【ライブレポート】INORAN、全国ツアー完走「みんなと俺との間にはちゃんと絆がある」

INORANが、新作『Override』を提げた全国ツアー＜INORAN TOUR 2018 “Override 66”＞の最終公演をStellar Ballで開催した。当日9月29日はINORANの誕生日で、＜NO NAME? MEMBERS’ LIMITED LIVE– INORAN PREMIUM B-DAY –＞と銘打った、ファンクラブ『NO NAME?』会員限定のプレミアムなライブとなった。本記事では、オフィシャルライブレポートをお届けしよう。

◆INORAN 画像

定刻を過ぎたころ、間接照明が温かく照らすステージに重低音の効いたSEとともにメンバーが登場。INORANの印象的なギターイントロで始まる「REDISCOVER ON ANOTHER」が、この日のライブの口火を切る。バンドは、90’sのオルタナティヴ感とワイルドな色気を感じさせる新曲「We’ve Lost Control」に続き、「Awaking in myself」「grace and glory」と序盤からトップギア級の楽曲を送り込み、フロアとの一体感を構築していく。

“ヘイヘイ、東京！　元気だったかい。俺は今回のツアー、自分を「嵐」に例えていて。そう、今この場所で吹き荒れる音の雨と、音の風圧……その中でみんな、今日は思いっきり踊ってくれ！　ツアーファイナル、最高の1日にしようぜ！”と煽ると、外は大雨だというのに会場内は活気と熱気で満ち溢れ、誰もが晴々しい表情でその一瞬一瞬を楽しむ。“みなさんNO NAME?（＝INORANファンクラブ会員）ですよね？　もっとくれてもいいよね？　俺のほしいもの、わかってるよね”と、オーディエンスをさらに挑発するINORANは大歓声を浴びながら、ミーラーボールがムーディーに回転する中で先月リリースされた新作『Override』より「Turn It Around」を投下する。


中盤にはサポートメンバーのYukioMurata（G）、u:zo（B）、RyoYamagata（Dr）によるセッションを挟み、このツアーで演奏されてきた未発表曲「adore」をプレイ。メンバーがパートチェンジをするというレアなアレンジとキャッチーさを持つこの曲は、新曲「Turn It Around」と同様に、これからのINORANライブでどう育っていくのか期待感を膨らませた。

“ここで、俺の盟友を呼んじゃおうか。スペシャルゲストDJ BASS！”

INORAN初期の作品では必ずDJ BASSのスクッラッチが聴けると言うほど、彼のプレイが好きだと公言するINORAN。そんな盟友DJ BASSは、INORANとステージで再会すると、照れながらも“誕生日おめでとう！”とINORANへ祝いの言葉を贈った。INORANがソロのステージでDJ BASSと共演するのは約6年振り。INORANが奏でるギターサウンドとDJ BASSのスクラッチプレイが織り成すロックが、ライブのボルテージをさらに上昇させる。

“つらいことや嫌な思いはみんなあると思う。そういうもの……なんでもいい。着ているもの持っているものに例えて1枚脱いでほしい。全部今日ここで吹き飛ばしていかないか！”と、INORANが威勢よく声を上げると、オーディエンスは各々が身につけていたタオルやバンダナを高く掲げて、旋風を巻き起こした。“どれくらい いけるか どこまで飛べるかを”とくり返される「Rightaway」のサビのシンガロングがフロア中に美しく響き渡る。


ライブ終盤に、このツアーのクライマックスシーンの1つ、『Override』の表題曲「I’m Here for you」が放たれると、フロアには所々でモッシュが沸き起こるほど最高潮の盛り上がりを見せる。この曲が発信する強いメッセージやパンクスピリッツ溢れるパフォーマンスは、観るもの聴く人を勇気づけ、前向きに生きていくことを賛美する。

“俺は、今も旅を続けています。だから今、ここにいるなぁと実感します。みんな本当にありがとう。今日は誕生日と言っても48年前に俺が生まれただけで。今周りにいる人にとっては何気ない普通の日だったりするんだよ。でもそういう日を一緒に祝ってくれる友達とか家族とか、そういう人、隣にいてくれる人を絶対に大事にしてほしい。それが絆っていうものだと思うから。だからこうして集まってくれたみんなと俺との間にはちゃんと絆があるんだよ。俺は少しでもみんなの背中を押せるように、曲を作って、歌って、ギターを掻き鳴らして、そうやって音楽と向き合って、CDに魂を込めて……これからも届けます。そのためにこれからも精進していくつもりだから、よろしくお願いします！”と感謝の意を述べると、ラストは会場全員でのシンガロングがそこにいるみんなの感動と感情を震わせる「All We Are」で締め括った。


演奏が終わり最後のMCの途中には、オーディエンスによるハッピーバースデーの合唱に合わせてDJ BASSが大きなバースデーケーキを運びながら登場するというサプライズ演出が。さらにフロアからはアンコールが起こると、INORANは再びマイクを取る。

“もうちょっと演りたいんだけど、それは年末に！　12月に大阪と東京で演ります！　アンコールが観たかったら来てくれな！”この発表にフロアからは大歓声が起こる。こうして大きな熱気に包まれながら、ツアー本編の幕は閉じられた。

年末に開催されるアンコールツアー＜INORAN TOUR 2018 -ENCORE-＞は、12月27日（木）の梅田Shangri-La、12月30日（日）の渋谷duo -MUSIC EXCHANGE（渋谷公演は『NO NAME?』限定ライブ）。なお、NO NAME?会員のチケット先行予約はスタートしている。


撮影：RUI HASHIMOTO（SOUND SHOOTER）