【インタビュー】レルエ「アルバムのテーマは“ノレて踊れる”」
ギター、ベース、ヴァイオリンという個性的な編成で、聴きやすいキャッチーなメロディに電子音を散りばめた、ダンサブルなサウンドを奏でる気鋭の3人組=レルエ。そんな彼らが限定シングル2枚のリリースを経て、初のミニアルバム『UNITE』をリリースした。インディーロックにEDM、エレクトロポップなどのサウンドをバランス良く取り入れつつも、心地良く聴けるメロディックな世界観を構築している。ここではバンド・リーダーの櫻井健太郎(vo/g)と、saya(violin/synthsizer)のふたりに、バンドの成り立ちから新作について、話を聞いた。
◆ ◆ ◆
■エレクトロにギター、アコースティック楽器を
■うまく融合したサウンドを目指した
──まずはレルエの結成以前のことから、話を聞かせてください。
櫻井:もともと別のバンドをやっていましたが、対バンでベースのエンドウリョウを見て、誘って組んだバンドがレルエの原型になり、その後、バイオリンのsayaを誘って今の形になりました。
──ふたりはわりと近いシーンで活動していたのですか?
櫻井:いえ、全然違う場所で活動していましたが、sayaがいるバンドにバイオリンがいるっていうのは知っていて。僕も自分のバンドにアコースティックな要素を取り入れたかったから、バイオリンを入れたいってところまでは決まっていて。そのバンドが解散する話を聞いたので、見に行きました。
──レルエとして活動を始めたのはいつ頃ですか?
櫻井:結成自体は2013年頃で、今の3人でやっていました。ただ、ドラムとギターはサポートメンバーというこだわりがあって、そのメンバー探しもしていたので、ちゃんと活動をスタートできたのは2015年頃です。
saya:地下活動として曲作りはしていたんですけど、ライブをやり始めたのはここ数年ですね。
──ドラムとギターをサポートメンバーにしたかった理由は?
櫻井:入れてほしいフレーズや音色がほぼ決まっているので、イメージを共有しつつ、さらに表現を広げてくれる人に頼みたいというところがあり、サポートにしています。
──宅録は昔からよくやっていたのですか?
櫻井:中学校3年生くらいから曲作りはしていて、各パートの演奏を作るのが好きでした。
──3人でレルエを始めた時は、どんなバンドにしようと思っていましたか?
櫻井:前のバンドでやっていたようなギターロックで、国内のシーンのなかで一歩前に出るのは難しいんじゃないかと思って。僕は北欧のインディーバンドがすごく好きだったから、そのあたりのテイストを取り入れて、アコースティックな楽器を入れて差別化ができたらいいなと。それでエレクトロにギター、アコースティック楽器をうまく融合したサウンドを目指したいと思っていました。
──ちなみに好きな海外のバンドは?
櫻井:北アイルランドのトゥー・ドア・シネマ・クラブが好きです。昔のものよりは2010年代の洋楽インディーがすごく好きで、その辺りのシーンを追いかけていました。
saya:レルエになる前はギター・ロックとバイオリンだけで、シンセや他のサウンドがいっさいなかったんです。なので、レルエになってからはサウンドがガラッと変わりました。
──sayaさんもその辺りの音楽の趣味は共通していたのですか?
saya:はい、昔から好きですね。レルエの音楽性と共通するバンドだとクラクソンズあたりが好きです。中学〜高校生の時はシンセなどの同期演奏が入っているバンドはあまり好きじゃなかったのですが、大学でバンドを始めた頃にクラクソンズを初めて聴いた時に“何てかっこいいんだ!”って思って、シンセサイザーに対する認識が自分の中で変わりました。その時はまだ自分が活動していたバンドで取り入れるまではいかなかったけど、レルエではその時に感じたカッコ良さを取り入れたいなって思いました。
■ビンテージのサウンドにこだわって
■ギターアンプを20台以上買い換えた
──今のレルエの音楽性はいつ頃から出来上がってきたのですか?
櫻井:地下活動を始めた時から、おおよそのやり方は出来上がっていました。
saya:それよりも、地下活動中の期間はいろんな音楽を聴いたりしていました。
櫻井:そう、とにかくインプット作業が中心でした。それがまだまだ出しきれていないので、これからアウトプットを頑張っていこうと思っています。もとがギターロックのバンドだったこともあって、いきなり180度方向転換をするのは無理だから、徐々に擦り合わせていきました。なので、地下活動の時は僕がDAWで作曲して、各メンバーにそれを渡して、方向性を調整していった感じですね。
──その期間は宅録的な作業だけでなく、リハーサルスタジオにもよく行っていたのですか?
櫻井:週一日くらいはスタジオに入っていました。僕はギターの機材が好きなので、優れたギターサウンドを取り入れることで、自分たちの音楽をより差別化できるのではないかなと思っていて。なのでビンテージのサウンドにこだわって、ギターアンプは20台以上買い替えました。今は2台しか持っていませんが。
──アンプは何を持っているのですか?
櫻井:マーシャルのPlexiとフェンダーのHot Rod DeVilleです。フェンダーはツアーのときに知り合ったバンドがみんな持っていたので、買ってみたらよくて、堅牢な感じが好きですね。
──今回のミニアルバムの『UNITE』で聴けるサウンドは、バンドとして、昔から思い描いていた感じが出せましたか?
櫻井:はい、今できる段階ではベストだと思います。まだ地下活動中のインプットが出し切れてない部分があるので、最初の一歩的な作品です。
──この作品は、いつ頃から制作したのですか?
櫻井:ミニアルバムを作ろうって話が出たのが今年の4月なので、けっこう最近ですね。
saya:半分は今年できた新曲で、残りの半分がこれまであたためていた曲です。
■『UNITE』は夜やネオンの紫色の雰囲気の中で
■ノレて踊れるっていうのがテーマ
──レコーディングはどのようにすすめたのですか?
櫻井 完全に宅録で作ったものと、スタジオで録った曲があります。ただ、エディットをしっかり作り込んだので、最終的には宅録のような作業になりました。
saya:レコーディングまでにアレンジも完璧に作り込むので、あとは録るだけって感じでした。ですから、レコーディングはひたすらうまく演奏するだけで、ちなみにバイオリンはスタジオで録音しました。
──バイオリンも櫻井さんがアレンジしたり?
saya:いえ、バイオリンのパートは入っていない状態でデモが送られてくるので、自分で考えています。シンセのパートはデモの段階で基本的に入っていますが、あとで細かいアレンジを合わせたりしています。
──シンセは何を使っているのですか?
saya:ソフトウェア音源だとNATIVE INSTRUMENTSのMASSIVE、あと実機のシンセはKORGのKronos 2を使っています。
──DAWは?
櫻井:昔はAPPLE Logicを使ってたんですけど、最近はSTEINBERG Cubaseです。
saya:私はNATIVE INSTRUMENTSのMaschineで組み立てて、音源データのやり取りはCubaseでしています。MaschineとCubaseの概念の違いを理解するのに最初は苦労しましたが、慣れると便利ですね(笑)。
櫻井:僕らのライブだと、sayaの機材が一番強そうですよ。
──ドラムのサウンドはあまり打ち込みっぽさを感じない音作りでした。
saya:やっぱりポイントで生っぽい音が欲しかったりします。トゥー・ドア・シネマ・クラブもドラムがサポートですが、彼らのライブみたいにエレクトロだけど生音感がある音がわりと好みです。
櫻井 リズムに関してもそうですが、バンド感があるかどうかは意識していますね。
──ミディアムテンポの曲が多かったように感じましたが、そのあたりは意識していますか?
櫻井 ライブでお客さんが体を揺らしているところを想像したら、ミディアムテンポな曲が多くなりました。
──『UNITE』で2人が好きな曲やオススメの曲を教えてください。
櫻井 1曲目の「青とゲート」は多くの人に聞いてほしいと思って作った曲です。イントロでシンセのサウンド、リード・ギター、バイオリンが入っていて、テーマを分かりやすくしているので、まずはこの曲を聞いてほしいですね。あとはもう少し僕らのコアな部分が出ているのが7曲目の「ネオサイン」。ダンスビートに体を揺らしながら聞いてもらいたいです。
saya 今、話に出たアルバムの最初と最後の曲が、一番新しく作った曲です。
──sayaさんが好きな曲、オススメの曲はありますか?
saya 3曲目の「火花」です。マニアな音楽好きの人には、いいねって言ってもらえる曲かなと思ってます。この曲はデモをもらった時に泣いてしまったくらい、私としても気に入っています。あと今回の作品のメイン曲でもある「夜はモーション」ですね。
櫻井 「火花」はEDMとインディー・ロックを混ぜ合わせたイメージで作りました。EDMとロックのどちらかにウエイトを置きすぎると、単品のジャンルで聞いたほうがいいと思うので、うまいことその中間をとったような曲を作りたいと思ってます。
──ビートに合わせてウネりをだすEDMの音作りの手法でもある、サイドチェーンをけっこう使っていたので印象的でした。
櫻井 EDMも好きで、3〜4年前から聴いてますね。でも、そこまで掘り下げてないのでマシュメロとかアヴィーチーとか、有名どころ好きです。
──では、ミニアルバムを作り終えての感想を。
櫻井 「夜はモーション」をメインテーマの曲にすえたことで、夜やネオンの紫色の雰囲気の中で、ノレて踊れるっていうテーマがはっきりしていたので、わりとすんなり作ることができました。
saya 初めて全国に出す名刺代わりの一枚として、自分たちのやりたいことができたと思います。曲によっても表情は違いますが、いい感じにまとまりました。
──これからの活動予定、展望を教えてください。
櫻井 今年はいろんなフェスに出させてもらえるので、この作品の曲をどんどん展開していきたいです。これまでインプットしてきたものに対してのアウトプットに、まだ納得できていないところもあるし、コアな部分とキャッチーさの両立っていう課題も残りますが、より良い物を作っていきたいですね。後は、機材にもこだわっているので、ライブにもぜひ足を運んでもらいたいです。
saya 今後、活動のスケールが大きくなった時のために、例えばライブの照明演出など、より自分たちの曲を明確に理解して、世界観を広げるための勉強もしていきたいです。
取材・文:伊藤大輔
『UNITE』
VAA88-005 1,800円(税込)
1.青とゲート
2.さよならマジョリティ
3.火花
4.夜はモーション
5.シルエット
6.#1
7.ネオサイン
ワンマンライブツアー<LELLE one-man live tour 2019 「UNITE」>
2/10(日)心斎橋 JANUS
2/22(金)渋谷WWW X
【先行受付開始】(9/24(月)まで)
http://w.pia.jp/t/lellelelle-of/
◆レルエ オフィシャルサイト
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