秦 基博、10年間の「全てを出し切った」横浜スタジアム公演をWOWOWで
秦 基博が5月に神奈川・横浜スタジアムで開催したデビュー10周年記念のワンマンライブ<HATA MOTOHIRO 10th Anniversary LIVE AT YOKOHAMA STADIUM>の模様が、6月25日(日)にWOWOWライブにて放送される。
◆秦 基博 画像
2016年11月にデビュー満10周年を迎え、同月全国6都市7公演を回る初のアリーナツアーを敢行した秦 基博。そのフィナーレを飾った自身初のスタジアムワンマンライブ<LIVE AT YOKOHAMA STADIUM>では、この日限りの演出も多数交えながら、バンドスタイルとアコースティックスタイルによる2部構成で濃密なステージが展開された。放送を前に、秦 基博が同公演について語ったオフィシャルインタビューをお届けする。
◆ ◆ ◆
──10周年の記念ライブの会場に“横浜スタジアム”を選んだ理由は何ですか?
秦 基博(以下、秦):横浜は僕が育った街ですし、横浜スタジアムも子供の頃から何度も訪れている身近な場所でした。特定の会場で「いつかここでライブをしてみたい」ということはあまり考えない方なんですが、横浜スタジアムだけはデビューして数年経った頃から「いつかここで」と思っていた場所だったんです。なので、初めてのスタジアムでワンマンライブができたことももちろんうれしいんですが、それ以上に横浜スタジアムでライブができたことの方がうれしかったですね。願いが叶ったという意味でも。
──第一部はバンドスタイル、第二部はアコースティックスタイルという2部構成。すごく中身の濃いライブでしたが、テーマやコンセプトを教えてください。
秦:自分が10年間で作り上げてきたライブのスタイルを全部凝縮したものをこの横浜スタジアム公演でやりたいと思ったのが始まりでした。バンドのアンサンブルの中で聴いてもらいたい音楽もありますし、一方で<GREEN MIND>という弾き語りでアコースティックサウンドを追究することもやってきました。
──<GREEN MIND>も2008年から始まったので、もうすっかりファンにはお馴染みのスタイルのライブになってますね。
秦:はい。2008年の神奈川県民ホールから始まりました。やっていない年もありますけど、弾き語りは原点でもありますから、これからも続けていきたいと思ってます。なので、バンドスタイルとアコースティックスタイルの両方をじっくりと堪能してもらうためには2部構成がふさわしいんじゃないかと思ったんです。ライブの時間は長くなってしまいますが、自分としてはやっぱりどちらのスタイルも見てもらいたかったですから。セットリストは、演奏する曲をある程度決めたところで「この曲はバンドでやりたいな」とか「これは弾き語りでやるべきかな」とか考えて第一部と第二部に振り分けていきました。
──まず、第一部の<All Stars Pieces>ですが、あらきゆうこ(Dr)、鈴木正人(B)、弓木英梨乃(G)、皆川真人(Key)という昨年からツアーを共にしてきたメンバーとのライブでした。
秦:はい。リハーサルの時からみんなで同じ方向を見て進めることが出来たので安心感がありましたね。このメンバーで演奏したことのない曲もあったんですが、どうアレンジしていくかをみんなで話し合ったり、全体の流れが決まった後でも他に何が必要かを考えたりしながら、何度も何度も繰り返しリハーサルを行いました。演奏したことのある曲でも、例えば「キミ、メグル、ボク」のブレイク部分とか、今回のためのアレンジにして、新鮮さも出せたらいいなと思って。
──ウグイス嬢の紹介アナウンスで、しかも野球のユニフォームを着て登場というのも横浜スタジアムらしい演出でしたね。
秦:はい(笑)。紹介されて出てくるって、普段のライブではないことですから楽しかったです。ユニフォームを着るというのもその日だけの特別感がありましたし、いつもと違うライブが始まるんだなっていう気持ちになりました。お客さんもそういう雰囲気を感じてもらえたんじゃないかなって思います。
──1曲目は「今日もきっと」でした。ライブでのオープニング曲はかなり重要だと思いますが。
秦:スタジアムでできる演出とかも含めて、いろいろ考えて調整していたので、この曲を1曲目にすると決めたのは結構終盤でした。
──長い期間準備してきたスタジアムライブ。ステージから見た光景も印象深いものだったと思いますが、ついに始まったという実感は1曲目からありましたか?
秦:前日にリハーサルをして、なんとなくわかってたつもりだったんですけど、実際にお客さんが入った様子をステージから見たら「すごい景色だな」って。慣れるのに最初の1、2曲はかかりましたね(笑)。年明けからこのライブに向けてやってきたので、その日が来たというのがちょっと不思議な気持ちというか、現実感がないという感じでした。
──序盤で「キミ、メグル、ボク」や「Girl」などを演奏した後、中盤では皆川さんと弓木さんと「プール」を、鈴木さんとあらきさんと「青」を、というふうに曲ごとに組み合わせを変えてのコーナーがありました。
秦:はい、序盤はバンド全員で鳴らして、中盤ではちょっと変化をつけてみました。「青」は2007年に(鈴木)正人さんのサウンドプロデュースで、ウッドベースとパーカッションとアコギという編成でレコーディングした曲なんですが、ライブでそのオリジナルの編成で演奏したことはなかったんです。『FOR REAL』(横浜DeNAベイスターズ2016シーズン公式ドキュメンタリー『FOR REAL -ベイスターズ、クライマックスへの真実。-』)の主題歌にも選んでいただいた曲ですし、ここで演奏できて良かったです。
──そして後半、ウグイス嬢のアナウンスで“All The Pieces Strings”(佐藤帆乃佳ストリングス)が登場しました。
秦:僕の曲には元々のアレンジに弦が入ってる曲がたくさんあるので、野外ライブということもありますしダイナミクスの中で弦の音を入れたいなと思いました。昨年のアリーナツアーも一緒にやったチームですし、ダブカル(ダブルカルテット)の音が加わることで音に厚みと広がりも生まれましたね。
──終盤に差し掛かった頃、「スミレ」ではベイスターズのマスコットが登場して、秦さんはリリーフカーでグラウンドを一周されましたね。
秦:キャラクターが登場するのも横浜スタジアムらしい演出ですし、リリーフカーもめったに乗る機会なんてないですからすごく楽しかったです(笑)。時速何キロで走ったらいいのかとか、バンドでどれぐらいの時間繋ぐ必要があるのかとか全然わからなくて、前日のリハで実際にやってみてようやくつかめた感じでした。
──「言ノ葉」「水無月」の2曲で第一部を締めくくりました。
秦:どちらも元々はストリングスが入ってない曲なんですが、この日のために皆川さんにストリングスアレンジをしていただきました。最後はみんなで歌いたいという気持ちがあったので『水無月』で終わるというのは結構早めに決まっていました。
──第二部の<GREEN MIND>は「アイ」から始まりましたが、この曲から始めた理由は何ですか?
秦:第一部と第二部の間に休憩を挟みましたが、<GREEN MIND>の世界に一気に入ってもらうためにはどの曲がふさわしいのかを考えたら、やっぱり「アイ」がいいんじゃないかと思ったんです。すごくアコギの響きが生きてる楽曲ですし、曲としての大きさもありますし。普段のライブであれば終盤に演奏することが多い曲ですが、1曲目にすることで<GREEN MIND>が始まるっていう気持ちになってもらえるのかなと思って選びました。
──2曲目の「シンクロ」はボサノバヴァージョンで。
秦:はい。弾き語りとは言え、いろんなリズムがある方が飽きずに聴いてもらえると思いましたし、アコギの弾き語りという中でもいろんなアプローチがあることを聴いて知ってもらいたいなって。きっとそれは<GREEN MIND>というものをずっとやってきた中で自分が得てきたものだと思うんです。なので、そういうものを全部出したいと思って、リズムなどに変化を持たせたりしました。
──アコースティックサウンド、アコギの弾き語りが軸になっていますが、ループマシンを使ったり、中盤で再びストリングス隊が登場するなど、バリエーション豊かな構成だと感じました。
秦:はい。これまでもループマシンを使ってきていましたが、このライブに向けて新しいループマシンを導入して、できることも増えました。そして第二部にも再び“All The Pieces Strings”に登場してもらって。「Dear Mr. Tomorrow」では弦の美しい部分を聴いてもらいたかったし、それだけじゃなく弦の持つスピード感やエッジな部分も感じてもらいたいと思って「グッバイ・アイザック」でも演奏してもらいました。
──ストリングス隊が加わったあたりから、ステージ後方、外野席スタンドを利用したプロジェクションマッピングの演出もありましたが、日が暮れた後の第二部だからできる演出でしたね。
秦:はい。演出的なダイナミクスを持たせるためにステージはなるべくシンプルな造りにしました。昼間(第一部)との違いや、どのタイミングでプロジェクションマッピングを見せるかというのも含めて、スタッフや映像監督の島田大介さんたちと一緒に作っていきました。
──「Q & A」や「朝が来る前に」など、後半はシングル曲も多く、エンディングに向けてさらに盛り上がっていきました。「ひまわりの約束」ではみんなで大合唱になりましたし。
秦:MCでも言ったんですが、たくさんの人に聴いてもらっただけじゃなく、たくさんの人に歌ってもらえた曲でもありました。一人でアコギ1本で歌っていく中で弦が加わったり、映像の演出が入ったりして、そこにさらに加わるものがあるとしたら、それはみんなの声なんじゃないかなって。演出ではないんですけど、一人で歌って作っていく中で観にきてくれた方の声が重なる瞬間というのも作りたいなという思いがあって、その瞬間はやっぱり「ひまわりの約束」かなって思いました。
──第二部のラストは「鱗(うろこ)」でした。デビューの頃からずっと歌ってきた曲でもありますし、最後はやはりこの曲で締めたいという気持ちでしたか?
秦:そうですね。「ひまわりの約束」がたくさん歌ってもらえた曲だとしたら、「鱗(うろこ)」はこの10年間で自分が一番多く歌ってきた曲なので、自然とこの曲で終わるという気持ちがありました。一つの曲を作って、歌い続けていくことで起こるいろんな変化を一番味わうことができたのが「鱗(うろこ)」でしたから。
──アンコールは「月に向かって打て」と「70億のピース」の2曲。
秦:野球少年だった自分にとって横浜スタジアムは特別な場所ですから、「月に向かって打て」はぜひ歌いたいと思ってました。これは自分のわがままというか、自分が歌いたかったから歌った曲です(笑)。「70億のピース」は10周年を踏まえて作った曲なので、最後はこの曲と決めてました。
──お客さん全員がスマホのライトをかざし、スタジアム全体が光に包まれるという壮大な演出が感動的でした。
秦:すごかったですね。あれは、リハーサルをやった時も想像できなかったですし、忘れられない光景です。
──2部構成の10周年記念ライブを終えてしばらく経ちましたが、今振り返ってみて、どんなライブでしたか?
秦:自分が10年間、音楽に向き合ってきた中で生まれてきた表現が、横浜スタジアムの中に、演奏した曲たちに込められたという想いはありますね。全てを出し切ったというか、やり切った感というか。もちろん、もっと上手くできたんじゃないかという部分もあったと思うんですが、あの日のあの風の中で、あの横浜の景色の中でやれることは全部やりました。お客さんを目の前にして、自分が準備してきた音楽が鳴って、お客さんがいて、また回帰していく。そんなことを実感しています。
──6月25日にWOWOWで放送があります。どんなふうに楽しんでもらいたいですか?
秦:すごい数のカメラがあって、空も飛んでました(笑)。僕の足元のループマシンのところにもカメラがあったので、客席からは見えないところも見られる可能性がありますね。横浜スタジアムのいろんなアングルからの視点がいろんなことを気づかせてくれて、新しい発見がたくさんあると思います。それに何より、この日限りの空気感みたいなものやライブ感は放送でもしっかりと感じてもらえると思うので、「5月4日はこういう日だったんだ」っていうのを番組を通して感じてもらいたいです。聴きにきてくれた人も、来られなかった人も、特別な雰囲気を楽しんでください。
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『秦 基博 10th Anniversary LIVE AT 横浜スタジアム』は、WOWOWライブにて6月25日(日)19:30より放送。同日、2016年11月に開催された大阪・大阪城ホールの模様を収めた『秦 基博 10th Anniversary アリーナツアー “All The Pieces”』のリピート放送も決定している。
■番組情報
2017年6月25日(日)夜7:30 [WOWOWライブ]
収録日:2017年5月4日
収録場所:神奈川・横浜スタジアム
[関連番組]
『秦 基博 10th Anniversary アリーナツアー “All The Pieces”』
2017年6月25日(日)午後5:30 [WOWOWライブ]
収録日:2016年11月5日
収録場所:大阪・大阪城ホール
※リピート放送
番組特設サイト: http://www.wowow.co.jp/music/hata/
※番組サイトにてプロモーション動画公開中
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