【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第6回ゲスト:AKi [シド]

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■今思ったよ、自分の曲の作り方は
■確かに父親と母親のブレンドだなって──AKi

AKi:うちもね、家になぜか知らないけど、誰も弾かないのにピアノがあったの(笑)。それが最初のきっかけ。オヤジが大のクラシック好きで。好きなオーディオを組み合わせてセッティングして、スピーカーの位置も計算して設置するようなマニアで。FMから流れるクラシックも、当時最高品質のメタル・テープに全部録音してたから、引き出しを開けると、ズラーッと並べてあってね。触ってちょっとでもズレるとメチャクチャ怒られる。

ASH:ああ、ちょっと分かった。AKiちゃまにはやっぱりクラシックが流れてるんだ、血として。AKiちゃまの曲に西洋の王宮音楽をいつも感じる。それはアレンジにストリングスが使われているとかじゃなくて。綺麗なメロディなんですよ。

AKi:日曜日の朝8時ぐらいから昼過ぎまでクラシックが流れてた、オヤジの仕事が休みだったからね。聴かされていたというよりも、自然にクラシックを浴びてた感じで。それでね、母親が絵描きなんです。

ASH:あっ、やっぱブレンドっすね。すごい。

AKi:だから今思ったよ。自分の曲の作り方は、確かに父親と母親のやっているブレンドだなって。仕上がりとしてこうなるなって(笑)。

ASH:それにスピーカーとかテープの位置がズレたら怒るという父親から譲り受けたような几帳面さを、AKiちゃまは持っている。音の配置とか細かいアレンジとかが、すごく几帳面だなって。それに絵描きのように曲を作る人だし。幼い頃に聴いていたものや触れていた空気は、確実に自分の骨や髄に染み込んでいるんだと思う。僕もファンキーな母親の鼻歌に合いの手を入れてたから、そりゃ、小学生から16ビートが好きにもなるし。

AKi:親御さんの音楽との出会わせ方も良かったんだろうね。うちはオヤジの頭が硬くて、「勉強して絶対に大学出ろ」って言われててね。日曜日は横にオヤジがいて勉強させられたんだけど、ほんと勉強が嫌いで、いつも「お腹が痛い」って嘘付いてたぐらい。出会わせ方を誤ると、子供って好きになれるものもなれなくなるし。

ASH:反発心しか生まれなくなっちゃいそうですもんね。

AKi:そう。俺、音楽との出会い方も全然好きになれない感じだった、実は。小学1年のときに、あの楽器あるじゃん、ピーヒャララっての。なんだっけ、鍵盤ハーモニカか。

ASH:ピアニカね。ピーヒャララって(笑)。

AKi:音楽の授業で、あれを1小節ごとに前の席から弾くんですよ。簡単な曲だけど、全然できなかったの。それで音楽の授業が本当にイヤになっちゃって。でも母親が、「家にちょうどピアノもあるし、習ってみれば」って。そのピアノの先生がものすごくいい人だったんだよ。その先生のおかげで音楽を嫌いにならずにすんだ。当時の俺は身体が弱くて、小児喘息を持っててね。体操とかサッカー教室、他にも習字やソロバンとかも習わされていて。周りの環境も友達もイヤだし、習字とか面倒臭いし。その習い事のひとつにピアノもあったんだけど、その先生が好きになったから今の自分があるんですよ。何でもそうなんだけど、出会い方って大事。

ASH:うん、それは本当に思う。

AKi:だからASHのお母さんは、実はASHをシンガーにしたかったんじゃないかな。

ASH:いや、それはないと思いますよ。でも間違いなく、あの母親の息子だなって。母親はKISSのライブにも行ってたし。あの当時、J-POPがテレビから流れてきても、「曲はいいけど、この人は声が出てないね。やっぱフレディ・マーキュリーでしょ」とか言っちゃってたし(笑)。

AKi:あっ、そっちの人だ(笑)。

ASH:ベイ・シティ・ローラーズの話とかも家では普通だったんですよ。ところが学校でSPEEDとかKinKi Kidsの話題になっても、もちろん曲は聴いたことあるけど、あまりピンと来なくて。こっちはボズ・スキャッグスの話とかを友達としたいんだけど、誰も知らないから洋楽を聴いてるのは恥ずかしいことだと思ってた。変にコンプレックスに思ってたんですよ。

──AKiさんは、今はクラシックも好きですか?

AKi:詳しくないけど、聴くことはとても好き。今はロックよりもピアノの曲を聴くことが多いんです。クラシックじゃなくてもいいんですよ、映画でもCM挿入歌でもいいし、ピアノの音色が好きなんでしょうね。

ASH:だからね、AKiちゃまのピアノのライブ観たい人もすごい多いんじゃないでしょうか。

──つまり2月15日はそういうことですか?

AKi:ちょっと、やめて! なに、この話の流れは(笑)。独奏ってやってみて思ったけど、すごく大変。弾いてると後ろに誰かがいるの、誰もいないはずなのに。

ASH:あのとき(<AKi LIVE 2018 「Birthday Bash!」>)もピアノを弾いたんですけど緊張具合がハンパじゃなかった。でもね、誰も後ろにいないから(笑)。

AKi:いや、誰かが腕を引っ張ったり、肘を揺らすんだよ、ピアノ弾いてると。“ハッ? 鍵盤、波打ってない?”みたいな(笑)。あと照明の位置でもピアノは弾きづらくなって。光の当たり具合によって出来る影が黒鍵に見えたり、逆に真上から照明を当てられると、白鍵がレフ板みたいになってまぶしすぎて(笑)。まぁ、本番はちゃんとやったけど、結構照明さんとああしようこうしようってやり取りしたんだよ。

ASH:ここまで言うぐらいだから、2月15日はピアノはやんないと思う(笑)。やるとしたら、僕の歌とAKiちゃまのピアノだけで1曲ならありだけど。

AKi:ちょ、ちょっと、それがなしだって言ってるんだっての(笑)。やーめーてー、ほんとに。胃がキリキリするから(笑)。

ASH:またフラれた(笑)。でも2月15日は、違った形でみんなが喜ぶことをやるので、楽しみにしててください。今日のリハーサルでバッチリ仕込みましたからね。全部用意しましたよ、AKiちゃま。

AKi:何を……?

ASH:再現不可能だったじゃないですか、あのとき(<AKi LIVE 2018 「Birthday Bash!」>)の人数では。

AKi:はいはい。

ASH:全て用意したのでバッチリでございます。

AKi:えっ、それすごくない? 完全版だよ、スゲー!

ASH:だからAKiちゃまはベースを弾いていただければと。

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