【インタビュー】名古屋発4人組バンドハラスメント、人間の本質を解剖する!?衝撃シングル「解剖傑作」をリリース
胸を締め付けるせつない思いを繊細かつ疾走感溢れるバンド・サウンドで表現、動画サイトでは15万に迫る視聴数を獲得するなど、話題になっている名古屋発の4人組バンドハラスメント。2017年5月にはミニアルバム『エンドロール』で全国進出を果たし、初のワンマン公演やフェス主宰などもし、さらに勢いにのる彼らが、ニューシングル「解剖傑作」を完成させた。これまでのバンドのイメージにはない攻撃性と物語性を感じさせる世界観が、すでにSNSで話題騒然!彼らがこの曲に込めた思いを語ってくれた。
──ミニアルバム『エンドロール』の発売以降、バンドをめぐる環境に変化はありましたか?
斉本佳朗(Dr):それまでは、レコーディングはもちろん、ミュージック・ビデオに至るまで、すべてを自分たちで作っていたので、どうしてもリリースするまでに時間がかかっていたんです。だから、思うように活動ができないところがあったんですけど、『エンドロール』以降は、サポートしてくださるスタッフの協力もあって、やりたいことをスムースにできるようになりました。だから、初のワンマンライヴや主宰フェスもできるようにもなったし。とても濃い時間を過ごせるようになりました。
▲ニューシングル「解剖傑作」
──7月15日には三重・四日市でのワンマン公演を敢行。チケットはソールドアウトし、熱狂を巻き起こしました。
はっこー(B):ワンマン公演では、今までのものとは異なるライヴにしようとゼロから作り上げたんです。それをいい形で、観客のみなさんにお届けできたのかなっていう手応えを感じました。今後も、いろんな場所でライヴをやって実力を磨いていけたら。
──同月の30日には主宰の無料フェス「PAPAFES 2017」を開催。
井深(Vo):地元の名古屋だと、自主でフェスをやっているバンドが多いので、自分たちも実現させたいとずっと思っていたんです。また、これまであまり他のバンドとの交流が少なかったところもあったので、これを通じて横の繋がりもできたし。これからもっと大きくさせて、名古屋を代表するフェスにすることができたらと思います。
──そういった新しい経験によって受けた刺激は大きかったのでは?
ワタさん(G):その通りですね。次に繋がるというか、これからも新しいことに挑戦していきたい気持ちにもなりましたね。
──そして、このたびニューシングル「解剖傑作」が完成しました。
斉本:これは、実際に僕が送った手紙がモチーフになって完成した曲。僕らが、新しい一歩を踏み出すにあたって、ずっと好きだった人に宛てたものなんです。また『エンドロール』のラストに収録の「9月4日」の続編という思いもありますね。
──今の時代って、SNSを通じてやりとりするのが主流の中で、手紙という表現方法を使うのがユニークですね。
斉本:手紙という表現手段が新鮮だったというか。SNSが普及している現代では、みんなと共有できるものを伝えたいからコミュニケーションしているだけというか。「シェア」や「いいね」されることがすべてになっている気がするんですよね。本当の自分を隠して。でも、それぞれの心の中を「解剖」したら、他の誰とも共有できないありのままの「傑作」があるような気がするんです。それをこの楽曲で表現したかった。誰もが内側に秘めているものの素晴らしさについて手紙を通じて綴ったつもりです。
──サウンド的には、今回はかなりエモーショナルな展開になっていますね。
はっこー:今回は、バンド・サウンドのかっこよさだけを追求して、完成させることができました。当初から、そこを目指していたつもりはないのですが、時間をかけて制作していくうちに、自然とそういう音になっていったんです。
──ヴォーカルも緩急のあるスリリングなものですね。
井深:かなり難しい部分が多かった1曲。サビに向かってどうピークを作っていくのか?とか、楽曲が持つエモーションをうまく伝えられるか?考えて歌い方を変えてみたりとか、いろんなことを考えながらも、楽しく制作できました。
──ライヴでも盛り上がりそうな1曲。
ワタさん:今回は他の楽器などに頼らず、全部をバンド・サウンドだけで構成しているんです。だから、ギターの音も目立つというか。これまで他の楽器で出していた音の厚みを自分のギターで表現しなくてはいけなかったりとか。大変ではありましたけど、とても充実した作業でしたね。
──ミュージック・ビデオも、センセーショナルな印象を放っていますね。
井深:人間って、生活していくうちに誰かに影響を受けて、考え方が変わってしまうことがあるけど、ありのままがいいというメッセージが伝わる仕上がりになっています。今回のミュージック・ビデオを含めビジュアルは「白」を基調にしているんですけど、それは「人間の無垢さ」を表現しているんですが、ミュージック・ビデオを含めこの楽曲が、そこを揺さぶる仕上がりになっていればいいなって思います。
──ビデオでは演者さん二人を囲んでパフォーマンスする場面も。ちなみに男性は、人気メンズ・ファッション誌『メンズノンノ』のファッション・サークル=MNFCのメンバーとして活躍している、朝倉滉生さんを起用。
ワタさん:以前にも演者さんと一緒に撮影することはあったのですが、囲んで演奏したことはなかったので、面白いなって思いましたし。撮影している段階から、朝倉さんたちの演技を見ていて、今回のミュージック・ビデオは素晴らしいものになる予感しかしませんでしたね。
──カップリングの「一人隠れんぼ」は、どんな楽曲ですか?
斉本:ネットで流れた怪談や、男性ならば誰でもやっているはずの「行為」などをモチーフにしたダンス・チューンですね。かなりライヴ映えしそうな1曲であり、これまで自分たちがやりたくてできなかったタイプの音でもあります。『エンドロール』の収録曲のような普遍的な事柄ばかりでなく、ちょっと癖のある楽曲にも挑戦したい気持ちもあるので。
──そうなると、11月からスタートのツアーも楽しみですね。
はっこー:今回のシングル曲が完成したおかげで、ライヴでできる曲のレパートリーも増えたので、セットリストを組むのが楽しみです。毎回違う曲順でもいいのかなってくらい(笑)。1公演1公演を特別なものにするつもりなので、ぜひ遊びに来て欲しいですね。
井深:このシングルが新しい僕らを示すものになったので、ライヴではこれら楽曲をさらに磨き上げ、最高なパフォーマンスをお見せできたらと思います。
ワタさん:本当に今回のシングル曲を皆さんの前で披露する日が待ち遠しいですね!
──今回の「解剖傑作」を完成させたことで、バンドハラスメントはこれからどう進化していきますか?
斉本:今回はこれまでの楽曲と違う攻撃的なタイプの曲なので、戸惑っている人もいるもかもしれません。でも、これからも今まで通りの楽曲を発表していくつもりで、時々変化球的に僕らが今やりたいものをお聴かせすることができたらと思っていますので、楽しみにしていてください。
──今回のシングルをきっかけに、ストレートでせつない部分を見せる部分と、そうではない実験性を感じさせる部分、バンドハラスメントの二面性を感じてもらえるのかもしれないですね。ちなみに、皆さんも二面性があるんですか?
斉本:それはありますよ!ライヴのMCでは下ネタ全開ですが、普段からそうじゃないですからね。基本引きこもりなんで、休日外に出かけないタイプなんです(笑)。
井深:僕もステージとそれ以外ではギャップがありますよ。ステージでは、自分の思いを全て観客の皆さんに届けたいから、日常はできるだけエネルギーを蓄積しています。
斉本:ワタさんも二面性ありまくり(笑)。この間、内緒でパソコンの履歴見たら、機械系のサイトしか見ていないんですよ。ギターとかの機材はもちろんだけど、ロボットのページとかもチェックしていて。この人ってそういう趣味なんだって……(笑)。
ワタさん:そういうのは昔から好きで、調べたりしているうちに自然と目がいってしまうだけなんですけどね(苦笑)。
斉本:はっこーさんは、洋服好きだよね。
はっこー:このレコーディング中も空き時間に古着屋に行って、2時間以上物色していたくらいですから。古着って、一期一会なところあるじゃないですか。その場所・時間でした会えない感動もあるから、ついつい長居してしまうんですよね(笑)。
メンバーは、井深(Vo)、ワタさん(G)、はっこー(B)、斉本佳朗(Dr)。名古屋発の4ピースバンド。井深の鋭くもどこか温かさを感じる歌声が多くのリスナーの心を掴み、初となるMusic Video「君と野獣」公開以降その知名度をあげ、結成わずか1年足らずでSUMMER SONIC,METROCK ZERO 2016への出演を果たした。 今年9月には「イナズマロック フェス2017」に出演。彼らの勢いは名古屋に留まらない。11月5日の神戸を皮切りに「僕と少女の解剖ツアー」がスタート。東京公演は、11月15日の渋谷MilkyWayにて。
リリース情報
2017.10.02発売
価格:1000円(税別)
レーベル:SANTA IS PAPA
品番:SANPA-0002