NAZORANAI(灰野敬二+S・オマリー+O・アンバーチ)、常識を“解体”する最強トリオの日本公演再び
9月22日(土)からスタートする<Red Bull Music Festival Tokyo>のイベントのなかでも、アヴァンギャルドな一夜となること間違いなしのイベント<NAZORANAI>が9月27日(木)に代官山UNITで開催される。“音楽の解体”をテーマとしたこのイベントに出演するアーティストは、“なぞらない”と石橋英子だ。
なぞらないのメンバーは、灰野敬二に加えて、USドゥームメタルの雄、Sunn O)))としても活躍するスティーヴン・オマリー、オーレン・アンバーチの3人。オマリー率いるSunn O)))は、黒装束を着て目の玉が震えるような轟音を鳴らすという、カルトなドローン系バンドだ。アンバーチはオーストラリア出身のマルチ奏者の実験音楽家であり、その低域に特化した音作りで、Sunn O)))にもたびたび参加している。
アンバーチと灰野はジム・オルークとともにトリオとしても活動していて、オマリーは彼らの作品のジャケットを手掛けている。また、Sunn O)))のみならず、アンバーチとともに現代版プログレッシブ・ミュージックを追求した『Shades Themes From Kairos』をはじめ、幅広い音楽性を持っている。なぞらないは同プロジェクト名義のアルバムをリリースしているが、深淵なアンビエント・ドローンと、灰野の即物的なアヴァンギャルド性がミックスされ、おどろおどろしい世界観を創り上げている。
ここまでSun O)))のふたりを中心に説明してきたが、ここからが本題だ。今回のイベントの核となるのは、灰野敬二である。なぞらないの作品を聴いてもイニシアチブを握っているのは灰野の圧倒的なノイズやヴォーカルとギターだ。ここでは、簡単に灰野の経歴を振り返ってみたい。1952年に千葉で生まれた灰野は、1970年初頭より即興のボーカルによるロスト・アラーフに加入。1977年頃にギターの演奏を始めると、1978年にバンド、不失者を白石民夫とともに結成、その後はトリオとして活動した。不失者のハードロックのテイストを織り交ぜつつも、既存のロック・ミュージックの枠を完全に逸脱した、奔放で前衛的なサウンドは、日本独自のアヴァンギャルド・ミュージックの礎となった。また、彼らの音楽は世界的にも評価を受け、ソニック・ユースのサーストン・ムーア(g,vo)をはじめ、多くの熱狂的な信奉者を生むこととなった。
その他にも鬼怒無月や勝井祐二らとのBlack Stage、吉田達也とナスノミツルとのサンドリヘン、滲有無、哀秘謡、Vajra、静寂、The Hardy Rocksとして活動するほか、experimental mixture名義でDJも行う。不失者は流動的でありながらも現在でも活動しており、2012年にはナスノミツル、高橋幾郎とともにアルバムをリリースしたほか、今年の7月にはオリジナル・メンバーである白石民夫とともにライブを行っている。灰野はギターやヴォーカルのみならず弦楽器、打楽器、世界各国の民族楽器などを伝統的な演奏法に囚われずに独自のスタイルで演奏する。そもそも彼にとって音楽の発端でもあった“ボーカルによる即興”というのが、楽器演奏においても息づいている。
そんな灰野が今回の対バンに指命したのが石橋英子。ハードコア・フリージャズ・バンドのNATSUMEN、吉田肇率いるオルタナ・ミュージックの重鎮PANICSMILEなどで活躍し、即興演奏を得意とし、さまざまな楽器を操る女性アーティストだ。その後、ソロとして活動するようになると、シンガーソングライターとしての才覚を現し、ジム・オルークがプロデュースした2011年作『carapace』はインプロで培った多彩な音楽性に加えて、味わい深い歌詞の世界、美しいメロディが一体となった作品として高い評価を得たほか、2018年7月にリリースされた最新作『The Dream My Bones Dream』では、中国語詞を用い、無二の世界観を構築している。シンガーソングライターとしての才能はもちろんのこと、即興演奏も得意とする石橋が、このイベントでどんなアプローチをしてくれるのか、大いに注目したい。
国内のアヴァンギャルド・ミュージック・シーンの創成期より活動する灰野は、即興/前衛音楽の魅力を地でいく魅力を持っている。アヴァンギャルド音楽はもちろん、特にノイズ・ミュージックには、瞬間的に生み出される音がカッコイイかどうかに、すべてがあるという面白さがある。その意味でも、灰野が出すノイズやサウンドには圧倒的なカッコ良さ、そして無二の存在感があり、不失者が世界的に受け入れられたのもそこに理由がある。音楽ジャンルに基づいたアンサンブルなど、音楽の常識を“解体”し、その枠組を飄々と抜け出る灰野の音楽。その場で瞬間的に生み出される音の芸術を、このイベントでぜひ体感してほしい。
<NAZORANAI>
場所:東京・UNIT(代官山)
出演:なぞらない(灰野敬二 + スティーヴン・オマリー + オーレン・アンバーチ)、石橋英子
料金:前売 2,000円
※未就学児は入場不可。小学生以下の方は保護者同伴のみご入場いただけます。
※小学生以下のお子様は耳を守るために必ず耳栓かイヤーマフを着用ください。
詳細/チケット購入:https://www.redbull.com/jp-ja/music/events/nazoranai
<RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2018>
会場:都内各所(渋谷・新宿・上野など)
オフィシャルサイト: www.redbullmusic.com/tokyo #REDBULLMUSIC
※会場内での出演者及びライブの撮影・録音・録画等は禁止となります。
※客席を含む、会場内のオフィシャル映像及び写真は公開される場合がございます。
※実施内容は予告なく変更となる場合がございます。
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