【インタビュー】ミス・メイ・アイ、6作目にして正直で誠実なメタルコア

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米国オハイオ出身の新世代メタルコア・バンド、ミス・メイ・アイの最新作がリリースされた。メタル、メタルコアに少しでも興味があれば聴くべきクオリティの高さを誇る内容となっている。

◆ミス・メイ・アイ画像

バンドは高校時代に結成され、10代で名門レーベルRISE RECORDSと契約し、2009年に『Apologies Are for the Weak』でデビューして以降、ハイレベルなメタルコア・アルバムを量産、今作『Shadows Inside』は6枚目となる。初期の落差の激しいブレイクダウンを用いつつ、猪突猛進型のスタイルから徐々にサウンドを成熟させてきたバンドが放つ今作は、意外にも“失恋”“別離”が大きなテーマだ。バンドを古くから応援するファンに驚きをもって迎えられること間違いなしの作品についてフロントマンのリーヴァイに聞いた。



――過去の作品よりも時間をかけたそうですが、制作期間はどれくらいかかったんですか?

リーヴァイ:レコーディング期間は、2016年6月くらいから半年間くらいだと思う。スタジオに入ってデモを20~30曲くらい作って、そこから厳選してアルバムにしていったんだ。ただ、バンドのギタリストのジャスティンとBJは常に曲を書き貯めるタイプで、新作が完成した今も曲を書いているんじゃないかな(笑)。

――レコーディングはどのように行ったんですか?

リーヴァイ:今回の作品はWZRD BLD(ウィザード・ブラッド)とNick Sampsonの2人のプロデューサーが関わっている。ボーカル・パートはロサンゼルスにあるWZRD BLDのスタジオで、演奏パートはミシガンでNickとそれぞれ別の場所でレコーディングしたんだ。他のメンバーがいない中で作業を進めるのは不思議な気分だったよ。

――ロサンゼルスとミシガンでは顔を合わせるのが難しい距離ですね。


リーヴァイ:うん、そうなんだ。距離が離れているからメンバー同士が会うことがなかなかできなかった。でも、メールで密に連絡を取り合って、データのやりとりをした。その結果、『Shadows Inside』は最も時間がかかった作品になったんだ。レコーディングだけで半年かかっているからね。

――ウィザード・ブラッドといえば、Motionless In WhiteやCrown the Empireの作品を手がけていますね。最近だと、EMMUREの作品もプロデュースしています。EMMUREのフランキーは彼を高く評価していて「これまでボーカルに関して、プロデューサーからアイデアをもらうことはなかったんだけど、ドリューから提案されたアイデアはありがたく頂戴したよ」と語っていました。

リーヴァイ:同感だね。彼はとても素晴らしいプロデューサーだと思う。今作ではボーカル・パートのプロデュースに関わってもらったんだけど、彼は柔軟で新しいことに挑戦させてくれたよ。彼を推薦してくれたのは、レーベルのアイデアでもあったんだ。バンドも何か新しいことがしたいと思っていたところだった。『Shadows Inside』は、過去の作品よりスケールが大きくて、より良い作品にしたかった。その結果、2人のプロデューサーを起用しようってことになったんだ。

――レーベルといえば、RISE RECORDSからSharpTone Recordsに移籍しましたね。

リーヴァイ:移籍するにあたって何か問題があったわけじゃない。新鮮な環境に身を移すタイミングが来ただけさ。RISE RECORDSは、バンドのことを思いやってくれる素晴らしいレーベルだったから大きな決断だった。

――SharpTone Recordsは、欧州最大のメタル・レーベルのひとつであるNuclear BlastのCEO、Markus StaigerとSumerian Recordsの元副社長のShawn Keithが設立したレーベルということで話題ですね。

リーヴァイ:SharpTone Recordsと契約したのは、これまでよりもワールドワイドな活動をしたいと思ったからなんだ。俺たちはアメリカ国内だけじゃなく世界中でツアーをしたいし、プロモーションもしていきたい。SharpTone Recordsとなら、それが実現できると思ったから移籍したのさ。

――今作の歌詞はウィザード・ブラッドと一緒に書いたそうですが、テーマは決まっていたんですか?

リーヴァイ:そうだね、“変化”することの大切さを歌詞にすることが多かった。あと、個人的な出来事も歌詞にするね。今回のアルバムには失恋をテーマにした曲も収められているんだ。

――メンバーの失恋ですか?

リーヴァイ:ベース/ボーカルのライアンが7年連れ添った彼女と別れたんだ。その経験を歌詞にしたものが「Crawl」だね。他にも「Death Knows My Name」も彼の失恋がテーマになっている。今作ではかつてないくらいに正直な想いを曲にすることができたよ。

――これまでリリースしてきたアルバムを一言で表現してもらえますか?


リーヴァイ:デビュー作『Apologies Are for the Weak』(2009年)は、“EASY”だね。最初のアルバムは、それまでの自分の人生の全てを表に出すってだけのことだからね。難しいことはなかった。一般的にもデビュー・アルバムがバンドを象徴するような作品になりやすいのは、そういう理由からだと思うな。2作目の『Monument』(2010年)は、そうだな…“LEARNING”だと思う。バンドとして活動していくこと、曲の書き方までいろんなことを学べたのが2作目なんだ。自分たちにとって『Monument』は、とても大きな存在だ。『At Heart』(2012年)は“STOKED”もしくは“EXCITING”だね。これまでバンドがとてもうまくいっていたし、高揚した気持ちで臨むことができた。『Rise of the Lion』(2014年)は“EXPERIMENT”だな。実験的な要素を含んでいる。これまでやってきたことと違うことにトライして、違う音のアルバムを作ろうと思った。恐怖心もあったけどね。『Deathless』(2015年)はシンプルに“HEAVY”。ファンが驚いて喜んでくれるようなとにかくヘヴィな作品にしたかった。ファンが望む作品を作りたかったんだ。そして今作の『Shadows Inside』(2017年)は“HONEST”かな。俺たちはメタルコア・バンドだからこういうサウンドにするべきじゃない、という気持ちを捨てることができた。とにかくベストを尽くせた作品になった。

――最近のメタルコア・シーンを見渡してどう感じますか?

リーヴァイ:うーん、そうだな。ラジオを強く意識しているバンド多い気がする。素晴らしいバンドなのに、ラジオを意識し過ぎて大切なものを失っていることを目にするととても悲しいよ。ラジオを意識して大金を掴めるかといっても、実際はそうはならないのにね。でも、それを強く非難することはできない。俺たちだって過去にそういうことを目指したことがあるからね。『Rise of the Lion』の制作に入る頃、マネージメントに言われたこともあってラジオでかかるような曲を書こうと意識したんだ。でも、バンドのムードがとても悪くなってしまったし、俺たちは“Radio Band”じゃなくて、あくまで“METAL BAND”なんだって気付いた。結果的に、そんなことしたってハッピーな気分になれないって悟ったんだ。だから『Rise of the Lion』は、これまでの自分たちがしてこなかったことをやろうっていう気持ちに切り替えられた。

――日本のファンにメッセージをお願いします。

リーヴァイ:今作を聴いて、俺たちの来日を待っていて欲しいな。世界規模で活動できるレーベルと契約したから日本に行くことも考えているんだ。準備しておいてくれよ。

取材・文:澤田修


ミス・メイ・アイ『シャドウズ・インサイド』

【50セット通販限定 CD+Tシャツ+メンバー全員直筆サイン入り】 ¥6,000+税
【CD】 ¥2,300+税
※日本語解説書封入/歌詞対訳付き
1.シャドウズ・インサイド
2.アンダー・ファイア
3.ネヴァー・レット・ミー・ステイ
4.マイ・デストラクション
5.カジュアリティーズ
6.クロール
7.スワロー・ユア・ティース
8.デス・ノウズ・マイ・ネーム
9.ロスト・イン・ザ・グレイ
10.マイ・ソロー

【メンバー】
リーヴァイ・ベントン(ボーカル)
ジャスティン・オフデムケンプ(ギター)
BJ・ステッド(ギター)
ライアン・ネフ(ベース/ボーカル)
ジェロド・ボイド(ドラムス)

◆ミス・メイ・アイ『シャドウズ・インサイド』オフィシャルページ
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