【インタビュー】プレイング・マンティス「お墓に埋められるまでロックし続ける」
1970年代末のNWOBHM(New Wave of British Heavy Metal)ムーブメントのバンドのひとつとして登場したプレイング・マンティスは、1981年のデビューアルバムからロドニー・マシューズの美しく秀逸なアートワークと叙情的なサウンドで長年愛されているイギリスの老舗バンドだ。
◆プレイング・マンティス画像
ティノ・トロイ(G)とクリス・トロイ(B)の兄弟を中心に幾多のメンバーチェンジが行われるものの、サウンドがブレた事は一度もなく、ツインリードのメロディアスな楽曲と美しいコーラスを特徴とし、2015年には通算9枚目となるスタジオアルバム『Legacy』が発売となった。
7月1日に豊洲PITで行われた今回の来日公演は、元アイアン・メイデンのデニス・ストラットン率いるライオンハートとのカップリング公演で、まずライオンハートのステージが行われインターバルを挟んでのプレイング・マンティスの登場となった。序盤からティノ・トロイ(G)がワイヤレスのトラブルにより思うようなパフォーマンスではなかったものの、「Panic in the Streets」でのツインリードのハモリは健在であり、これまでの線が細いシンガーたちとは違うタイプであるジェイシー(Vo)の歌声は初期曲をパワフルに蘇らせる。各所でハンズアップを促すMCやジェイシーの「Turn!」に続く観客の「The Tables!」で始まる「Turn the Tables」など会場を上手くリードし、オーディエンスと一体感を生み出していく。
クリス・トロイ(B)とハンス(Dr)のリズム隊も安定しており、アンディ・バーゲス(G)も存在感のあるプレイでティノとのツインを確実にこなしている。アンコールでは、サプライズゲストとしてライオンハートからスティーヴ・マン(G、Key)とデニス・ストラットン(G)がステージにジョインし「A Cry for the New World」が披露された。スティーヴのキーボードがやや不調だったものの、アイアン・メイデンのカバーも2曲披露され、NWOBHMのメンバーが集う贅沢の極みな一場面となった。
大阪公演を終え東京公演を控えるティノとジェイシーにインタビューを敢行した。
──日本はいかがですか?
ティノ:今のところ順調だよ。大阪は2012年以来かな?ずいぶん久しぶりだったから嬉しかったよ。
──今回新作リリースはありませんが、近況を教えて下さい。
ティノ:ツアーをしていたよ。ドイツ、スペイン、イギリスとかヨーロッパを周っていたのと並行して次のアルバムに向けての曲作りも始めている。一応、予定としては来年の4月頃には出したいと思っているんだ。アルバムが出たらまたこうして日本に戻ってきたいね。
ジェイシー:イギリスで2週間、Y&Tのサポートをしたのがとても良い経験だった。みんなナイスガイだし。
──ライオンハートとのジョイント公演、昨夜の大阪はいかがでしたか?
ティノ:良かったんだけど、最後のセッションでデニス・ストラットンが僕らと共演する場面でね、プレイング・マンティスの「A Cry For The New World」とアイアン・メイデンのカバー「Phantom Of The Opera」と「Running Free」を演ったんだけど。「Phantom Of The Opera」はかなりボロボロだったよ(笑)なにせ30年ぶりに演ったし、デニスがミスったのを謝ってた(笑)かなりユルい部分もあったけど、真面目に演ったというよりはみんなでセッションを騒いだ感じさ。それはそれで楽しかったよ。
──デニス参加のプレイング・マンティスではなくアイアン・メイデンの曲を選んだ理由は?
ティノ:ある意味サプライズだったんだけど、もともと「Live at Last」でプレイング・マンティスとポール・ディアノとデニス・ストラットンでアイアン・メイデンの曲をたくさんプレイしていてね、それと同じような事をプロモーターはしたかったらしいんだ。だけど今、ポール・ディアノは体調が良くないから無理だし、僕らとしてもあくまでもプレイング・マンティスの公演だから1~2曲アイアン・メイデンを演るのはいいけど何曲もはね。それでこの話は断ったんだ、でもデニスが居る事だし少しは演ろうという事になったわけ。
──大阪公演は1stアルバムからの選曲が多かったですね。
ティノ:今思えば、前回の最新アルバム『Legacy』ツアーは東京のみだったから、大阪のファンは新しい曲が聴けていないんだね?もっと新しい曲も演っておけば良かったな。時間も限られているし、セッションの時間もあるからあの内容になったんだけど、今夜の東京は若干変更するよ。
──正直、ジェイシーが今回も居てくれて安心しました、バンド内は順調ですか?
ジェイシー:もちろんだよ。
ティノ:愛し合っているからね(笑)。
──プレイング・マンティスは来日公演の度にシンガーが変わっていたので。
ジェイシー:俺くらいしかこの彼らに付き合えるヤツはいないよ(笑)。
ティノ:ジェイシーはプレイング・マンティスの音楽も好きだしメンバーの事も大好きだしね。それに曲作りにも関わっている点がこれまでのシンガーとは違うところなんだ。バンドの曲作りに関わると立場がかなり変わってくるからね、ジェイシーはずっとこのバンドにいると思うよ。
──日本はNWOBHMの人気は根強くありますが、本国のシーンはいかがですか?
ティノ:イギリスでは今もそこそこ人気はあるけど、ヨーロッパ本土の方がもっと全体的に熱心なファンがいるかな。イギリスはコアなファンはいるけれど少ないよ。プロモーターに、あなたたちのファンは年配が多いから座席を用意したと言われたけどね(笑)。でも息子や娘世代のファンの為にスタンディングスペースもあるから、踊ろうと思えば踊れる(笑)。お墓に埋められるまでロックし続けるよ。
──今後の予定は、ニューアルバムのリリースですか?
ジェイシー:ティノがニューアルバムは2018年4月と言っていたけど、もう少しあとになるんじゃないかな(笑)?
ティノ:新曲作りに専念するけど、これまでよりもバンドメンバー全員が貢献していて凄く良い感じだよ。アメリカも僕らに興味を持ち始めてくれたから、3~4週間のアメリカツアーに出れるといいなと思っている。アメリカ進出の話はこれまでもあったけど、僕ら決して若いバンドではないから、限られた予算の中でやりくりしなくてはいけない。実現に向けて頑張るよ。
──日本のファンへメッセージを。
ティノ:俺たちはこういうメッセージ、ずっとやってきたけどジェイシーは慣れてないでしょ?やってみなよ(笑)
ジェイシー:日本はロックスターの気分にさせてくれて素晴らしいよ。全くの別世界だ。みんなから聞いていたけど、実際に自分が体験してみて本当にそうだった。本当にありがたい。お返しに自分たちはベストを尽くすよ。
取材・文 Sweeet Rock / Aki
編集:BARKS編集部
写真 Yuki Kuroyanagi
<Praying Mantis ~ Special Live in Japan 2017 ~>
@豊洲PIT
1.Captured City
2.Panic in the Streets
3.Praying Mantis
4.Time Slipping Away
5.Fight For Your Honour
6.Dream On
7.Lovers to the Grave
8.Cheated
9.Turn the Table
10.Flirting with Suicide
11.Children of the Earth
~ Encore ~ 【with Dennis Stratton】
12.A Cry for the New World
13.Phantom of the Opera(IRON MAIDEN Cover)
14.Running Free(IRON MAIDEN Cover)