【インタビュー】シークレット・スフィア「音の隙間感が出るように意識した」

ポスト

イタリアのシンフォニック/パワーメタルバンド:シークレット・スフィアが、5年ぶりとなるニューアルバム『The Nature of Time』を引っさげ、3度目の来日公演を行った。デビュー以来、長きに渡ってシンガーを務めてきたロベルト“ラモン”メッシーナに代わり、元ヴィジョン・ディヴァインの実力派シンガー:ミケーレ・ルッピの加入により更なるステージへの挑戦を続ける彼らは、プログレッシブな要素もあるニューコンセプトアルバム『The Nature of Time』の完全再現も日本で初披露、2部構成でのフルステージをみせてくれた。

◆シークレット・スフィア画像

また前夜祭としてアコースティックによるショーも行われ、結成20周年記念に相応しい特別な日本公演となった。現在ホワイトスネイクでキーボーディストとして活躍しているシンガー:ミケーレ・ルッピと、バンドの中心人物であるギタリストのアルド・ロノビレにインタビューを遂行した。


──20周年おめでとうございます。アコースティックとフルステージのショーはいかがでしたか?

アルド:このニューアルバムは自分たちにとってとても大事な作品で曲を選ぶのも難しいから全曲プレイする事にした。フルアルバムの完全再現も初めての試みだったんだけど、みんなにも全曲を伝えたくてね。アコースティックは2012年にミケーレとプロモーション来日した際に短いショーで演ったけれど、バンドでちゃんと演奏できたのはこれが初めてなんだ。曲もアレンジして気持ちが伝わるようにプレイしたよ。

ミケーレ:アコースティックでは昔の曲もプレイできたから良いバランスになったんじゃないかな。余計な音もなくて自分たちの自然な姿を生のまま見せられるしね。今後アコースティックのアルバムも作ってみようかというアイディアも湧いたよ。フルアルバムの完全再現はリスクもあると思ったし大きなチャレンジではあったけど、ファンも喜んでくれたようで結果的には良かった。

──アルバム完全再現は日本が初めてだったのですね。


アルド:2018年3月にスペシャルイベントとしてイタリアで同じ再現をやる予定なんだけど、これは劇場で俳優がキャストとして聖歌隊なんかも入れてやるんだ。他の国でもできるといいけどね。

──結成20年とのことですが、この20年で印象深かった事は何ですか?

アルド:これについては何時間でも語れるけど(笑)、一番の思い出は初めてレコーディングしたとき、まだみんな若くて同じ家で1ヶ月くらい共に過ごして、毎日ふざけたりプロデューサーに練習しろって怒られたりしたことかな。楽しかったよね。あと、ドイツの<ヴァッケン・オープン・エア>のフェスティバルに出られた事や、ミケーレと初めて日本に来た事もね。自分のアイドルだったミュージシャンたちが日本にはたくさん来ているし「日本ってどんなところだろう?」とずっと憧れていたから。そして今回のニューアルバムも、将来そう思えるだろうなと思っているよ。

──ニューアルバム『The Nature of Time』で、6人編成から5人編成となった経緯は?

アルド:何か問題があったわけではないんだ。ただ、マルコは自分のバンドも持っているしやりたい音楽も少し違っていたから、彼には好きな事をやって欲しいと思っていた。今のシークレット・スフィアは曲の作り方やプレイスタイルも以前とは変わってきたし、もともと僕の曲作りはギターは1本で作るんだよ。昔はもっとパワーメタルな作品だったからセカンドギターも必要だったけど、今後もギターは1本でやっていきたいと思っている。

──ニューアルバムは、単にシンフォニックやプログレッシブ・メタルというのみならず、ミケーレの歌声に重点を置いたように感じますがいかがでしょうか?






ミケーレ:アプローチはこれまでと一緒だけど、バラードやミドルテンポが多いし音の隙間感が出るように歌が良く聴こえるように意識したよ。各パートの音は良く聴こえるようなミックスだけど、特に歌に意識したんだ。

──歌声はどんどん深みが増していますが、どんなトレーニングをしているのでしょうか。

ミケーレ:気付いてくれてありがとう。僕は20年くらいボーカルコーチをやっていて、人にたくさん教えているけれど自分が一番ひどい生徒でもあるんだ(笑)。実はレコーディングの時は体調が悪くて1ヶ月くらい咳が出ていたんだけど、今回は瞑想なようなイメージトレーニングも採り入れて、曲の中に入り込む事/シンガーというより俳優のような気持ちにする事で違う伝え方になるんじゃないかとトライしたんだ。今回は特にエネルギーが大事だという事にも気付いて、これもちゃんと伝わるものだとわかった。実験しながらもっと色を付けるような歌にしてみたんだ。

──アルバム全体のスケール感もずいぶんとアップしていますが、レコーディングで気を使った点は?

アルド:アプローチが違って、ストーリーを音楽で伝える為にサウンドトラックのようにしたかった。演奏も変えているから、そこに気付いてくれて嬉しいよ。

ミケーレ:メタルアルバムでの大きな歌声よりボーカルが入り込めているよね、映画のように奥行きも音のスペースも与えて作ったからね。

──ストーリーはどんなアイディアから?

アルド:実際の出来事が題材なんだ。そこからインスピレーションが湧いて人生を違う目で見るつもりで書いたよ。わりと悲しみや辛い事を題材にするバンドが多いけど、僕らは美徳や愛情や優しさを採り入れたかった。ミケーレも良い歌詞を書いてくれたしね。

──ミケーレのホワイトスネイクへの参加は、バンドにどんな良い効果をもたらしていますか?

ミケーレ:考えるより気持ちを入れる事を学んだよ。40年もキャリアのあるバンドとやれる事は本当に光栄だし、ホワイトスネイクの音楽が大好きだし、そうでなければ僕もメロディーを作る事ができないからね。演奏テクニックの面でもシークレット・スフィアは良い影響を得ている。正直に言うと、オーディエンスの事よりも自分が彼らと一緒にプレイできる事を純粋に楽しんでいる。これもシークレット・スフィアにとっても良い影響なんだ。

──ホワイトスネイクでもっと歌ったりはしないんですか(笑)?

ミケーレ:それはね、シンガー(デイヴィッド・カヴァデール)がスターだからね(笑)。一緒に歌えるだけでも光栄過ぎるよ。

アルド:これからイギリスで10日間のツアーとスペインのツアー、あとはどこか夏のフェスティバルに出れるといいかな。日本のファンはとても忠実で大好きだよ。楽曲も歌詞もメンバーの事も全部わかってくれてて本当に嬉しい、ありがとう。

ミケーレ:僕らの音楽にずっと興味を持ってくれてありがとう。日本のファンは何だか自分の持っている情熱ととても似ているんだ。イタリアのファンよりも強い関わりが持てていると思う。これからもどんどん進化して行くから付いてきてね。


取材・文:Sweeet Rock / Aki
写真:Takumi Nakajima

<SECRET SPHERE ~Celebrating The 20th Anniversary with a Special Show 2017~>

-Acoustic Show-
2017.12.7 Meguro Live Station
1.Union
2.Courage
3.Lie to Me
4.Legend
5.The New Beginning
6.The Mystery of Love
7.Kindness
8.Eternity
-20th Anniversary Show-
2017.12.8 Shinjuku BLAZE
~1部~
1.The Calling
2.Love
3.Courage
4.Kindness
5.Honesty
6.Faith
7.Reliance
8.Commitment
9.The Awakening
10.The New Beginning
~2部~
11.Age of Wizard
12.Recall of the Valkyrie
13.Loud & Raw
14.The Scars That You Can't See
15.Legend
16.Lady of Silence
17.Union
18.Lie to Me
~Encore~
19.Healing
この記事をポスト

この記事の関連情報