【ライブレポート】シド、元日ワンマンで15周年幕開け「シド色に染める一年に」

シドが2018年1月1日、Zepp Tokyoにてワンマンライブ＜結成十五周年記念公演「シド初め」＞を開催した。これは結成15周年イヤーのスタートを記念して行われたものだ。

◆シド 画像

元日にも関わらずチケットはSOLD OUT。かなりの高倍率だったというだけにフロアの熱が開演前から高い。ステージ一面に張られた紗幕に映し出されていた時計に合わせて、開演17時の5秒前からカウントダウンが自然発生。「ゼロ！」の声と共に幕が落ち、メンバーが姿を見せると、「chapter 1」がスタートした。15周年の幕開けにふさわしく、マオ(Vo)の伸びやかな声が羽ばたく鳥のように舞い上がる。続く「ANNIVERSARY」ではイントロで銀テープが発射され、オーディエンスの顔にも、メンバーの顔にも笑顔が咲いた。

決して平坦ではなかった15年間を共に歩いてきた同志たちの顔を見つめながら、思いの深い歌詞を噛み締めるように歌うマオ。Shinji(G)も明希(B)もステージの前に歩みより、客席に限りなく近い場所でプレイする。そして最新アルバム『NOMAD』からダンスロックチューン「XYZ」を披露すると、会場が一体となり、フロアを大きく揺らした。



この日のステージは結成15周年を意識し、新旧織り交ぜたラインナップ。アンコールを含む全19曲のうち、11曲がインディーズ時代の楽曲という、かなりレアな内容だ。しかも、当日明け方のテレビ出演の後に会場入りしたメンバーは、少々ランナーズハイのような状態で、ハイテンションなパフォーマンスを見せる。その一方で、いい意味で肩の力の抜けたリラックスした表情も垣間見られるなど、これまたレアなステージとなった。

歌謡ロックナンバー「アリバイ」ではShinjiの哀愁漂うギターが冴え渡り、「V.I.P」ではゆうや(Dr)のリズムが弾み、「MUSIC」では明希のスラップが躍動感を生んだ。そしてサビに合わせて観客がクルクルと回る「循環」へ。シドのライブを初期から盛り上げてきた定番ソングだ。会場のボルテージもMAXになったのを見て、マオがさらに煽る。

「今日はすごいね、熱が。お酒入ってる？ お酒入ってなくても今日はシドの4人が酔わすから。いけるか〜!!……次、バラードだったよ」──マオ

と苦笑いする場面も。そんなテンションの中で披露された「ハナビラ」「影絵」はミディアムナンバー。ひとたび歌えば、それまではしゃいでいた観衆を微動だにさせず聴き入らせるパワーがマオの歌にはある。さらにShinjiのアコースティックギターのイントロが心に響く「モノクロのキス」。その歌を立てるようにグッと抑えながらも、じわじわと熱が伝わってくるような演奏で魅了するバンドアンサンブルも素晴らしい。



終盤戦は、「今日はなんかぶっ壊れてるね。せっかくぶっ壊れてるから、最後までぶっ壊れていこうと思います」と、「妄想日記」「dummy」「プロポーズ」といったアップチューンを畳み掛け、ラストは明希のロングシャウトから「眩暈」へ。濃厚かつハードなラブナンバーで＜シド初め＞本編が終了した。

アンコールはインディーズ時代のダークナンバー「必要悪」からスタート。「Dear Tokyo」ではイントロから手拍子が沸き、「one way」では拳を振り上げ、再び会場は一体感に包まれた。そんな様子を見て、「次で終わるんですけど……もう一発いきたいな。ちょっと待ってて、会議する」とマオ。ドラム前に集まり、しばし話し合いをするメンバー。やがて、「決まった！ なかなかふさわしい曲をやります。みんな、覚悟を決めてほしいんだけど大丈夫？ 一発で仕留めるぞ！ いいか?!」と煽った後、演奏されたのはシドの始まりの曲である「吉開学17歳(無職)」だった。



そしてラストナンバーは「光」。ミラーボールの光が会場を照らす中、今のシドが伝えたい想いをしっかりと歌に込めた。会場全部を包み込むように、大きく広げた腕をそのままギュッと抱きしめたマオの姿が印象的だ。演奏を終えたメンバーは、途切れることのない大歓声を笑顔で受け止めていた。「せっかくなんで、正月らしく」というマオの提案で、会場全員で一本締めをして、ステージを締め括った。

「満を持して15周年に入ったんだけど、みんなも勉強とか仕事とか他のバンドとか、そんなこと考えられなくなるくらい、シド色に染める一年にしたいと思っています。いつも通りついてきてください」──マオ


とマオがMCで語っていたように、5月5日(土･祝)のZepp DiverCity TOKYO公演を皮切りに＜SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018＞の開催が決定している。このツアーはファンクラブ限定や、ファン投票ライブ、暴れ曲限定ライブ、インディーズ曲限定ライブ、昭和歌謡曲限定ライブなど、日によって内容が異なり、シドの魅力を再確認できるスペシャルなツアーになることは間違いない。15周年アニバーサリーイヤーは始まったばかりだ。今後の企画もお楽しみに。

取材・文◎大窪由香
撮影◎今元秀明