苦難を乗り越えて生まれ変わったケシャが新作に込めた想い

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■「私はここ数年で本当に強く、
■自立した女性へと成長したわ」

先日リリースされた先行シングル「プレイング」は、マックルモアとのヒップホップデュオとして知られる音楽プロデューサー、ライアン・ルイスとケシャによる共作。ピアノの旋律が印象的なゴスペル調のバラードで、キャッチーなサウンドと強いメッセージ性のあるリリックを融合させるのが得意なルイスらしい楽曲だ。ケシャはこれまでにないハイトーンヴォイスを響かせており、その歌声からは、心の奥底で静かに、しかし力強く燃える、彼女の熱い情熱が感じ取れる。

「私は自分の生き方に誇りを持ってるわ/もうモンスターは全部消えた/これで一息つける」「自分の力でやり遂げられるから/あなたはいなくていい/今まで知らなかった強さを見つけたの」と、赤裸々な想いをつづったケシャ。「あなたは私に炎を突きつけて地獄を味わわせた」という相手に、「ひどいことばかりされたけど/感謝するわ/おかげで強くなれた」と伝え、「あなたがどこかで祈っていたらいいのに/心を入れ替えていたらいいのに/安らぎを見出してくれたらいいのに」と願う。


同曲のミュージックビデオは、マドンナ、レディー・ガガ、コールドプレイ、ビヨンセら数々のアーティストのミュージックビデオを手がけ、グラミー賞受賞歴を誇るジョナス・アカーランド監督の作品。カリフォルニア州の砂漠に作られた巨大なアート作品、サルベーション・マウンテンで撮影された。ビデオは広い海に浮かぶボートに横たわったケシャが「私は死んだの?」と問いかけるモノクロ映像からスタート。一転してカラフルで奇抜な世界観の中で、彼女がこれまでの怒りをぶちまけ、最後は祈りを捧げて心の平穏を取り戻すというストーリーが展開する。

ケシャは同曲に込めたメッセージについて、「誰かがあなたに嫌な思いをさせたと思ったら、その嫌悪感をなくして。なぜなら、その嫌悪感がさらなるネガティブ要素を生んでしまうから。そんな人のためにも祈りを捧げることで、心が解放されるのよ。あなたの幸せを他の人に邪魔させてはだめよ!」と語った。

彼女の複雑な心情は、アルバムの他の楽曲からも存分に感じられる。結局のところ、これは4年以上にもわたって自由に自己表現することを許されなかったアーティストが、ついにその鎖から放たれた瞬間なのだ。派手なメイクや衣装に包まれたパーティガールというイメージが強かったケシャだが、3作目となった本作ではその傷ついた心をむき出しにして、アルバムのアートワークが示唆するように、赤裸々に自身をさらけ出している。

オープニングトラックは、その名も「バスターズ」(ろくでなし、の意)。「もう泣くことに疲れた」ケシャは、アコースティックギターの心地よい音色をバックに「人間のクズたちのせいで落ち込まないで」と訴え、「自分が生きたいように生きていく」ことを誓う。


「プレイング」に続くトラック「ラーン・トゥ・レット・ゴー」も、過去数年間を振り返ったと思われる楽曲だ。しかし、こちらは軽快なリズムが気持ちいい、よりアップビートな作品で、「人生は不公平なものだから/でも本当の地獄は憤りを抱えたまま生きること」と分析し、自らに言い聞かせるように「ハッピーエンドは自分次第」と歌い上げている。


アルバムのタイトルトラック「レインボー」でもまた、ケシャは暗闇の中で過ごした過去に見切りをつけ、前を向いて歩み、未来を虹色に彩ることを誓っている。穏やかな美しいピアノの伴奏でスタートするこの楽曲は、ベン・フォールズがプロデューサーを務めた。

また、ナッシュビルで音楽活動をスタートしたルーツに立ち返るかのように、本作ではカントリーやファンクのフレーバーが随所に感じられる。「オールド・フレイムズ(キャント・ホールド・ア・キャンドル・トゥ・ユー)」はカントリーシーンの大スター、ドリー・パートンのヒット曲だが、実はケシャの母親ペベ・セバートが共同ライターを務めた作品だ。ケシャは過去にもこの曲をアコースティックでカバーしており、今回は他の誰でもないパートンとのデュエットを実現した。


ケシャが歌うことを再び心から楽しんでいる様子が聴いて取れる「ウーマン」では、シャロン・ジョーンズはもちろん、故エイミー・ワインハウスとの共演でも知られるザ・ダップ・キングス・ホーンが、最高にファンキーなサウンドを提供している。トランプ大統領の女性を侮辱する発言を聞いて書いたといい、女性の自立や強さを歌ったパワフルなアンセムが完成した。

ニューアルバムを発表するに至るまでの長い月日を振り返ったケシャは、「私はここ数年で本当に強く、自立した女性へと成長したわ。アップダウンのあった長い旅路を終えて今思うのは、人々に聴かせられる“声”を持っていることは、なんてラッキーなことなのだ、と。だから、ちゃんと真実と良いことのために、このチャンスを使わないと!と思ったのよ」とコメント。「このアルバムは私自身なの。私のことを今日まで待っていてくれて、本当にありがとう」とファンにメッセージを送っている。

アルバム『レインボー』は8月16日にリリースされた(全米リリースは8月11日)。苦難を乗り越えて生まれ変わったケシャは、発売直後の8月19日、20日に関東・関西で同時開催されるサマーソニック2017と名古屋での単独公演のため、2013年以来となる通算5回目の来日を果たし、日本のファンに真新しい、本当の歌声を聴かせてくれる。

文:Thumper Jonse

KESHA『レインボー』

8月16日(水)リリース
(輸入盤:8月11日発売)
SICP-5573 2,200円+税
日本盤ボーナス・トラック1曲、計15曲入り、初回仕様限定ステッカー封入

【収録曲】
01. バスターズ
02. レット・エム・トークfeat.イーグルス・オブ・デス・メタル
03. ウーマンfeat.ザ・ダップ・キングス・ホーンズ
04. ヒム
05. プレイング *リード・シングル
06. ラーン・トゥ・レット・ゴー
07. ファインディング・ユー
08. レインボー
09. ハント・ユー・ダウン
10. ブギー・フィート feat.イーグルス・オブ・デス・メタル
11. ブーツ
12. オールド・フレイムズ(キャント・ホールド・ア・キャンドル・トゥ・ユー)feat.ドリー・パートン
13. ゴジラ
14. スペースシップ
15. エモーショナル *日本盤ボーナス・トラック

KESHA 来日情報

■サマーソニック2017
日程(ケシャ出演日):
・大阪: 2017年8月19日(土) 舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
・東京: 2017年8月20日(日) ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
http://www.summersonic.com/2017/

■単独公演
日程:2017年8月21日(月)名古屋DIAMOND HALL
OPEN 18:00/START 19:00
http://www.cmp-members.com/tickets/kesha2017aug/

◆KESHA オフィシャルサイト
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