【レポート】TETSUYA (L‘Arc-en-Ciel)、<15tn ANNIVERSARY LIVE>で「なんで「瞳の住人」やったか分かってる?」
2001年7月発表シングル「wonderful world/TIGHTROPE」でソロ活動をスタートさせ、2016年にソロ15周年を迎えたTETSUYA。全曲の作詞作曲を手掛けることはもちろん、ヴォーカルをはじめ、レコーディングではベースやギターもプレイするといった負荷の小さくないソロワークを長く続けてきたことからは、彼のアーティストパワーの大きさを感じずにいられない。そんなTETSUYAのソロ活動15周年を記念したライヴ<TETSUYA 15tn ANNIVERSARY LIVE>が、8月25日および26日の2日間にわたって昭和女子大学 人見記念講堂で開催された。その初日の模様をレポートしたい。
◆TETSUYA (L'Arc〜en〜Ciel) 画像
定刻の19時、暗転した場内に雄大なオープニングSEが流れ、バックメンバーに続いてTETSUYAがステージに登場した。客席から大歓声と拍手が湧きあがる中、1曲目に演奏されたのは驚いたことにL'Arc〜en〜Cielの「瞳の住人」だった。意表を突く選曲に騒然となった後、静まり返ってステージに見入るオーディエンスと幅広い音域を使った難易度の高いメロディーを抒情的に歌い上げるTETSUYA。「瞳の住人」のロマンチックな味わいとサプライズ感のある幕開けにテンションが高まったオーディエンスの熱気が相まって、ライヴは非常に良い雰囲気の滑り出しとなった。
その後は、爽やかさを湛えた「LOOKING FOR LIGHT」、メタリックなギターリフやラグジュアリーなサビをフィーチュアした「TIGHTROPE」、切迫感を纏った「蜃気楼」を続けてプレイ。TETSUYAは熱いステージングを展開しつつ客席を見渡しながら歌い、間奏ではバックメンバーと2ショットを決めて笑顔を浮かべている。華やかな彼に牽引される形で、場内の熱気はどんどん高まっていった。
4曲聴かせたところで最初のMCへ。「お元気ぃ~?」といういつもの挨拶で客席を和ませた後、リラックスした表情で「どうでした、1曲目?」と問いかけたTETSUYA。「今日だけカバー曲をやる、という事前インフォメーションがあったんですけど、みんなの予想は当たってた? あれ? なんで「瞳の住人」やったか、みんな分かってる? “人見”記念講堂やからやん(笑)。ええっ!分からんかったん?マジで?ダジャレですよ(笑)。「瞳の住人」はカラオケでも歌ったことがなかったんですけど、凄いところにいくよね、メロディーが。ここまでいくか?みたいな(笑)。この曲誰が作ったん?俺か(笑)」というシャレなのか、マジメなのか分からない言葉にオーディエンスが大いに沸いて、場内が笑顔に包まれた。素顔のTETSUYAに触れることができるのも彼のソロ ライヴの大きな魅力といえる。
続くブロックでは煌びやかな「Time goes on ~泡のように~」、中間で大合唱が巻き上がった「何があっても」、翳りを帯びた「guilty」などが演奏された。1曲ごとに空気感を変えて様々な表情を見せていく構成は魅力的だし、豊かな声量や幅広い声域を備えたTETSUYAのヴォーカルも聴き応えがある。ソロ活動をするにあたってベース&ヴォーカルというスタイルを選択し、「ベースを弾きながら歌っているから」という言い訳ができるようにすることも出来たと思うが、彼は逃げ道を作ることなく、ヴォーカリストとして勝負することを決意した。抑揚を効かせたTETSUYAの歌を聴いて、長年にわたって自分の歌を追求してきたことが良い結果を生んでいると改めて思わずにいられなかった。
中盤では爽やかなミディアムテンポの「WHITE OUT」やヘヴィでメロディアスな「EDEN」、温かみに溢れた「lonely girl」などを披露。いつも感じることだが、TETSUYAのライヴは煌びやかな光に包まれているような感触で、それが本当に心地よい。そんなステージにふさわしく客席のムードのよさも抜群で、今回も客席は終始明るい笑顔で溢れていた。もうひとつ、各曲のクレッシェンドが絶妙で、1曲ごとの盛り上がりが折り重なって大きな波を生んでいくという流れも見事。いつもながら中だるみなどは全くなく、強く惹き込まれるライヴになっていた。
バック陣によるインストゥルメンタルに続いて演奏された「Can’t stop believing」からライヴは後半へ。グラムロックの匂いとキャッチーなサビを融合させた「愛されんだぁ I Surrender」やR&Rテイストを活かしたサウンドでアッパーに進みつつ、「Roulette」では曲中に恒例の“サイコロトーク”を挿入。ちなみに今回はドラムの山崎 慶が「情けない話」というお題で、間違って女性専用車両に乗ってしまったという話を披露する場面も。本編ラストはブルースブラザース風のダンサー2人が登場して、ステージの熱気に拍車をかける「Are you ready to ride?」で締め括られた。
アンコールは未発表曲「THANK YOU」をはじめ、「Make a Wish」「流れ星」といったナンバーを披露。明るい笑顔を浮かべてステージを行き来しながら力強い歌声を聴かせるTETSUYAと気持ちを引き上げるサウンドの応酬にオーディエンスの熱気はさらに高まり、場内は一体感に溢れた華やかな盛り上がりを見せた。
独自のアプローチを活かして、15周年を飾るにふさわしい多幸感に溢れる空間を創り上げたTETSUYA。良質な音楽でオーディエンスを楽しませることを最重視するミュージシャンシップの高いスタンスや、ライヴに来てくれたファンを喜ばせたいという想いがダイレクトに伝わってくる彼のライヴは実に魅力的だ。今後も20周年、25周年とソロ活動を続けてくれることに期待したい。
取材・文◎村上孝之
■<TETSUYA 15tn ANNIVERSARY LIVE>
2017年8月25日(金)@東京 昭和女子大 人見記念講堂セットリスト
02.LOOKING FOR LIGHT
03.TIGHTROPE
04.蜃気楼
05.Time goes on 〜泡のように〜
06.何があっても
07.guilty
08.魔法の言葉
09.WHITE OUT
10.EDEN
11.lonely girl
12.Fantastic Wonders
13.Can't stop believing
14.愛されんだぁ I Surrender
15.Roulette
16.Are you ready to ride?
encore
en1.THANK YOU
en2.Make a Wish
en3.流れ星
■<TETSUYA 15tn ANNIVERSARY LIVE>
2017年8月26日(土)@東京 昭和女子大 人見記念講堂セットリスト
02.Fantastic Wonders
03.REVERSE
04.蜃気楼
05.Pretender
06.SCARECROW
07.Time goes on 〜泡のように〜
08.In My HEART
09.wonderful world
10.WHITE OUT
11.EDEN
12.empty tears
13.何があっても
14.Can't stop believing
15.Roulette
16.Are you ready to ride?
encore
en1.Make a Wish
en2.15 1/2 フィフティーンハーフ
en3.流れ星
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