARKS／Pop'n'Roll編集部）
撮影：Ikuya Nishikado

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