【インタビュー】ヴィニー・ムーア&トニー・マカパイン、夢の共演

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5月30日、ヴィニー・ムーアとトニー・マカパインという奇跡のカップリング来日公演が開催された。

◆ヴィニー・ムーア&トニー・マカパイン画像

ヴィニー・ムーアは現在UFOのメンバーでもあり、自身のソロアルバムと並行して活躍中である。一方、トニー・マカパインは2015年に癌が判明し来日公演も中止となったものの、大病を克服してのソロアルバム『Death of Roses』もリリースされ、見事に復活を果たしたところだ。

旧知の仲のふたりだが、来日公演ではまずヴィニー・ムーアの登場となった。トニーのバンドメンバーであるピート・グリフィン(B)、ジェルゴ・ボーライ(Dr)によるトリオ編成でのステージだが、初期の名盤『Mind's Eye』からの楽曲には盛り上がりもひとしおとなり、ギターとキーボード両刀使いでのトニー・マカパインのバックアップも含め、最新アルバム『Aerial Visions』からの楽曲を含むグレイテスト・ヒッツな内容を披露してくれた。

続くトニーのステージは、ギターインストアルバムの名盤『Maximum Security』の再現からだ。ヴィニーとの共演も見せながら、数々の名曲たちがオーディエンスを合唱させるほどに盛り上げていく。最新作『Death of Roses』を含むセットリストで、とても大病を患っての復活とは思えぬ超絶なプレイと極上のサウンドを会場いっぱいに響かせた。

東京公演の前日には、ヴィニー・ムーアとトニー・マカパイン、ふたり揃ってのインタビューも実現した。


──久しぶりの日本はいかがですか?

ヴィニー・ムーア:凄く嬉しいよ、20年ぶりくらいだから、ファンのみんなに会えるのがとても楽しみだよ。

トニー・マカパイン:僕は前回からそれほど時間は経っていないけど、日本はいつもエキサイティングだしとても嬉しいよ。ライブが楽しみだ。

──二人の共演なんて、夢のようですね。

ヴィニー・ムーア:興奮しているよ。凄く楽しみにして来たんだ。

トニー・マカパイン:どうしてもっと早く実現しなかったんだろうね。凄く良い企画だよ。実は6年くらい前にニュージーランドで共演した事があるんだけど、ふたりで演るのはそれ以来だよ。

──ふたりともシュラプネル・レコード出身という1980年代のギターヒーローですが、当時一目置いていたギタリストはいましたか?


▲トニー・マカパイン


▲ヴィニー・ムーア

ヴィニー・ムーア:トニーはもちろん尊敬しているよ。あとはポール・ギルバートかな、背が高いし(笑)。ショーン・レインも特別だ。

トニー・マカパイン:素晴らしいギタリストがたくさんいたから、この人ひとりとはなかなか言えないかな。実際、そんなに普段はみんなと会っていなかったし。とにかく背の高い人が多かったよ(笑)

──ふたりともクラシックからフュージョン、ヴィニーはファンクまで多彩なプレイですが、自分で最も得意なところは?

ヴィニー・ムーア:僕はメロディーが得意なんだよ。よく速弾きって言われるけど、自分自身では感情や情熱を表現する為のメロディーが強みだと思っているよ。

トニー・マカパイン:自分のやっている事は全部好きで得意だよ。生活もあるので、トップチャートに入るような音楽もやっているし、スティーヴ・ヴァイとも一緒にやったりもあるし、それら全てが好きで得意なんだ。メロディーがあってもなくても、リズムでもリードでも、楽器もギターだけではないしね。

ヴィニー・ムーア:歯でも弾いてるんじゃないの(笑)?

トニー・マカパイン:強いて言えば、不得手なのはアコースティックかな。アル・ディ・メオラやジョン・デンバーにはなれないな。

──トニーは、最近はレコーディングも7弦と8弦ですよね、6弦は?



トニー・マカパイン:メインは7弦だね、6弦は何十年も使っていない。8弦も使っていた事もあるけど、使ってみて歌モノには良いかもしれないけどインストには向かない事がわかった。低音がベースと被ってしまうから良くないんだ。ベースがいない編成なら、その低音がベースの代わりになれていいかもしれない。だからここのところはメインは7弦を使っているよ。

──ヴィニーは、6弦にこだわる理由はありますか?

ヴィニー・ムーア:実は7弦ギターも持っていて、たまに使う事もある。けど僕のメインはやっぱり6弦だよ。6弦でもまだまだなところがあるからね。

──ヴィニーは、UFOに加入からずいぶん年月が経ちましたね。

ヴィニー・ムーア:最初は2~3年、長くても5年も持てばいいかなと思ってた(笑)。ふと気付いたらもう10年以上…あっという間だよね。

──UFOでの経験は、ソロの作風にも影響していますか?

ヴィニー・ムーア:UFOはバンドだし僕自身はソロのインストギタリストだから、このふたつは全く別物なんだ。曲を書き始めると、すぐにこれが歌モノになるかインストになるかひらめくからね。

──UFOからはフィル・モグの引退表明がありましたが、来年の50周年ツアーはぜひ日本にも来て下さいね。

ヴィニー・ムーア:フィル自身はフェアウェル・ツアーとは言いたくないらしいんだけど、2019年に始まるよ。ぜひ日本にも来たいね。

──トニーは、パーマネントなバンド活動は?

トニー・マカパイン:興味がないわけではないけど、他にやっている事が忙し過ぎてなかなか…ね。

──それぞれ最新ソロアルバムをリリースしていますが、どちらも素晴らしい作品ですね。



ヴィニー・ムーア:良い音楽を作る事が一番。それに当然、作品を作る毎に成長はしているはず。それが感じられなければ作る意味はないね。僕は音楽を作っているから、ギターソロを弾く為の手段としてアルバムを作っているわけではないよ。

トニー・マカパイン:同じくソロを弾く為のものではないよ。僕らの長い音楽の旅の中で、その時点に置ける僕ら自身の姿が詰まっているんだ。ちなみに『Death of Roses』はEPの扱いで7曲しか入っていない。フルレンスというよりEPなんだ。実は次の7曲もすでにあって作っている最中だよ。それぞれ、それほど関連性があるわけではないからあえて分けてみたんだ。

──インスト曲のタイトルはどのようにつけるのですか?

トニー・マカパイン:実は父親がプロの詩人でね、僕の初期のアルバムは父がタイトルを付けてくれたんだ。「Man in the Middle Cage」という詩集も出版社から出していて、それにちなんだタイトルの「Man in a Metal Cage」という曲もあるんだよ。『Maximum Security』の「Autumn Lords」も父が音楽を聴いてタイトルを付けてくれたんだ。僕自身はあまりタイトルにこだわりはなくて、もともとクラシックの出身だから交響曲の何番って感覚なんだよね、だからタイトルは後回しにしてしまう。インストなので印象的な歌詞もないし、できた音楽を繰り返し聴いて何となくイメージが沸く感じかな。

ヴィニー・ムーア:僕は最初からテーマがある時もある。例えば『Aerial Visions』の「The Dark Dream」は実際に自分が見た夢からインスパイアされたんだ。コードも夢から覚めたときに鳴ってた感じ。でもほとんどは何の事かわからずに音楽だけ先にできるから、後でタイトルを付けるのはとても大変な作業だよ。考えれば考えるほどわからなくなるしね(笑)。中にはファンの人がタイトルから物凄い解釈をしてくれる時もあってさ、自分では全くそんな事は思っていなかったりして面白いなとも思う。

──これからも活躍を期待しています。

トニー・マカパイン:日本のみんな、本当にいつもありがとう。これからもずっと音楽を作っていくので楽しみにしててね。日本の後はクルーズのツアー<Monsters of Rock Cruise>と<Cruise to the Edge>、それからミッシェル・ポルナレフのツアー、次のEPの制作と自分のバンドのツアーもあるし、8月にジョン・ペトルーシのギターキャンプもある。またヴィニーともやりたいよね。

ヴィニー・ムーア:また今回に限らず、みんなに会いたいよ。ずっとサポートしてくれてありがとう。僕は次のソロアルバムの制作中で、いま半分くらいできているところ。戻ったら引き続き取り掛かって、ソロのライブもある。9月には、リッチー・コッツェンとガスGとのツアーもあるし、ヨーロッパツアーもね。そして来年はUFOのツアーになるね。

取材・文:Sweeet Rock / Aki
写真:尾形隆夫 / Takao Ogata

<Tony MacAlpine / Vinnie Moore ~ Japan Tour 2018 ~>

2018.5.30 Shibuya Club Quattro
Vinnie Moore
1.Riding High
2.Check It Out!
3.Hero Without Honor
4.Rain(with Tony)
5.The Maze(with Tony)
6.Faith
7.Lifeforce
8.Morning Star(with Tony)
9.Daydream(with Tony)
10.Meltdown
Tony MacAlpine
1.Autumn Lords
2.Hundreds of Thousands
3.Tears of Sahara(with Vinnie)
4.Key to the City
5.The Time and the Test
~Drums Solo~
6.Kings Cup(with Vinnie)
7.Sacred Wonder
8.The Vision(with Vinnie)
9.Dreamscape
10.Porcelain Doll
11.Death of Roses
12.Stream Dream
13.Square Circles(with Vinnie)
14.Concrete Gardens
~Encore~
Frankenstein(with Vinnie)
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