カワイ、88鍵それぞれを調節できるステージピアノなどの新製品発表会に、ちゃんMARIが登場
河合楽器製作所から木製鍵盤を採用したデジタルピアノ「CA58」と、新しいピアノ音とデザインを採用したステージピアノ「MP11SE」「MP7SE」が登場。2月2日に開催された発表会にはゲストとしてピアニストの圓谷綾乃と、「ゲスの極み乙女。」のキーボーディスト・ちゃんMARIが登場、演奏を披露した。
■CAシリーズの新ラインナップ「CA58」
▲CA58 プレミアムローズウッド調
「CA58」は、アーティストが使用するコンサートグランドピアノを目指して開発されたカワイデジタルピアノConcert Artistシリーズ(CAシリーズ)の新モデル。中価格帯でありながら、ひとクラス上の機能とデザインを実現したシリーズ4番めのラインナップとして登場。昨年発売された最上位モデル「CA98」およびハイグレードモデル「CA78」と、スタンダードモデル「CA48」の間に位置づけられる。15万~30万円クラスのラインナップに、新たに販売価格20万円前後の「CA58」が投入されたことで、CAシリーズのラインナップが完成したことになる。
▲CA58 プレミアムホワイトメープル調
「CA58」の仕上げは、プレミアムローズウッド調とプレミアムホワイトメープル調の2種をラインナップ。鍵盤はピアノ同様のシーソー構造を採用した木製鍵盤。グランド・フィール・スタンダードアクションを搭載し、これまでの鍵盤よりも支点距離を長くし、鍵盤の奥側で弾いてもタッチが変わらないのが特徴だ。ピアノ音は、最高のフルコンサートピアノを最高の状態に整音、整調して録音。カワイのフラッグシップモデルである「Shigeru Kawai」グランドピアノの最上位機種であるフルコンサートピアノ「SK-EX」と、ショパンコンクールなどでも採用されたフルコンサートピアノ「EX」の2種のピアノ音を搭載する。
低中音用と高音専用のスピーカーによる4スピーカーシステムで、グランドピアノの繊細な音色と豊かな広がり感を再現できるのも魅力の一つ。さらに豊富なレッスン曲を内蔵、操作しやすい液晶ディスプレイで操作ができるほか、USBメモリへのオーディオ録音・再生機能、スマホ/タブレットとカンタンに接続し、各種アプリで楽しめるBluetooth MIDI機能なども備える。
▲鍵盤左側には液晶ディスプレイと操作パネルを用意(左)。ペダルはダンパー(ハーフペダル対応)、ソフト、ソステヌートの3本。
■新ピアノ音とピアノデザイン採用のステージピアノ「MP11SE」「MP7SE」
▲木製鍵盤を採用した「MP11SE」
一方の「MP11SE」「MP7SE」はMPシリーズの新モデル。MPシリーズは、ヨーロッパを中心に高い評価を受けているステージピアノで、ディープ・パープルのドン・エイリー、ワンリパブリックのライアン・テダー、そして今回ゲストとして登場したちゃんMARIら、多くのアーティストが使用している。
前モデル「MP11」「MP7」で搭載していたコンサートグランドピアノ「EX」の音色に加え、新モデルでは、Shigeru Kawaiグランドピアノ「SK-EX」およびミドルサイズグランド「SK-5」のピアノ音色を搭載。外観はよりピアノライクなデザインにアップデート。鍵盤は、「MP11SE」がグランドピアノのようなタッチ感を実現した木製鍵盤「グランド・フィール・アクション」、「MP7SE」はキーウェイトを備え木製に近いタッチを実現した高性能プラスチック鍵盤「レスポンシブハンマー・アクションII」を搭載。また、「MP11SE」のみ3本構成の新開発ペダル「GFP-3ペダル」を同梱。光センサー方式で検出精度を向上させたほか、底面がすべらない工夫もさらに強化。3本のペダルはそれぞれが個別の重さで、グランドピアノに近い踏み心地を実現しているのもポイントだ。
▲プラスチック鍵盤の「MP7SE」。「MP11SE」との違いは鍵盤のほか、音色数、同時発音数、出力(MP11SEのみXLRあり)、付属ペダルなど。
■ゲストの圓谷綾乃、ちゃんMARIが演奏を披露
2月2日に開催された発表会ではゲストの二人が登場。演奏を交えつつ新モデルの魅力について語った。
まず「CA58」の演奏を披露したのは、ピアニストの圓谷綾乃。鍵盤について「デジタルピアノは鍵盤がペコペコして、軽くて、ちょっと機械を触っているようなイメージを持っていたんですけども、このCA58の鍵盤タッチは、出てくるすばらしい音としっかりかみ合ったようなタッチがありまして、ぶれのない、しっかりしたタッチだなと思いました。ピアノって単に音がいいだけではなくて、音を出すための鍵盤のタッチがしっかり出てくる音と連動してくれていないと音楽を表現する実感につながらないので、本当に重要なポイントだと思ってるんですけども。」「鍵盤のタッチに関する不安を感じることなく、違和感なく演奏を純粋に楽しめるというところはすごく満足感がありました。」とコメント。
2種のフルコンサートピアノ音「SK-EX」と「EX」については、「もう一つの選択肢があることで、より演奏をいろんな形で楽しめますし、EXの音もSK-EXと同じくらい質が高いと思うので、たとえば、その日の気分だったり、演奏する曲の曲調だったり、趣味に合わせて選べる選択肢があるのはすごくうれしかったです。」と感想を述べた。「タッチの変化によって音色も変化していくところをしっかり再現できているので、たとえばお子さんの耳の教育だったり、ピアノ講師の立場からしても生徒さんにもおすすめできるピアノだと思います。」
ステージピアノ「MP11SE」の演奏を披露したのは、現行モデルである「MP11」を長く愛用してきたちゃんMARI。常にいい楽器を探しているというちゃんMARIさんは、「MP11」を選んだ理由として「これまではピアノ、エレピ、オルガン、シンセを1台で表現をしてたんですけども、ピアノの音色にこだわったものが欲しいと思うようになって。いろいろな機種を試奏させたいただいた中で、カワイのMP11がピアノの音もいいし、バンドにすごく合ってるなと思ったので選ばせていただきました。」と説明。ピアノの音色を選ぶ際のポイントとしては、「リアルな生のピアノの音とか、レコーディングでも生のピアノの音を使うことが多いので、その音を再現できるようにっていうのを気をつけました。」と語った。
新モデル「MP11SE」の木製鍵盤については、「とっても弾き心地がいいと思います。けっこうかわいた木の感じが、ちょっと響くような感じが好きで。弾きごたえもありますし、とてもいいと思います。」と評価。「バンドサウンドの中ではどう使いますか?」という質問には「曲によって、ギターがけっこう鳴っているものがあったり、ギターがなくてピアノで上モノが完結させる曲があったりするので、曲に応じてEQを変えたりとか、あとは音色をきらびやかなものだったり、落ち着いたものを使い分けています。」「(操作に関して)曲中に変えたりもしています。ピアノとエレピが曲中で切り替わるものがあるんですけど、そういうのは操作をしながら。でも、すごくボタンもセクションごとに整理されて配列されてるので、あまり操作で特に困ったことはなく、やりやすいです。」
続いていくつかの音色を演奏し、それぞれの特徴について感想が語られた。「(フルコンサートピアノSK-EXについて)前のMP11の時はけっこうきらびやかな印象だったんですけど、それよりあったかい……。この音もいっぱい使いそうです。いろんな曲で。」「(ミドルサイズグランドのSK-5について)ころころとしてますけど、しっかりレンジも出てて。個人的に一番好きかもしれない。」
「MP11」でも長く使っているというEXについては「おなじみの音というか……(笑)。いつも使ってる音なので、一番。これはけっこうピアノ単体でも映えますし、ギターにも、ギャーンとしててもぜんぜん負けないので。レコーディングで生のピアノでちょっと負けるなっていう時に使ったこともありました。」
「アップライトピアノの音を使ったことは?」という質問には「あります。私達の曲で『ルミリー』って曲があるんですけど、それはアップライトピアノをいつもライブで使っています。」「(グランドピアノ系の音と比べると)ぜんぜん違いますね。狭い部屋で演奏している感じがしますね。」「エレピもよく使います。けっこうトレモロのスピードとかも調節しやすかったりとか。あとは明るい音が欲しいとかいう時に、けっこうカンタンに操作ができて。直感的な操作もできるので、ライブ上ではとても重宝しています。」
機能については調律師の調整作業をシミュレートしてピアノ音色のキャラクターを変化させる機能が紹介された。ピアノはフェルト製のハンマーが弦を叩いて音を出すが、このハンマーの硬さを調整することで音色を作り出す。「MP11SE」はそれを電子的にシミュレーションすることで、同じように音色を作り出すことができる「88鍵ボイシング」という機能を持つ。「これはすごく欲しかったです。この音だけちょっともう少しだけ目立たせたいとか、ここだけ妙に鳴っちゃうんだよな、ていうことがけっこうあったので、それが88鍵すべてそれぞれ調節ができるっていうのは見たことないです。」
▲PIANO、E.PIANO、SUBとセクションごとに分けられた操作パネル(左)と新開発のペダル(右)。
「MP11SE」で採用された新開発のペダルについては、「ライブですごく(笑)すべって、これまで。気になってたんですけど、それも改善されてますし。たぶん、それでストレスなく演奏できるようになると思います。踏み心地がけっこう生のピアノに近いので。あんまり踏み心地とか意識したことがなかったんですけど、これはいいなと素直に思いました。」
▲発表会ではペダルの底がすべらないことを実演してみせてくれる画面も。ラストの楽曲は、ピアノパートのみがない特別なオーディオデータに合わせて演奏された。
外観では両サイドの腕木と呼ばれるパーツが変更。前モデルでは木目調のラウンド形状だったが、新モデルでは黒塗り塗装のピアノライクな形状にリファインされている。「ピアノっぽいですよね、すごく。前のMP11の時は茶色で木の感じ。それはあったみがあって、それはそれでシンセっぽくていいと思ったんですけど。これもすごくシャープでかっこいいと思います。」
発表会の最後は、ゲスの極み乙女。の「ロマンスがありあまる」をちゃんMARIが演奏。バンドサウンドの中で映えるピアノの音をしっかり聴かせてくれた。
▲CA58 プレミアムローズウッド調
▲MP11SE(上)、MP7SE(下)
製品情報
価格:245,000円(税別)
発売日:2018年2月16日
◆MP11SE
価格:295,000円(税別)
◆MP7 SE
価格:185,000円(税別)
発売日:2018年2月16日
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