【インタビュー】DaizyStripper「壁だと思っていたところが実はドアで“こっちにも進めたんだ”と思った」
L'Arc-en-CielのKenをプロデューサーに迎えたDaizyStripperのメジャー2ndシングル「4GET ME NOT」が完成した。夕霧のハイトーンで艶のある声を活かした切ないメロディ、頭の中でループするサウンドは作曲者の風弥曰く“ジワるナンバー”。メンバー全員がリスペクトするソングライターでありギタリストであるKenが、DaizyStripperの新たな魅力と可能性を引き出したと言ってもいいスケール感のあるナンバーに仕上がった。ワクワクしながら曲を形にしていくスタジオの風景が浮かんでくるような制作エピソードを含め、このシングルの魅力を五人が語り尽くす。
◆DaizyStripper~画像&映像~
■歌詞に“息も出来ないほど”っていう言葉が出てきますけど
■それがすごく良かったっていう意見をもらいました
──L'Arc-en-CielのKenさんをプロデューサーに迎えたシングル「4GET ME NOT」のミュージックビデオのショート・ヴァージョンが公開されていますが、今までのDaizyStripperのシングルとは違うテイストなのでリアクションもいろいろ返ってきているのでは?
夕霧:そうですね。大晦日のライブで初めて披露したんですけど、こういう曲をシングルで発売することは挑戦なので、ライブを見たファンの方やMVを見た方から、「こういうパターンのデイジーのシングルは初めてなので、すごくドキドキしました」っていう声をたくさんいただきました。歌詞に“息も出来ないほど”っていう言葉が出てきますけど、ライブではホントに息をするのを忘れるぐらい良い意味での緊張感があったらしく、それがすごく良かったっていう意見をもらいました。
なお:「4GET ME NOT」は俺自身もいい意味で期待を裏切られた曲なので、「ファンのコたちはどう思うんだろう?」「違和感を持つ人もいるのかな」と思っていたんですけど、みんな単純にカッコいいって言ってくれて、それが嬉しいですね。中学の時に一緒にL'Arc-en-Cielさんを聴いて育った友達や俺の姉ちゃんもシビれてくれているし。
Rei:結成11年目でいろんな楽曲を出してきた中、また今までと違うテイストで新たな可能性を見出せた曲なのかなと思います。ファンのコたちも「どういう世界観なんだろう?」って楽しみにしてくれてたんですけど、さっき夕霧が言ったみたいにライブで披露したら「今までにないDaizyStripperが見えました」とか「いい意味で大人な世界を感じました」っていう声をもらいました。夕霧はもともと、いろんな声を使うヴォーカリストだけど、また新たな道を開いたし、メンバーも成長できた。自分自身も初めて演奏する時はドキドキしたし、つねに新しい風を感じられる環境に今も居られることが幸せだなって。聴けば聴くほどクセになる曲だと思います。
夕霧:スルメ曲(笑)。
風弥:WEBやライブで披露して「すごくスケール感のある曲ですね」って反応をいただいたんですけど、ジワる曲なので(笑)、発売して1ヶ月とか半年、1年たった時にこの曲の力って増していると思うんですよ。俺自身、曲を作って半年たちましたけど、未だに頭の中に流れ続けていて飽きないんです。なので、リリースされた後の反応を今まで以上に楽しみにしています。デイジーをいつも応援してくれる人はもちろん、自分たちを知らない人にもこの曲がどう刺さるのかなって。
まゆ:MVを見た人から「どういう展開になるのか予想がつかない」っていう声をもらうんですけど、ぜひ作品で全貌を見てほしいですね。一つ一つの音に磨きをかけて作った曲のリアル感だったり、3D感が映像からも伝わるようにしたかったので。
▲「4GET ME NOT」[初回限定盤A]
▲「4GET ME NOT」[初回限定盤B]
▲「4GET ME NOT」[通常盤]
──ショート・ヴァージョンを見る限りではサスペンス映画のようで「何が起きたんだろう?」と思わされます。
まゆ:そう。心がヒリヒリしますよね。
──ミュージックビデオにはメンバーは出てこないんですか?
全員:出ません。
夕霧:エキストラで出るとか演奏シーンを入れるとかアイディアはあったんですけど、メンバーが出てくると現実になっちゃうから。今回は映像のストーリーを崩さずにシンプルに曲の良さを伝えようということになったんです。
▲夕霧
──なるほど。L'Arc-en-CielのKenさんとは以前から一緒に制作してみたいと思っていたんですか?
まゆ:俺はKenさんを見て影響を受けてギターを弾いて育ったし、ほかのメンバーもL'Arc-en-Cielさんをリスペクトしているので、そんな夢のような話が叶うならぜひお願いしたいねって。自分たちも気づかないDaizyStripperを引き出してもらえるのかなってメンバーと話していました。
風弥:俺は昔からKenさんが作る曲に影響を受けています。メロディラインもそうなんですけど、Kenさんの曲ってコード進行が独特ですごくマニアックなことをやっているのに印象はキャッチーなんですよ。あの絶妙なバランス感、世界観を持った人って世界的にも数少ないと思っていて。
──普通使わないコード進行ということですか?
風弥:コードの並びとか組み合わせがすごく複雑なんです。変わっているという意味ではなくオイシイところで面白いコードを持ってきていたり。
まゆ:自然に聴いていた曲をコピーしてみると「ここで、こんなに不思議な音使いのコード使ってるんだ」って。
風弥:僕はそういうところを目指して曲を作ってたので、「きっとKenさんはこうだから、こうなんだろう」って想像して作っていたんです。今回、ご本人に長年の疑問をお聞きして答え合わせができたことも嬉しかったですね。ギタリストとしても本当に素晴らしい方ですけど、楽曲の中のギターの立ち位置とか、音楽全体を見ていらっしゃる視点が素晴らしい。
夕霧:僕もL'Arc-en-Cielさんが大好きで高校時代はバンドでギターを弾いていたので、Kenさんのコピーをずっとしてきたんです。そんな方にプロデュースしていただけるなんて、と思いつつ、とても優しいお人柄なのでお会いして気が楽になりましたね。
なお:毎秒、学んだしね。
まゆ:うん。楽しいこと、ワクワクすることをつねに探していらっしゃる感じで。
なお:レコーディングでは自然に笑いが起きる雰囲気を大事にしてるっておっしゃってましたね。「そのフレーズ面白いね」って笑顔になるのもアリだし、ミスって変てこりんなフレーズになっちゃって笑うのも大事にしたいっておっしゃっていたのがすごく印象的でした。だから、Kenさんがいる場所には絶対に笑いがあるんです。
まゆ:弾けないフレーズがあっても「こういう考え方をしてみたら楽しくクリアできるんじゃないかな」とか発想の転換も教えていただいて。「じゃあ今日から3ヶ月、左手で歯ブラシ持って磨いてみよう」ってアドバイスされたり(笑)。
Rei:今もやってるの?
まゆ:やってる。両手のシンクロ率が上がる。
▲まゆ
──「4GET ME NOT」はKenさんが推した曲でもあるんですよね?
風弥:そうです。メンバーで30曲作っていって、Kenさんとデイジーでそれぞれ、候補曲の中からベスト5を選んだんですけど、全然曲がかぶっていなくて、それが面白かったですね。
──もともとはどんなイメージで作った曲だったんでしょうか?
風弥:空に例えると青から夕焼けの赤に変わるほんの数分間を表現したくて。
夕霧:マジックアワーだね。
風弥:そう! あの感じの色。あの瞬間がいちばんキレイでしょ?
なお:それを音楽で表現するのってセンスがいるよね。
風弥:音数が多いわけでもなく、テンポも速くもなく遅くもなく、すべてが絶妙なところにある曲だと思います。
──夕霧さんは曲を聴いてどんな情景を浮かべたんですか?
夕霧:ラグジュアリーなホテルの高層階の1室で季節は冬。窓を開けるとカーテンがなびいて、愛し合った後の二人が裸で毛布にくるまってベランダでタバコを吸ってるイメージがありました。
▲なお
──めちゃめちゃ具体的ですね。
夕霧:過去のことを「あの頃覚えてる?」ってひとりで思い出してるイメージ。青春ど真ん中というか、「絶対この人とずっと一緒にいるんだろうな」と思っていた人が今は隣にいない虚無感を描きたかった。
──“息も出来ないほど 愛した 恋をしてた”という歌詞は恋愛以外、何も見えない一途な時期だったからこそ?
夕霧:そういう時期の物語を描きたかったんです。共感して泣ける映画のような……。それと歌詞を書く前にKenさんが「曲を彩る要素の一つに毒があるよね」って話していて、僕もそれは感じていたので、愛のもつれのちょっと毒々しい感じも入っていると思います。
──今の話を聞いているだけでもう1本ミュージックビデオが作れそうな。
夕霧:ホントですか? Kenさんは歌入れの時もいろいろ話をしてくださって、「ヴォーカルのアドバイスがあったらお願いします」って言ったら、そのままでいなきゃって言ってくださって「ヴォーカルっていつも孤独を感じてる生き物でしょ? 君は君のままで全力で歌わなきゃダメだよ」って。ヴォーカルのことを考えてギターを弾いている方なんだなっていうお話をたくさんしていただいて、すごく刺激的でした。もし願いが叶うなら、またプロデュースしていただきたいと思うぐらい。
──この曲にはKenさんの色がどれぐらい加わっているんですか?
風弥:全体にわたって加わってますね。いちばん聴いていてわかりやすいのはギターのフレージングだと思うんですよ。コードをジャーンとかき鳴らすスピードにもKenさん節が入っているし、アルペジオの音の並びとか。
なお:それこそ風弥くんが言った空の色の移り変わりをアルペジオに出して。
風弥:シンセの音一つ一つもドラムのフィルも一緒に構築していったんですけど、ギターや歌のアクセントにぴったりフィットしているフレーズになっているのでそういう視点で聴いてもらえたら、いろんなところにKenさんのエキスが入っているのを感じてもらえると思います。
◆インタビュー(2)へ
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