伊福部昭、自身監修による初の映画音楽全集が紙ジャケCDボックスで登場
日本初の特撮怪獣映画『ゴジラ』(1954)の音楽を産み出し、その数々のメロディがスタンダードになっている作曲家・伊福部昭が、1981年にキングレコードから発売したLPレコード全10枚からなる大全集企画『伊福部 昭 映画音楽全集』の復刻リリースが決まった。
発売から36年以上を経て、このアルバムの内容そのままを初CD化、レコードの形態をミニチュア化した紙ジャケットによる10枚組CDボックス『伊福部 昭 映画音楽全集 復刻箱』 として12月22日(金)にリリースされる。
伊福部昭による映画音楽はそれまで、公開当時にサントラ盤が発売されていなかった映画音楽が多く、代表的な「ゴジラのテーマ」と総称される第1作『ゴジラ』のメインタイトル曲でさえ、初めてレコード化されたのは、1977年に東宝レコードから発売されたLPレコード『日本の映画音楽 伊福部昭の世界』まで待たねばなかった。このアルバムの後に同社から発売の『ゴジラ』と関連映画の音楽を厳選して収録したアルバム『ゴジラ/オリジナル・サウンドトラック』が好セールスをあげて、改めて『ゴジラ』の音楽、伊福部昭の映画音楽が注目され、より多くの音源をレコードとして手に入れて聴きたいというニーズが増加してきた。
こうした背景を受けて初商品化から4年後の1981年12月にキングレコードから発売されたLPレコード全10枚からなる大全集企画が『伊福部 昭 映画音楽全集』。当時は12月5日に1から5まで、12月21日に6から10までの2回に分けて発売された。
この全集は、音楽マスターテープが無いためフィルムの音声から収録した映画音楽デビュー作『銀嶺の果て』(東宝/1947/昭和22年)に始まる作品群が、伊福部昭の監修によって収録されている。企画から完成まで約1年、その間に順次、選曲作業が続けられたという、レコード制作当時の伊福部昭の意思を感じながら鑑賞できる貴重なアイテムだ。
収録作品は『ゴジラ』(1954/昭和29年)の他、『空の大怪獣ラドン』(1956/昭和31年)、『宇宙大戦争』(1959/昭和34年)といった東宝特撮映画、大映の『釈迦』(1961/昭和36年)、『座頭市物語』(1962/昭和37年)などの大映作品、『ビルマの竪琴』(1956/昭和31年)などの日活作品、『宮本武蔵』(1961/昭和36年)などの東映作品といった映画各社の時代劇、文芸作品なども収録。岩波映画の『佐久間ダム 第三集』(1961/昭和36年)などのドキュメンタリー映画もあり、手がけた映画のジャンルを幅広く集大成している。
レコードでは1つの映画を1曲として扱った収録で、その中に複数の楽曲が並べられている。今回の復刻CDでは、2曲を編集して連結させた楽曲や、短い曲を2回繰り返しの編集で収録した箇所は1曲とみなしつつも、1曲1トラックに分割して聴きたい曲を選んで聴きやすい方式になる。また、ボーナストラックで未収録の音楽を追加することはなく、あくまでも1981年当時のLPレコード「作品」をCDで再現した復刻、ジャケットは近年、「怪獣絵師」と呼称され展覧会開催や画集出版も相次ぐイラストレーター開田裕治が描き下ろしたものでデザインされている。
封入の解説書にある伊福部昭に関係した人々のコメント、収録曲解説(執筆は池田憲章)、全10枚を通した連載として映画音楽を手がけた作品のデータも掲載。今回のBOXではこの封入カード、ジャケットに巻かれていた帯もCDサイズで完全ミニチュア化。解説書の記事は読みやすいように別冊のブックレットへ再録掲載される。今回の別冊ブックレットには、特撮をはじめ日本映画の音楽を発掘、レコード化のパイオニアである故・竹内博とコンビで、伊福部昭の監修による選曲をサポートした構成補の西脇博光へのインタビューなどの追加記事も掲載する。
『伊福部 昭 映画音楽全集 復刻箱』
価格:25,000円+税
品番:KICC-91418〜27(CD10枚組)
【商品仕様】
*LPレコードのジャケ、帯、解説書をCDサイズのミニチュア化復刻。
*美麗箱に収納(左開きワンピースケース仕様)。
*別冊ブックレットにて、レコードの解説文、各関係者のコメントを再録した上で、書き下ろし解説、レコード制作関係者ミニインタビューも掲載。
*LPレコードでは1作品を1トラックで、複数の楽曲を収録していたものを、今回のCD化では1曲ごとにトラックを打って聴きやすく収録します。
(複数曲が編集、連結された音源、また短い曲が繰り返されして編集の音源はその状態で1曲と見なしてトラックを構成)
◆伊福部 昭 オフィシャルサイト