【ライブレビュー】スガシカオ、たった一人でデビュー21年記念日ライブ
1997年2月26日、スガシカオはデビューした。デビュー日には自らCDショップに行ったという。あの日から21年、2018年2月26日、彼はたった一人、中野サンプラザで2200名以上のファンと向き合った。このシーンは「夜空ノムコウ」で彼が書いた“あの頃の未来”なのだろうか?
◆スガシカオ画像
オープニングは、デビュー日を記念するかのように「デビュー曲からを歌います」と言い、「ヒットチャートをかけぬけろ」。考えてみると、このタイトルには彼なりの思いが込められていたのかもしれない。当時、30歳の遅咲きデビューといわれた彼が描いた音楽で食べていく世界。そのために必要なのはヒットチャートに乗ること。そして、彼は音楽シーンに媚びることなく、ヒットチャートを駆け抜けている。
4月まで続く<Hitori Sugar Tour 2018>折り返しの15本目がこの日の東京でのライブ。ギターとスガの少しざらついた声だけで創られる世界は、歳を重ねても安定を求めない世の中への挑戦にように思える。
彼がデビュー前にサラリーマンをしていたのはファンの間では有名なことだ。4年半働いた会社を辞め音楽で食べていくと決めたのち、デビューどころか事務所も決まっていなかった時期に作った「愛について」を披露。彼が曲を創り始めてちゃんと完成した2曲目の曲だという。名曲と言われる「愛について」は、彼の歌のなかでは数少ない真っすぐな愛の歌だ。
2017年の20周年は、スガフェス、アジアツアー、役者など新たなことに挑戦した。ここでも安定を求めない常にチャレンジする姿が見てとれる。ただ、気付いたら曲を創っていないということで、ツアーが終わり次第制作に入るという。デビューから21年、彼の新たな曲はいったいどんな未来を連れてくるのだろうか?
ウクレレのようなコンパクトなボディのギタレレが登場。音はウクレレに似てアメリカンな響きだが、彼にはそんな歌がないということで、敢えての暗い曲「斜陽」。“鈍い黄色の夕陽”“公団”“ブランコさえない公園”。まさにスガワールドの言葉のセレクトでこの歌の情景は創られている。
ライブ中盤には、スガのバンド“FUNK FIRE”のギタリスト田中義人を迎えて「アストライド」。病を克服した義人との演奏は感慨深い。“何度だってやりなおせばいい”や“ひどい膿を希望に変えて”など、ネガティブなことを希望に変えるパワーのある曲。事前打ち合わせもなく、まさにセッション。アコースティックだと言ったのにエレキギターで来た義人に突っ込みをいれながらも、二人の音はまるで会話のように今ここにいる幸せを語る。
続き、あの頃の未来を確認するかのように「夜空のムコウ」。真夜中の2時に見る真夜中の虹をモチーフに「真夜中の虹」。本編ラストは「19才」。誰もが通る19才。そして、一般的には夢を現実化していく時期に重なる19才。同時に、夢を諦め人生を閉じたくなる時期でもある19才。大人になることに抵抗する19才。この世に存在する意味を無駄に考えて混とんとする19才。彼はどんな19才を体験してきたのだろう? 大キライで宙ぶらりんな19才を歌う。
ツアーは4月まで続き、地方は3人だけで自ら荷物もってまわるという。座って聴くスガシカオは、言葉が直球で胸のど真ん中を突いてくる。自らの過去と未来を妄想しながら、誰もが持つ邪悪な自分を肯定したくなる。
写真:AZUSA TAKADA
【寄稿】伊藤緑:http://www.midoriito.jp/
ツアー記念CD『LIVE BOOTLEG 3 Hitori Sugar Tour 2018』
NCS-921 1,400円(税込)
通販での販売 https://fan-goods.jp/sugashikao/
<Hitori Sugar Tour 2018>
2018年3月4日(日) 岡山 - 岡山 YEBISU YA PRO | 開場 16:30 / 開演17:00
2018年3月9日(金) 青森 - 青森 Quarter | 開場 18:30 / 開演19:00
2018年3月10日(土) 福島 - 郡山 Hip Shot JAPAN | 開場 16:30 / 開演17:00
2018年3月18日(日) 広島 - 広島 BLUE LIVE | 開場 16:30 / 開演17:00
2018年3月21日(水-祝) 愛媛 - 松山 W studio RED | 開場 16:30 / 開演17:00
2018年3月22日(木) 香川 - 高松 festhalle | 開場 18:30 / 開演19:00
2018年3月24日(土) 高知 - 高知 CARAVAN SARY | 開場 16:30 / 開演17:00
2018年3月25日(日) 兵庫 - 神戸 VARIT. | 開場 16:30 / 開演17:00
2018年3月29日(木) 山梨 - 甲府 CONVICTION | 開場 18:30 / 開演19:00
2018年3月31日(土) 長野 - 長野 CLUB JUNK BOX | 開場 16:30 / 開演17:00
2018年4月1日(日) 福井 - 福井 CHOP | 開場 16:30 / 開演17:00
2018年4月4日(水) 鳥取 - 米子 AZTiC laughs | 開場 18:30 / 開演19:00
2018年4月6日(金) 京都 - 京都 磔磔 | 開場 18:30 / 開演19:00
2018年4月7日(土) 和歌山 - 和歌山 GATE | 開場 16:30 / 開演17:00
2018年4月11日(水) 北海道 - 函館 金森ホール | 開場 18:30 / 開演19:00
2018年4月12日(木) 北海道 - 札幌 ペニーレーン24 | 開場 18:30 / 開演19:00
2018年4月19日(木) 大阪 - なんばハッチ | 開場 18:00 / 開演19:00
この記事の関連情報
スガ シカオ、初の自伝小説的エッセイ集『実録小説 ヤグルトさんの唄』がアルバムの初回生産限定盤に付属
スガ シカオ、「あなたへの手紙」配信開始、アルバム『Acoustic Soul 2014-2024』リリース&全国ツアーも決定
【フェスレポート】HY主催<SKY Fes 2024>DAY1、水カン、DISH//、槇原敬之、モンパチなど8組の熱演「ようこそ!」
スガ シカオ、数々の名曲をストリングスで味わうライブを2/26に開催
HY主催フェス<HY SKY Fes 2024>、第二弾発表に加藤ミリヤ、氣志團、肝高の阿麻和利、スガ シカオ with FUYU
スガ シカオ、全国弾き語りツアーの一部をTikTok LIVEにて生配信
宇宙⼈ (Cosmos People)、スガ シカオ作詞の新曲「君はいつでも」リリース
スガ シカオ、全国15公演弾き語りツアーの各地オープニングアクトを募集
スガ シカオ、ニューアルバム『イノセント』の数量限定アナログ盤をリリース