【ライブレポート】ねごと、「音楽をやっている瞬間はすごく自由になれる」

ねごとが4月21日、渋谷 TSUTAYA O-EASTにて＜ねごとワンマンツアー2018「SOAK」TOUR FINAL＞を開催した。

◆ねごと 画像

ねごとは2017年の1年間でフルアルバムを2枚、シングルを2枚発表するなど実に精力的なリリースを重ねてきたが、今回のワンマンツアーは12月リリースのフルアルバム『SOAK』を引っ提げて行われたものであり、O-EASTは全国16公演の最終日となる。





オープニングSEが流れると、プロジェクターによって投影された映像を背にメンバーが登場。「INSIDE OUTSIDE」「DANCER IN THE HANABIRA」など、序盤からバンドが奏でる演奏とシンクロする映像とともに4曲を畳みかける。スタイリッシュにして洗練された照明と映像は、バンドの持つ華や楽曲に宿る力強さと繊細さを際立たせ、会場を一気にねごとワールドへと引き込んだ。

蒼山幸子(Key/Vo)を中心としたバンドスタイルは、沙田瑞紀(G/Cho)がシンセやラップトップに加えてサンプラー等、藤咲 佑(B/Cho)がシンセベース、澤村小夜子(Dr/Cho)が電子ドラムパッドなども取り入れて、4ピースを超えたサウンドスケープを構築していく。







また、時おり演出の軸を照明だけにシフトし、「WORLDEND」「school out」といったダンスチューン、そして久しぶりの披露に盛大なクラップが起きた「メルシールー」や「黄昏のラプソディ」など過去の楽曲も最新の楽曲と共に披露された。

会場内の熱気がますます上昇した中盤、一瞬の静寂を置いてアルバム『SOAK』のラストを飾るナンバー「水中都市」がスタート。映像、照明、演奏、歌が重なり合い幻想的な水中都市というスケールの大きな空間を丁寧にエモーショナルに描き出す。蒼山の透き通るような歌声と、沙田、藤咲、澤村のコーラスが溶け合い、4人の美しいコーラスワークが会場を満たすと客席から大きな拍手が沸いた。





「普段のねごとはあんまり自己主張が激しい集団ではないんですけど（笑）、音楽をやっている瞬間はすごく自由になれるんです。『SOAK』は(聴いてくれた人が)気持ちを解放できたり、立ち向かうための力になれるといいな……と思いながら作ったアルバムです。伝えたいことは全部音楽に込めたので、今日はツアーファイナル、最後までぶちかましていきたいと思います」──蒼山幸子

と笑顔をみせると、後半は6曲をほぼノンストップで、4人が気持ちを解放しながら音を奏でていく。「nameless」を逞しく強かに演奏すると、その熱量に感化された客席から大きな歓声が曲中に沸き起こったほか、「アシンメトリ」ではステージ上のメンバーも観客も思い思いに身体を動かして音と戯れるなど、ねごとが目指していた理想が現実のものとなった景色は実に壮観だった。





「今日はありがとう」という蒼山の言葉に続き届けられた本編ラストは土曜日のツアーファイナルに相応しい「サタデーナイト」。東京の夜の街を映し出した映像はドリーミーというよりはリアリティの高いもので、歌詞を噛みしめて歌う蒼山の姿をさらにシンボリックなものにしていた。

アンコールでは「真夜中のアンセム」「シンクロマニカ」「ETERNALBEAT」をリミックスアレンジで披露。4人は最後まで自然体で瞬間瞬間を楽しみ、楽曲と同化しながら感情を、音楽をフロアへと届ける。




「どんどん楽しんでもらえるような、面白いって思ってもらえるような音楽を発信していきたいと思うので、ついてきてくれますか？」──蒼山幸子

との呼びかけに賛同するような大歓声を浴びて微笑んだメンバー。ねごとが約10年のバンド人生のなかでも最高に充実していることが実感できた、圧巻のツアーファイナルだった。