【連載】中島卓偉の勝手に城マニア 第62回「掛川城(静岡県)卓偉が行ったことある回数 2回」
前回に引き続き静岡県の城にスポットを当ててみたいと思っている。前回が高天神城だったならばやっぱりここは隣の掛川城を紹介せねばという気になるわけである。いつだったか所属事務所が同じ演歌歌謡のシンガー袋井出身のクリスタルボイス松原健之は僕に言った。
まっつん「卓偉兄~あの城コラム、面白いじゃないですか、たまに読んでますよ~」
私「たまに、かい!」
まっつん「うん!ほんとたまに、ね!移動中とか?でも途中で寝ちゃいますけど!」
私「あなた本人に向かって正直に伝えすぎでしょ」
まっつん「だって正直が取り柄な僕なものですから」
私「あれ?そういえば、まっつん出身金沢だっけ?」
まっつん「え?総入れ歯?」
私「そういえば!だよ。総入れ歯じゃねえよ。もう金沢城は書いたんだけど、読んだ?」
まっつん「それね、みんなに言われるんですけど、僕のデビューシングルが金沢望郷歌だから金沢出身って思われるんですけど、僕は全然静岡なんです。袋井ってとこです。金沢城?当然読んでませんけど?」
私「実はほとんど読んだことないんじゃないの?」
まっつん「いやいや~そんなことないですって~!」
私「じゃあコラムで面白かった城言ってみてよ」
まっつん「え~っと大阪城!」
私「まだ書いてねえよ」
まっつん「ところで静岡のお城は書かれる気はないんですか?」
私「良い質問だねえ~まっつんの実家の近くの城って言ったら何城?」
まっつん「そんな!そんな~!実家は城じゃないですよ~!」
私「口が喋ってるっつうの、実家周辺の城の名前上げてごらんなさいよと言ってるんだよ!」
まっつん「う~ん、掛川城、ですかね~掛川城はダメですか?」
私「ダメなことないよ、あの天守はね、日本初の木造復元天守なんだから」
まっつん「てんしゅって店の主人の方ね」
私「店主じゃねえよ、天守だよ!」
まっつん「じゃあいつか掛川城コラムに書いてくださいよ」
私「書いたら読んでくれるわけ?」
まっつん「読むかもしれないじゃないですか」
私「かも、じゃなくてそういう時は読みますでいいんだよ!」
まっつん「だって自分に正直な僕ですから」
この会話をしただけで、そしてこの会話のくだりを書き起こしただけでなんなんだ?この疲労感は?
▲松原健之
気を取り直して掛川城だ。戦国時代にたくさんの城主が入れ替わり立ち替わり、だがこの城の基礎を築いたのは山内一豊だと断言出来る。山内氏はこの城に10年暮らした後に四国の高知へ行くことを命じられるが、なんと高知城はこの掛川城を元に築かれていると言っても過言ではない。天守のデザインなど、平山城の丘の高さや広さなども非常によく似ていることがわかる。一豊さんも掛川城を離れるのが辛かったと思う。ならばもう一度!だけどもう一度、それでももう一度、あの感じ、あの感じで行こうよ!あの感じの城をもう一度建てるってことでさ!となったはずである。どちらの城も行って見て比べてほしいものである。
今でこそ場内には道路が通り、城の大きさはわかりづらくなってしまっているが、掛川城は現存しているものが多いのだ。まずなんてったって二の丸御殿だろう。これは1800年代半ばに地震で壊れたのを再建しており、江戸時代後期の建築だが非常に良く出来た素敵な御殿である。ちなみに御殿の外側の土塁、これにも注目だ。スルーしてしまいがちだがいい高さに盛ってある。次は場内にはないのだが大手二の門が幕末後袋井市の油山寺に移築されている。まっつんの実家に寄るついでに見学してみてほしい。更に太鼓櫓、これも現存だ。元は三の丸にあったものを本丸に移築している。ここからは復元になるが大手門番所(かなりでかい、まっつんの心くらい)そして何より天守閣であろう。この天守は1994年に建てられた日本初の木造復元天守である。城マニアとして喜びもひとしおであった。当時私は15歳で上京したばかり。新聞屋の三畳一間、便所共同、風呂無しのボロアパートに住み込みで働いていてこのニュースの記事を読んだ時の感動と言ったらなかった。復元に10億もかけたことが大きな話題となった。きっと松原健之のポケットマネーで補ったんだろう。現存していた絵図から復元したこともあり、東西南北すべての方角のデザインがわかったわけじゃないので完全なる復元とは言い難いとの声もあるが、木造で復元しようというその心意気に城マニアとして拍手を送りたい。掛川城をきっかけに日本の城がちゃんと木造で復元しなければという空気になったんだから、素晴らしいパフォーマンスだったと評価したいのである。
せっかくなので店主、いや天守の話をたくさんしておきたい。まず何よりも忍び返しだ。超PUNKだ。これをPUNKと言わずしてどうする。超シド・ビシャス、超GBHだ。こんな針が出っ張ってたら石垣を登る気が失せる。天守の中は気持ちいいほどにウッド。ウッドの香りがたまらない。床もツルツルだ。こないだのtvkの掛川城ロケで思わず股割りをしてしまった。その滑りを利用すると気持ちいいくらいに股割りが出来る。日本人、やっぱりツルツルな廊下や畳って好きよね。
3層4階の天守の階段はこの時代にお約束のかなりの急斜である。ミニスカート厳禁である。いや、そこをあえてミニスカートでお願い出来ないものだろうか?私の周りには乳よりケツのファンの方が多い。いや、むしろ乳ファンは一人もおらずみんなケツファンだ。ありがとう!引き続きいいお尻です!天守最上階から見渡す掛川の景色も最高だ。この場所に城を建てたことが大正解な感じが伝わってくる。場内に流れる逆川を堀とし、しかもかなりの深さに掘っている。大手側には城下町を、搦手も尻窄みにはせず、東西南北、全方角に開けていることがわかる。本丸のすぐ下に三日月堀と十露盤掘りが作られてることもセンスを感じる。これは堀というより娯楽に近い感覚だったとイマジン。掘に月を映して酒盛りしたことも考えられる。見て楽しむ堀だったと言える。そして実に住みやすい城だったと言えるだろう。高知城を見学した時も、住みやすそうだなという印象を受けたので山内一豊さんは暮らしのこともしっかりと考えたセンスのある築城を目指していたのかもしれない。確かに高知城の方が良く残っている。掛川城は街の発達と発展により、その素晴らしさや面影が感じれないかもしれない、だが、元は掛川城が最初だったということを踏まえると非常に面白い。山内一豊の原点を垣間見ることが出来るのだ。
このコラムを果たして松原健之は読んでくれるのだろうか?読むかも、で終わりかもしれない。なんだかんだ言いながらクリスタルボイスなんだからしょうがない。あの声なんだからしょうがないのだ。そう思わせてしまう松原健之、袋井が生んだスターである。
やつはたまに酔っ払って電話してくる。それも私が忙しい時に限って。
まっつん「卓偉兄~!何してんですか~?また真面目に曲とか詞とか書いてんじゃないの~?」
私「そうだよ、コラムの締め切りも迫ってて間に合わなそうなんだよ、で?要件は何?」
まっつん「今ですね~カラオケに来て自分の曲歌ってんですよ~、一人で歌うとつまんないから卓偉兄にハモってもらいたくて電話したんですよね~来れます?」
私「行けるかい!ってまっつん自分の曲カラオケで歌うの?」
まっつん「ええ、要望があればいつでも、え?卓偉兄は自分の曲歌わないんですか?」
私「歌わないよ、歌ったことないし、まずカラオケ行かないし」
まっつん「出た!カラオケ行かないっていうフリするシンガー!」
私「フリなんかしてねえよ、本当に行かないんだよ」
まっつん「本当はよくカラオケ行くくせに~!でしょ?」
私「いやいやマジで行かないのよ、昔ね、カラオケ屋でバイトしててさ、カラオケ行くと仕事に行くみたいなのが嫌でさ、よっぽど行かなくなっちゃったわけ」
まっつん「え?どこにあったカラオケ屋ですか?」
私「そこ聞く?どこでもいいでしょ」
まっつん「ちなみに僕はカラオケ屋で働いたことないです」
私「それも聞いてないよ」
まっつん「あれ?働いたことあったかな~?」
私「どっちでもいいっつうの」
まっつん「でもカラオケ誘われたらどうするんですか?」
私「田中れいなちゃんとさわやか五郎ちゃんに誘われた時もあったんだけどさ、上手くごまかして切り抜けたかな」
まっつん「じゃあそれれいなちゃんと五郎ちゃんに伝えときますね~それでは~!」
私「言わなくていいんだよ!言わなくて!」
事務所で松原健之にお会いする時、「なんだ?君は?」と言うと、「なんだつみはってか?」と必ず返す彼のエンタメぶりには頭が下がる。が、一緒に居過ぎると、疲れる。
あぁ 掛川城、また訪れたい…。が、まっつんとは行きたくない…。
PS.9月16日(土)14時から小田原ダイナシティで「中島卓偉のお城へ行こう!せーの、キャッスル!キャッスル!」トークショー&ミニライヴの開催が決定しました!
出演は中島卓偉、菊谷宏樹さん(番組ディレクター)です!乞うご期待下さい!
◆【連載】中島卓偉の勝手に城マニア・チャンネル
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