【対談】千聖 × IKUO、20年を経て繋がる2人のミュージシャン
■千聖さんは生き方もプレーヤーとしても憧れの存在ですよね(IKUO)
──IKUOさんは千聖さんにどんな印象を持っていたんですか?
IKUO:デビューした当時、PENICILLINはインディーズ界の大物と言われていて、僕らはレコード会社から拾われたバンドだったんですよ。結局、Ex-ITは成功できなくて、そこから紆余曲折あって自分はサポートとか作家の仕事を始めたんです。千聖さんはその間、PENICILLINという太い柱がありつつ、ソロでも活動して、僕から見ると生粋のロックスター的な人。いまだに僕がRayflowerやBULL ZEICHEN 88というバンドをやっているのはサポートも好きなんですけど、ロックスターにコンプレックスがあるからなんです。千聖さんは生き方もプレーヤーとしても憧れの存在ですよね。
千聖:いや、いや。
IKUO:バンドは自分から発信していくものだけど、サポートは認められないと依頼が来ない。T.M.Revolutionのサポートをやらせていただいているのも西川貴教から求められるからであって、そこはすごく嬉しいし、安心感があるんです。だから、今回、千聖さんが僕を呼んでくれて「俺って千聖さんに気に入られているのかな?」って。
千聖:だって、IKUOさんはリズムのテンポがスローな、いわゆる間のあるベースもすごい上手いと思いますが、マシンガンみたいな超高速プレイも本当半端ないすごいじゃないですか。
IKUO:(笑)今回、参加させていただいた曲「666 〜XX ver.〜」は特にそうかもしれないですね。
千聖:もうプレイが世界トップクラスなんですよ。
IKUO:とんでもないです。
──高速スラップが炸裂してますからね。
千聖:レコーディングなんですがIKUOさんがベース弾くってなったら、ギャラリーが増えたんですよ(笑)。SHIGEさん(Crack6)もドラムのLEVINちゃんもいたし、同じベーシストのTENちゃん(長野典二/Crack6)とか目を皿のようにして見てましたから(笑)。僕も当然スタジオにいるし、みんなが見ている中、弾くのって裸を見られているようなものですからね。
──レコーディングってライヴとは全く違いますからね。
千聖:全然、違います。細かいところまで聴くし、「666」はリズムが難しい曲なので「今ちょっとよれたな」とか「乱れたな」とか、すぐわかるんですけど、IKUOさん全く乱れないんですよ。やっぱり、すげーなって。
IKUO:いや、いや、緊張しましたもん。
千聖:20周年記念のベスト盤で再録で僕も思い入れが強いので、どう彩ってくれるんだろうと思ってたんです。歌モノではないから、曲がベースのノリで変わっちゃうんですよ。生かすも殺すもベース次第だなと思っていたので、IKUOさんで本当大正解。
IKUO:(安堵)よかったぁ!
千聖:バリバリ弾いて「こんな感じでいいですか?」って涼しげに言われて。いろんな戦いを挑んできた、漢(ヲトコ)のベースがね(笑)。
IKUO:はははは。漢(ヲトコ)のベースですか。
千聖:しのぎを削ってきた人間じゃないと出せない雰囲気があるんですよ。ライヴとスタジオワークのせめぎ合いをしてきた人ならではのね。これは機械で何とかできるような演奏ではないんです。もしかしたら、実力の3分の1も出してないのかもしれないけど。
IKUO:(笑)いや、いや。けっこう大変でしたよ。速いし。
千聖:ブルルル〜ッって(笑)。本当にすごいプレイだった。人間って鍛えればこんなことができるのか? って。オリンピック選手が「こんなに高く跳べるのか? こんなタイム出せるのか?」って思うのと同じですね。それがただのスピード競争じゃなくて芸術点も高いっていう。今現在、プロからアマチュアまで“IKUOチルドレン”がいっぱい居ると思うんですが、彼らにもぜひ聴いてほしいですね。
──アルバムの中でもかなりロックな曲ですからね。
千聖:そうなんですよ。こういう肉食のようなベースを弾く人ってだいたい中身もそういう人が多いイメージなんですけど(笑)、IKUOさんはお話しすると非常に穏やかでね。こういうタイプは男女問わずモテますよ(笑)。
──(笑)千聖さんからのお墨付きが出ました。
IKUO:(照笑)
千聖:BARKSのインタビューで関係ない話してますけど、俺が女だったら、確実についていきます(笑)。
IKUO:ははは。いや、いや。
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