【インタビュー】JAY'ED「僕がここに立っていられるのは今まで色んな仲間に支えられてきたから。明日に向かって今日ここに立っている」

■新しいものだけを追いかけるアーティストにはなりたくなくて
■普遍的なものの素晴らしさを若い世代にも伝えていけるアーティストになりたい

──代表曲「ずっと一緒」のセルフカバーも収録されていますね。

JAY'ED：デビューしてからずっと歌っている、自分にとっては代表曲の1つだと思っている曲なので、この曲を僕のことを知らない新たなファンの方たちに聴いてもらうことができたらいいなと思っています。アレンジに関しては、当時よりも大人になっていますし感覚も違うと思うので、あまり計算せずに今の自分だったらこう作るかなっていうものにしました。ただ、ビックリするくらいその当時の自分と比べると声がおじさんになったなと（笑）。

──そんなことはないと思いますが（笑）。ぐっとアダルトになった感じですね。キャリアを重ねて、ご自分の中の変化が歌に反映されていることってありますか？

JAY'ED：変わって良いと思う部分と、ここは新しく追求しなきゃな、という部分がありますね。例えば、HIPHOPとかクラブ・ミュージックっぽい音楽は、2、3年前のことをやっていたらヤバいのかなって。やっぱりある程度はアンテナを張って、理解しながらやっていった方が良いなと思っています。その代わり、新しいものだけを追いかけるアーティストにはなりたくなくて。しっかりと普遍的なものとか、年を取って行くからこその素晴らしさを若い世代にも伝えていけるアーティストになりたいなと思っています。


──音楽以外のことでも、世の中で起こっていることから影響されることもあるのでしょうか。

JAY'ED：昔よりもすごくニュースとか気になりますし、もちろん大人なので自分の意見もありますし、言うべきなのか言わないべきなのかっていうことも考えます。例えば僕みたいなハーフだからこそ、またちょっと違った視点で見えることもあると思いますし、歌詞に活かした方が良いのかなって考えることもありますけどね。みんなに共感してもらうことも大事だと思うんですけど、共感だけじゃなくて、自分が見えているちょっと違う世界を伝えることも大事なんじゃないのかっていう、違った感覚も最近はあります。“みんながわかること”だけが大事じゃないというか。

──なるほど、とても興味深いです。歌詞だけじゃなくて、トラック作り等の面でもそういうことはありますか？

JAY'ED：もしかしたら、トラックの方がそういう思いがずっとあったかもしれないです。そういうものを合わせた歌詞での世界観というのをこれから勉強したい気もします。まだまだチャレンジできることはあると思うので。

──今回のアルバムでいうと、チャレンジしてみたことを挙げるとどんな部分でしょうか。

JAY'ED：DOBERMAN INFINITYとやった曲は1つのチャレンジだったと思います。以前作った楽曲は自分のバースにラップっぽい感じとかがあまりなかったのですが、取り入れてみたり。もちろんこの曲だけではなく色んな方たちと曲を作って行く中で、終盤になって自分も色んなアイデアが出てきて、それは今後の作品に活かしたいって思っています

──2016年にデジタルシングルでリリースされた「MY WAY」の日本語カバーも収録されていますが、「Here I Stand」とテーマが繋がっている感じを受けました。

JAY'ED：これは狙ったわけではないんですけど、今思い返せばこの曲は最初からこのアルバムに入っていてもおかしくない曲ですね。なんか不思議だと思います。実際、1年前の段階ではこのアルバムのコンセプトも全くない状態だったんですけど、これ以上のカバーはないくらい、今回のコンセプトに沿ったものになっているので。


──これは本当に、歌もアレンジも素晴らしいカバーだと思いますよ。

JAY'ED：ありがとうございます。これはもともと映画の主題歌として「MY WAY」を歌って欲しいという話からスタートしていて（映画『手をつないでかえろうよ～シャングリラの向こうで～』主題歌としてリリース）。しかもスパニッシュギターで歌うというのも初めてだったし、そういう意味では、この曲で今までと違った僕を見せることができたんじゃないかな。このアルバムでも良い意味で異色さを出してくれる曲だと思いますし、作って良かったなって。

──JUJU with JAY'EDとしてリリースした「明日がくるなら」のセルフカバーも収録されています。これはやはり新しくJAY'EDさんを知る方に聴いてほしいという気持ちですか？

JAY'ED：そうですね、僕のことをたくさん知っていただけた曲でもありますし、これも一つの「Here I Stand」に通ずるものといいますか。僕がここに立っている理由の一つの曲ですので、今回JAY’ED Solo versionという形で収録させていただきました。

──シングルのカップリングは2009年にリリースしたシングル「Everybody」のPKCZ®によるRemixですね。これはどんなコンセプトで出来た曲でしょうか。

JAY'ED：今回アルバムに昔の曲を入れるにあたって、「Everybody」は外せないと思っていて。この曲は当時のクラブ・ミュージックを意識して作った曲なんです。それこそEDMとか四つ打ちが流行り出し始めた頃の曲で、この曲を作るあたってクラブ・ミュージックに詳しいPKCZ®に頼もうと思ったんです。ちょうど去年、PKCZ®の赤レンガ倉庫のイベント（2016年8月5日PKCZ®×HiGH&LOW PREMIUM LIVE）に参加させていただいたんですけど、野外フェスな感じで色んなアーティストが出演して盛り上がっていて。彼らもクラブ・ミュージックをベースに音楽を作っているので、今の時代に合った形で作ってくださいという話をして、よりアッパーな感じになりました。

──ライヴでも聴いてほしい、という曲を挙げてもらうとどの曲になりますか？

JAY'ED：やっぱり「Here I Stand」ですね。最近、リリースイベントで「Here I Stand」を歌っているんですけど、初めて歌ったときにしっかり感情を込めて歌おうとしたら、感情を込めすぎて泣きそうになったんです。こんなこと初めてで。この曲をピアノと僕の声1本っていう構成で作ったのも、メッセージを1人でも多くの人に届けたいと思ったからなんですけど、ライヴで一番みなさんに響いてほしいという気持ちがあります。

──これまでは歌いながらこみ上げてくるものがあってもステージで泣いてしまうようなことはなかった？

JAY'ED：そもそも普段、あんまり泣かないんですよね。ドライアイというか（笑）。

──そういう意味なんですか（笑）。

JAY'ED：いや、本当にあんまり涙が出ないんですよ（笑）。でも「Here I Stand」を歌ったときはヤバかったですね。この作品をみなさんの前で歌えるっていう気持ちがあって、感極まったというのもあったと思います。それと、支えてくれた仲間、このアルバムを実現させてくれたみんなのおかげというのがあるんですけど、僕がこうして「Here I Stand」の歌詞に勇気づけられたことを、今度はみなさんに歌って勇気づけられたら良いなって思います。

──これからのJAY'EDさんはどんな夢を持って活動していきますか？

JAY'ED：リリースイベントをやったときに、昔からのファンから言われたのが「待ってたよ！」っていう言葉だったんです。それを聞いたときに「申し訳ないな」という気持ちと、その分これからアーティストとしてコンスタントにリリースしていこうっていう気持ちになったんです。アーティストとして二度目のチャンスをいただいていると思っているので、そこは活かしてやっていきたいという強い思いを持っています。そして、新しく聴いてくれる人たちには、今回のアルバムを通して「昔のJAY'EDの曲も聴いてみよう」っていう楽しみ方とか、今後もライヴや次にリリースしていく作品を共に作っていけたら良いなと思っています。

取材・文●岡本貴之





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