【インタビュー】doa、11thアルバム『ISLAND』完成「描いたのは心の休憩時間」

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■バイクは作曲家のみなさんにオススメ
■景色を見たりするほうがイメージが膨らむ

──胸に染みる1曲に仕上がっています。他にも注目すべき曲はたくさんあって、たとえばブルースを基調にした「オンリーユー」もアルバムのいいフックになっています。

徳永:これは、結構本格的なブルースをやってみようかというところから入りました。ただ、ブルースをそのままやっても意味がないので、フィドル (バイオリン)をフィーチャーしましたね。

大田:僕が歌詞を書いたんですけど、歌詞をみんなに送るときに、なんて言われるかなと思いました。こんなふざけた感じの歌詞でいいのかなと。そうしたらね、2人ともなにも言わないんですよ。

徳永&吉本:いや、この歌詞はいいよ。

大田:本当に? ブルース調なのにフィドルとかも入っていたりして、「オンリーユー」は曲がカッコいいじゃないですか。なのに、こんな歌詞で本当にいいのかなと、なにも言われないままレコーディングに入って、そのまま作業が進んでいった(笑)。だから、ずっと不思議な感じがしていました。

吉本:大人な歌詞だし、大人じゃないとこういう曲は歌えない。

徳永:フィドルの不安定さみたいなものが、意外とこの曲の歌詞にハマっているし。そういう意味でも、いいんじゃないかなと思うよ。

──すごく楽しめました。あと、アルバムの後半に「BURNIN’ BURNIN’」や「MAYDAY」といった’70sハードロック感を押し出した曲が入っていることも印象的です。

徳永:狙ったわけではなくて自然と出てきました。「BURNIN’ BURNIN’」は「HERO」と同じように、バイクに乗っていたらメロディーとビートのイメージが浮かんできたんです。たぶん、ステッペン・ウルフみたいな気分になっていたんでしょうね。スマホに録るときは、ビートパターンも入れるんですよ、“♪ズズッタンツクズッズタン バ~ニン バ~ニン”みたいな(笑)。「MAYDAY」とかもそうだけど、この曲のテンポ感は机に向かっていたら絶対に出てこないと思いますね。

──バイクで走ることが曲をつくるうえで重要な役割を果たしているんですね。

徳永:そう。バイクで走るのは作曲家のみなさんにオススメです(笑)。僕の場合、家でピアノをポロポロ弾いたりしていても、なかなかいい曲はできない。それよりも外に出て景色を見たりするほうが、全然イメージが膨らむんです。

吉本:“バイクも作曲に必要なツールだ”って税理士に言ったほうがいいんじゃないですか(笑)。そうすればバイク代が経費になるから(笑)。

徳永:たしかに俺にとっては重要なアイテムだな(笑)。

──税理士さんに言ってみましょうよ(笑)。大田さんと吉本さんは「BURNIN’ BURNIN’」や「MAYDAY」には、どんな印象を持たれていますか。

大田:2曲ともそうですけど、エレキギターとアコギが同じことをしていて、同じくらいの音量で鳴っているんですよ。それがdoaの味。ただ、「MAYDAY」は思いきりアコギを弾かないと、エレキギターと肩を並べるところまでいかないんです。それに、「BURNIN’ BURNIN’」は最初は僕が歌う予定だったんですけど、このリフを弾きながら歌えないよというところから始まって(笑)。

吉本:ええっ、ラクしているのか(笑)?

大田:いや、ラクとかじゃなくて、物理的に無理なんだって(笑)。それで、吉本くんに歌ってもらうことにしたんです。

吉本:こういう曲調は大田さんの大好物なんですよね。それを僕が歌うということがまず面白いんだけど、テイストが全然変わるというのがあって。大田さんが「BURNIN’ BURNIN’」を歌うとすごくカッコいいけど、優しさが残る感じになる。こういう曲を自分が歌うならどう感じがいいかなって結構考えましたね。録りのときは、か細くならないことを意識しました。

──吉本さんが歌われたことも「BURNIN’ BURNIN’」の新しさを感じさせる要因になっています。歌の話が出ましたので、今作を作るにあたって、それぞれボーカルの面で大事にしたことも話していただけますか。

徳永:3人で歌うときは基本的に僕がロー・パート担当で、リード・ボーカルとしてはバラード的なものを歌うことが多いんですね。そういう中でいつも心掛けているのは、上手く歌いすぎているように聴こえさせないことです。変に声を張り上げたり、伸びやかすぎる発声をするんじゃなくて、今こうやって喋っているような感じ、隣にいる人に喋っているような感じで歌う。それはデビュー当時から心掛けています。今回は「シアワセ」と「You belong to me」で僕がリード・ボーカルを取っているんですけど、「シアワセ」は一度録った曲なんです。だけど、ちゃんとしすぎていて、むしろ厚かましいように聴こえてしまったので、全部録り直したのが今のバージョンです。そういうサジ加減が、すごく難しい曲ではありましたね。

──ややぶっきら棒でいながら温かみがあって、爽やかという絶妙の表情を味わえます。

徳永:その表情をつくるのに時間がかかりました。1行目が“久しぶりにいい天気だね”という歌詞なんですけど、久しぶりにいい天気ということは、それまでがすごく曇った日常……ひょっとすると哀しい出来事が続いていたのかもしれない、ということをリスナーに伝えないといけない。笑顔で“久しぶりにいい天気だね”と歌ってしまうと、曲の色が変わってしまうんです。どこかに出かけるのが億劫で、昼まで寝てしまって……気づいたら久しぶりのいい天気で、「この間、いきたいと言っていたのは、どこだっけ?」と話しかけるようなテンションに持っていくのに、すごく時間がかかった。今回はそれが強く印象に残っています。

吉本:僕の中で、特に印象が強いのは「Everybody今この時を輝いて」かな。サビの“♪エ~ヴリィ~バァ~ディ~”という歌うところが、すごく気持ちいいんです(笑)。たぶん、徳永さんは“♪バァ~ディ~”というところが、こういうふうになるだろうなとわかって作っているんですよね。だから、すごくいいところを引っぱり出してくれた曲。

──「Everybody今この時を輝いて」は聴いたあと、サビ・パートがずっと頭の中でリピートして困りました(笑)。「エンヤコラ」のブルージーな吉本さんのボーカルにも耳を惹かれました。

吉本:「エンヤコラ」はタイトルからしてパンチが効いているという(笑)。ただ、曲タイトルはいろいろ変わったんです。この曲を最初に聴いたとき、バイクでどこかに出かけるようなイメージを受けて、“Ride”という言葉が浮かんだんですね。それで、“Ride”という言葉が入った英語のタイトルだったんですけど、家族だったり、友人だったりに対する応援ソングになっていって、途中で「エンヤコラ」というタイトルに変わったんです。なんかね、「これは結局、どういう曲なんだろう」という話になって、「エンヤコラみたいな曲じゃないか」…みたいなことになり(笑)。

徳永:みんなで話しているときに、突然“エンヤコラ”という言葉が出てきた……というノリだったよね(笑)?

吉本:うん。徳永さんと大田さんが書いた歌詞は周りに意見させないのに、僕の歌詞はバンバン変えてくるんですよ(笑)。もう好き放題変える。

大田:好き放題ってことは、ないよね(笑)?

徳永:最小限だよね(笑)。

吉本:ええっ、最小限(笑)? でも、“エンヤコラ”というタイトルはキャッチーですよね。この歌のブルージーさに関しては、僕のところにデモが届いた段階でほとんど完成していたんですよ。徳永さんの仮歌詞は英語だけど、ちゃんとした仮歌とコーラス・ラインも入れてくるから、求めているものもそこに入っている。それに合わせて歌っていくことになるから、「エンヤコラ」の歌がブルージーなのも、そういうことだったんだと思います。

大田:僕は今回、「オンリーユー」でリード・ボーカルを取っているんですけど、歌は結構苦労しました。吉本君のコーラスがいい感じできていたので、それを踏まえて2回くらい録り直したんですけど、曲調や歌詞的にしっかり歌うのはどうなのかというのもあって。ライブでやるときは、音源とはまた違う、もっと楽しい感じで歌える曲でもありますね。

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