【インタビュー】MOSHIMO、「どこよりもポップで、どこよりもロックしてやろう!」

ポスト


■ はちみつって甘いのにめっちゃドロドロしてる
■ 「うわー、これ私じゃん!」って

▲EP「支配するのは君と恋の味」通常盤

── 3曲目「96メモリー」は?

岩淵:これは激しい曲調に相反するような、何とも言えない甘ったるいような女の子の恋愛観を入れて、サウンドと歌詞のギャップを作れたら面白いなと思って作った曲です。なんだかんだで、だらだらつきあいながら、別にいいよって強がりながらも、女の子と遊びに行っちゃったりする彼氏を見て嫉妬して、「やっぱり好きなんだ」っていうところに落ち着くみたいな。そういうものを書きたいなと思いました。

一瀬:出来上がって聴いてもらったら、女子からの共感率がすごくて、男は反省するような感じで(笑)。リアリティがあっていいなと。ポチの経験談ですね。

岩淵:そんな大して恋愛もしてないんで、経験談と言うと恥ずかしいんですけど……「わかる」と言われるとうれしいですね。

── これはもう、リズム隊は楽しく元気良く。

本多:勢いだけです(笑)。ギターがギャンギャンいって、ベースも歪んでるんで、ドラムのテックさんと「俺らもワルい音にしてやろうぜ」って。

▲本多響平(Dr)

一瀬:今回は全曲で世界観が違うので、ドラムセットを全部組み替えてやったんですよ。そこに岩淵も出てきて、「これは違う、組み直し!」とか言って。

岩淵:極悪なサウンドにしたかったんで(笑)。可愛らしい感じだし、ポップなメロディだったんで、それに相反するデストロイな部分をしっかりサウンドで出したいみたいな。ギターの歪みも、私が持ってる一番極悪な音を作ってます。

── 歌詞は、「支配するのは君と恋の味」が恋に発展する前の段階なら、こっちはもうつきあっていて、ちょっと倦怠期みたいな感じですかね。

岩淵:こういうことあるなーと思ったことを書いてみました。“はちみつとジェラシー”という言葉が一番悩んだところで、恋愛してると、いちゃいちゃしてる甘ったるさだけじゃなくて、女の嫉妬とか醜いところもあるから、出しちゃダメだとわかってるけど、「好きという思いがそうなっちゃうんだよ」というところを表現するのがすごく難しくて。ちょうどその頃ライブとレコーディングが重なっていて、喉にいいからってはちみつをスタッフからもらってたんですよ。はちみつって甘いのにめっちゃドロドロしてると思って、熱いぐらいに甘ったるく感じるけど、すごいねちねちしてて、「うわー、これ私じゃん!」みたいな。

一瀬:その着眼点がすごい(笑)。

岩淵:それで“はちみつ味のジェラシー”にしたかったんですけど、いろいろ考えてこれになりました。甘さと醜い部分と、相反する部分をくっつけようと思って。

▲MOSHIMO

── そしてもう1曲が「白い自転車」。オールドタイプというか、ちょっといなたい感じ、奥田民生を思わせるようなロック・チューンと言いますか。

一瀬:まさにそうです。奥田民生さんとか、YUKIさんの初期の感じとか、イントロは山下達郎さんを意識したりとか、古き良きロックをレスポールでかき鳴らしたいみたいな。最近の若いバンドはあまりやってないかもしれないけど、個人的にすごく好きなので、そういうサウンドにしたいなと思ってました。もともと彼女が持ってきたAメロの歌詞が、日常感というか、気だるい午後の感じが出ていたので、世界観にはぴったりかなと。

岩淵:それこそ二人で曲を作る時に、よく自転車で行き帰りするんですけど、いい曲が浮かばなくて悩んでる時期で、「何かいいことないかな。楽しいことが毎日あればいいの」にと思いながら、ハナウタで歌っていたら言葉が出てきて、そのまま作った曲です。毎日楽しいことをして、笑って、未知の世界へ突っ込んで無茶苦茶したいみたいな、常にときめきを求めるという意味合いを込めて。

一瀬:本当に白い自転車に乗ってるしね。すごいなと思ったのは、最後の歌詞が“エイトビートは止まらない”で終わってるんですけど、そこを“バンドがこれから進んで行く”という意味と掛けていたりとか。あと1曲目がエイトビートの「支配するのは君と恋の味」で始まって、4曲目が“エイトビートは止まらない”で終わるという、いろいろフックがあるなと思って、すごいなと。

岩淵:最後っぽい曲だと思ったから、このまま突き進みたいなという思いを込めて。

一瀬:ナチュラルにそういうことをやってるのはすごいと思う。

岩淵:ありがとうございます。恥ずかしい…。伏線を張るのが好きなんですよ。伏線を張って、回収して、ちょっとドヤるみたいな(笑)。人の曲を聴く時にも、なんでこの言葉を選んだんだろう?って考えて、でも「なんかわかるな」とか、そういうのがすごく好きなので。それが出てるのかなと思います。

本多:個人的にはイントロや間奏の、ハイハットがハーフオープンのジャンジャン!でもなく、クローズのチッチッ!でもなく、微妙な感じに空けて、表ノリを意識して叩きました。80年代ジャパニーズ・ロックみたいなイメージです。

◆インタビュー(3)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報