【インタビュー】BACK-ON、イベント<Bring the Noise Vol.1>は自分たちの新しい扉を開くことになる
■「この2人になったからこそ」
■攻めるBACK-ONが開く新しい扉
――昨年5月に行った結成15週年ライヴでメンバー2人が脱退し、BACK-ONはKENJI03さんとTEEDAさんの2人体制になりました。その脱退を発表する際に「活動休止中の制作でメンバー間にズレが生じた」というコメントを出されてましたよね。改めてになりますが、そのあたりからお訊きさせてください。
KENJI03:僕らって常に足元を見て、足並みを揃えて、最後まで行くという姿勢だったんです。それはいいこともあったんですけど、トゲがだんだんとすり減ってしまって……要するに、悪い意味で耳障りがいいモノを求めるようになっていったんですよね。
TEEDA:ずっとやってきて、丸くなりすぎちゃったというか。4人それぞれ主張を持ってたのに「みんな一緒ににいれたらいいよね」という調和性が強くなっていったし。活動休止期間中にできたのもたしかにいい曲なんですけど、なんだか自分たちらしくないなと。
――モノづくりをする過程では強い意見をぶつけ合う必要もあるかと思いますが、長年の仲間ということでお互いに気を遣い過ぎたというか。
TEEDA:その状態で続けていくことがホントにやりたいことなのかなと思っちゃう気もして。そんな中で、BACK-ONとして新たな挑戦をしたい側が僕とKENJI03だったんです。2人いれば、歌えるし、曲も書ける。じゃあ、続けてみようかっていう。
KENJI03:正直に言うと、辞めようかなと思った時期もあったんです。でも、このまま辞めてしまったら、BACK-ONとしてやってきたことが何も残らないで終わっちゃうというか。やっぱり、最後までゴールしたいし、まだ辞めるわけにはいかないなと思いました。
――多くの場合、メンバーが脱退すれば、新しいメンバーを探しますよね。そういった選択肢はなかったんですか?
KENJI03:そう考えたこともあったんですけど、それだと何も変わらないのかなって。だったら、今のレールのまま突っ走っていくけど、違うスタイルで(BACK-ONを)アップデートしたいなってTEEDAと話し合ったんです。ギタリストとベーシストがいないマイナスな状況を強みにするというか、そこを僕ら2人で埋めてやるという気持ちを持ちつつ、今ある自分たちの武器で戦えるんじゃねえかっていう。
TEEDA:加えて、新たな挑戦をしたい2人がいるからこそ、他の要素を入れたくない部分もありましたね。ありがたいことに「オレがやるよ」って声をかけてくれたバンドマンも多かったんです。でも、「この先、お願いすることがあるかもしれないけど、今は2人でやりたいんだ」という話をして。誰か必要なときはサポートとして迎えるスタンスがいいなと。
――音楽的な部分について、何か変化した部分もありますか?
KENJI03:僕がアレンジとかも全面的に任されてるんで、あえて聴きやすくする作業も今はないし。あと、内容としては原点に立ち返ってます。もともと、僕らは激しい音楽に影響を受けて、そういうバンドになりたいと思ってたはずだけど、いつの間にか聴きやすいところに比重を置いてた時期もあって。だから、初期衝動が生まれたサウンドを、スキルを身に付けた自分たちが表現したらどうなるのか、っていうコンセプトで配信限定EP『NEW ERA』は作ったんですよ。
TEEDA:その中で「Clown」って曲があるんですけど、歌詞なんてほとんどが(放送禁止の)ピーって音を入れなきゃいけないような内容なんです。以前のBACK-ONだったら絶対にやらなかった。攻撃的すぎる言葉、誤解が生まれるかもしれない強い言葉は止めておこうとしてたから。でも、今は僕がホントに思ってることならいいや、って。KENJI03もカッコいいと言ってくれたし。
KENJI03:お互い、100%対100%のぶつかり合いができてると思います。
――自分たちの考えやスタンスを最優先するのって、長く続けてきたバンドこそ難しいじゃないですか。バンドを始めたてのような純粋さを打ち出せるのはすごくいいですね。
KENJI03:たしかにそうですね。ただ、昔はそれを勢いだけでやってたけど、今は自分たちの魅せ方や進む先を見据えて作ってるんですよ。そこは、15年やってきたからこそ、できるんだと思います。
TEEDA:だから、過去に出した曲たちはそれはそれで自分たちの足跡であり、大好きなんです。そこがあったから今の感覚になれてるわけだし。この15年間にはホントに感謝してますね。
――2人体制でワンマンもやられましたが、感触としてはいかがでしたか?
KENJI03:タイトになったところもあって、パフォーマンスも込みですごく良かったですね。
TEEDA:ライヴだけはサポートでドラムを入れてるので、グルーヴ感もだいぶ出てるし。あと、ギタリストとベーシストがいない分、曲と曲の間を埋めるかき回しができないんで、そこはSEやヒップホップのビートを流してたりするんですけど、それもちゃんとしたエンターテイメントというか、流れを止めないヒップホップのライヴのように見せれてたかなと思ってます。
――ライヴだけに限らず、中心になるのは2人ですし,責任感も増してますよね。
TEEDA:そうですね。だから、それぞれの役割をまっとうするというか。例えば、コンポーザーとしてKENJI03がオケを作ってくれることに関しても、信頼して任せながら、触れないモノは触らないようにしてるというか。
KENJI03:でも、気になったところがあったらちゃんと言ってね(笑)。
TEEDA:ハハハハ(笑)。いや、気にならない部分が多いし、期待以上のモノを提示してくれるからさ。それを受けて、僕は歌詞を書くんですけど、気合いもより入るし、自分自身の言葉かどうかをすごく意識するようにもなったんです。なんかこう、柔らかいというか、みんなに伝わるような言葉選びがクセになってたんですよね。そこが、自分ひとりでその言葉を背負えるかどうかを大事にするようになって。賛否両論ありそうだなと感じたとしても、返り討ちにしてやるっていう覚悟で書いてるし。そこはリアルじゃないとダメだから。
――2人の関係性が変わったようなところも?
KENJI03:集団として進む場合、ひとつの物事を決めるのもたいへんだし、結果として多数決になったこともあるんです。だけど、今はお互い主張できてるし、よりクリエイティブな関係性になってますね。
TEEDA:それこそ、LINEは便利ですけど、できるだけ電話で話すようにしてます。やっぱり、その方がニュアンスが伝えやすいじゃないですか。まあ、僕らずっと一緒にやってきてるんで、熟年夫婦の再々婚みたいなところもありますけどね(笑)。話さなくてもわかるところがあるっていう意味では。
――また、ライヴ活動の方向性についても伺わせてください。これまでのBACK-ONは、いわゆるロックバンドがいないフィールドで激しいサウンドを鳴らして道を切り開いてきた印象が強いんです。例えば、アニメやゲームを通じて海外のファンもたくさんいて、他のバンドとは違う価値観を見出して活動してきたといいますか。
TEEDA:そこに関しては、ここから変わっていきそうな気がするというか。4人体制のときにロックシーンにいなかったというよりは、いれなかったんですよ。その当時のBACK-ONって、いろんな音楽を好きな人に聴いてもらいたいとふんわりしすぎてしまったが故、ロックシーンへ飛び込めば物足りないと受け取られ、ポップスシーンにいったらうるさいと言われたり。そんな中、アニソンってカテゴリーだと、ロックをやってもヒップホップをやっても何でもいい、って感じになってて。
――不思議なところもありますよね。ものすごくヘヴィなリフでも受け入れられてたりして。
TEEDA:だから、アニメの主題歌をやったことで、そういった切り口から日本だけじゃなくて、海外でもファンが一気に増えたんです。そこを受けて、BACK-ONの音楽が好きだと言ってくれるところでライヴをしてきたような感じもあるんですよね。
KENJI03:あと、自分たちもちょっと遠ざけてたところもあったんですよね、ロックシーンに対して。今は100%自分たちのやりたい音楽を主張できてるんで、もう1回、突っ込んでいきたいなという気持ちなんです。
――そういった意味では、ロックフェスにも足を踏み入れたい?
KENJI03:もちろん、もちろん。やっぱり、ライヴバンドとして、BACK-ONをのし上げたい気持ちがあるし、フェスに出れてなかったという現状がありますから。その為にはもっと刺さるようなパフォーマンスをしなきゃいけないし、そういう努力をしながら、少しずつライヴバンドとして前進していきたいんです。
――そうなると、ライヴ自体の本数も増えそうですよね。
KENJI03:この2人でライヴを始動してからちょうど1年なんですけど、ここへきて、もっと本数を増やしたい気持ちにもなってきてます。試行錯誤した結果、新しい方向性もしっかり見えてきましたから。
◆インタビュー(2)へ
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