【対談】暁(アルルカン) × ガラ(MERRY)、「僕にとって最後の後輩バンド」
■人間味とか人間臭さが
■絶対に出るからね、バンドって──ガラ
──誰にでも伝わるような普遍のメッセージ的なものとか?
暁:ああ、それぐらいのほうがいいんですかね。例えば情景が見えるような歌詞が僕は苦手で。そういう単語を使えないんですよ。“ベンチ”とか。恥ずかしくなってくる(笑)。
ガラ:俺は大丈夫(笑)。
暁:いいな〜、と思って(笑)。
ガラ:どんな言い回しも、全然使える。でも英語はあんまり使えないかな。
暁:僕は英語も入れてたんですけど、ちょっとよく分からなくなってきて。一応、英詞の意味は知っているけど、日本語のほうが強いなと。今は、よく分かんない言葉を歌っているのがイヤだなと思っているんです。
▲ガラ(MERRY) |
暁:エッ!?
ガラ:歌録りの当日まで見せなかった。歌って初めて“こういう歌詞が来るんだ”とみんな知るぐらい(笑)。
──3年ぐらい前からですよね、歌詞を先行で曲作りにするようになったのは。
ガラ:そうですね。その前までは、曲だけあって、メロディは僕が付けて、その状態でみんなはレコーディングに入ってたから。どんな歌詞が来るのかも分からず、みんながレコーディングするという。でも僕の頭では完成形が見えている、みたいな。
暁:僕らもそれに近い状態だけど、それは僕が期日ギリギリに歌詞を書くっていうだけで。歌詞を見せないっていうんじゃなくて、スケジュール的に見せられないっていう(笑)。
ガラ:でも、メンバーで歌詞について話し合いをしているのは、いいですよね。今は言葉遊びも難しくなってきてるじゃない? 歌詞の意味、ストーリーや背景、それを説明する時代になっちゃってる。“これはこうでああで、だからこうなんです”みたいな。オチがないと発表できないみたいなのが、自分もちょっと難しいなと思うところなんです。自分がバンド始める前は、歌詞読んでも意味分かんない曲はいっぱいあったんだけど、なんか響くな、という。
暁:確かに。このときの雰囲気のこの言葉が好きだ、みたいなのでいいと思うんですよね。そういえば、僕は歌詞を書いていて、起承転結の“結”がないとはよく言われますけど(苦笑)。
ガラ:ああ、自分も歌詞を投げっぱなしで、後は自分で考えてくださいみたいなことも結構ある。聴いてもらって、そこから先はみなさんそれぞれの解釈で、みたいな。それはたぶん逃げていたのかもしれない。今は、そこから先もちゃんと書かないとなかなか伝わらないんで、よりシンプルになってきちゃっているし。でも逆に、直接的に言わないと伝わらないみたいなところが難しいと思いますね。
▲暁(アルルカン) |
ガラ:いやいや、自分のことを歌詞であれだけさらけ出せるヤツもいないよ。
暁:もがきっぱなしです。程度がちょっと変わっただけで。昔はバンドが売れることが目的で、目標は別にないみたいな。でも今は、大きく設定すると“幸せになるため”。バンドをやる価値観とか大切にしたいものが、時を重ねて変化してきましたね。だから、つまらないヤツになってしまうのが怖いです(笑)。自分で自分がつまらないなとか感じたことあります?
ガラ:そんなの、いつも思うよ。なにかおもしれえことねえかって探したり、なるべく外に出るようにもしたし。やっぱりね、自分から動いていかなと世界も広がらない。待ってて来る時代じゃないから。でも、模索したり悩んだりしているのは、それはいいことだと思うけどな。どうでもいいことだったら考えないでしょ? もがいて“どうしよう”って考えるってことは、それだけそこに信念も気持ちもあるってことだから。悩みとか迷いっていい言葉じゃないかもしれないけど、迷えるものがあるっていいことだと思う。自分がそれだけ考えたりできることがあるってのは、実は幸せかもしれないし。だから、もがきとか悩みとか、あまりネガティヴな言葉に感じないんだよね。
暁:良かったです。僕、そういうのが詞にも出ちゃってるんで。ライヴになると、だだ漏れですよ、今も(笑)。
ガラ:それが暁であり、アルルカンなのかもしれないけどね。人間味とか人間臭さが絶対に出るからね、バンドって。
暁:歌詞のテーマはけっこうネガティヴなんですけど、どんなテーマだろうが、みんながライヴに来るってことは幸せになりに来てるんだなって気づいたときがあって。そこから抑えるようになりましたね。イラついていても言わない、みたいな。その分、悲しい曲を歌うとき、前よりもすごく自分が曲に入っちゃうようになったし。それが、逆に良かったなと思ったし、なんかおもしろいですね。
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