【インタビュー】Den Sorte Skole「物事の境界を超えたいときは万人から評価を受けなくたっていいと思っている」
■DSSではいつも自分たちの境界を
■超えるように心がけている
──お二人が最初のリリースされた『Lektion#1』と『#2』はミックステープとして、『Lektion#3』はフルアルバムとしてリスナーにあなたたちのサウンドの中に没頭させるような挑戦的な作品ですね。そして最新アルバムの『Indians and Cowboys』は、お二人の音楽制作の基本に挑戦したような作品となっていますが何にインスパイアされて楽曲作りをしていますか? そして次のアルバムにはどのようにアプローチしていくかお考えですか?
Martin DSSではいつも自分たちの境界を超えるように心がけているので続けていくにあたってもそれを自分たちのDNAとしていくと思う。長くバンドを続けていくためには自分たち自身をチャレンジしていくだけでなくオーディエンスにも挑戦的でいること、新しいサウンドを常に生み出してインスピレーションを探し続けることが大事だと思っているんだ。僕らにとっては自分たちの音楽が一つの特定のジャンルにハマらないことが僕らの特権だと思っているし、自分たちのサウンドは色々なスタイルやカルチャーを織り交ぜたハイブリッドで常に新しいことをすることによって自分たちが新しいテリトリーに自由に行けると考えているよ。
Simon ありがたいことに、ここ何年かクラシックのオーケストラと一緒に仕事をする機会が何度かあったんだ。それは僕らの作曲スキルに良い影響を与えてくれたよ。実は今50人編成のクラッシックオーケストラと一緒に僕らの3番目のシンフォニーを作っている最中です。
僕らの次のリリースには古いサンプリングを新しいサンプリングと組み合わせたものがあるんのだけど、僕らがが最後に出した2枚のアルバムにはたったふたつしか1980年代より前のサンプリングを使っていなかったんだ。お化けとロボットの古いものと新しいものに魅了されたんだ。それで僕たちは世界中の先住民族の音とグラニュラー・シンセシスとその他の音楽処理技術の融合しているんだ。作品は“Ghosts & Robots”って名前だけどそれも日本ととてもマッチングしてるように思う。
──どのような日本の文化がアーティスト、クリエイターとして刺激を受けましたか?お気に入りの音楽作品のなかでも特に影響を受けたものはありますか?
Martin 僕らはずっとDJ Krushの大ファンでFoodmanとKeiji Heinoのような日本のアーティストにも大きな影響を受けたよ。僕らは日本の実験的な電子音楽、特にインストゥルメンタルの音楽の経た歴史に影響されてきたのだと言えるんじゃないかな。あと日本の和楽器なんかの音も大好きで『Lektion#3』の「Lamuka」っていうトラックには松尾恵子の琴のサンプリングも使ったんだ。
──もし現代にアーティストを蘇らせてコラボレーションするとしたら誰を選びますか?
Simon 実を言うと、僕たちはサンプリングから曲を作るから僕たちが夢見てきたアーティストたちとはある意味コラボレーションしてきたと言えるんじゃないかな。でも、トラックを作る過程でパートナーを決めるとしたらボブ・マーリーだろうね。あそこまで個性的で明確に音楽の歴史に名を刻んだ人は他に考えられないよ。
──デンマークの“ロスキルド・フェスティバル”は“フジロック”に相当すると言われていますが、なぜ今夏のフェスティバルは特に重要だったのか、そして前回からどのようにパフォーマンスの内容を変化させたのですか?
Martin 北欧で最大のフェスティバルの一番大きなステージで金曜日にパフォーマンスしたんだ。メジャーなラジオやiTunesのサポートなしで実験的音楽に基づいたサンプラーを演奏するアクトとしてはとても大きいものだったんだ。5万人のオーディエンスの前でパフォーマンスするためにいまだかつて見たことがないオーディオヴィジュアルショーのモンスターを作り上げたかったので7カ国からゲストを招いたんだ。
アイスランドの22人編成のコーラス、クルド人シンガーAynur Dogan、シリア人の伝説的なカルト人物Omar Souleymanをゲストに招いたんだ。僕らはDark MattersとObscura Vertigoと一緒に以前から大型のオーディオヴィジュアルのプロダクションを製作して慣れていたけれど今回は今まで以上のスケールでゲストと一緒に今までにないステージを作り上げたよ。幸運なことに今までやった中で一番奇妙なライヴだったけれど大成功だった。美しくて、悲壮感があってクレイジーでパワフルなステージだったからほとんどの人には大好評だったけれども中には嫌だったっていう人もいたよ。でも物事の境界を超えたいときは万人から評価を受けなくたっていいと思っているんだ。
──これから東京は夜の市場活動と音楽のエンターテインメントにおける姿勢を変えていくのですが、デンマークでは過去何年かに夜の文化や電子音楽に関わる変化というものはありましたか?
Martin 僕は、今の音楽社会全体の傾向としてアメリカやイギリス、デンマークにおいてもポップなアクトにフォーカスして行っているように感じるけど、それは別にいいと思うんだよね。実験的な音楽シーンはメディアの注目がない方が僕にとってはベストだよ。それでも少し寂しいのは今の若い人たちが音楽を鑑賞するという意識が分散してしまっていることなんだよ。僕はスマートフォンとかSNSとかの爆発的な技術革命が周りのものや自分たち自身を見失ってしまうような世代を結果的に作ってしまったのだと思うよ。いつもそれなりにやって、背伸びしたり、落ち着きがなくなったりする。もっと皆リラックスするべきだよ。誰かと面と向かって話したり、携帯の電源を消してみたり、アルバムをフルで通して聴いてみたり、本を読んでみたりとかね。
◆Den Sorte Skole オフィシャルサイト(英語)