【インタビュー】家入レオ、自身初の武道館公演がWOWOWにて5月28日（日）放送。番組特設サイトにてライブダイジェスト動画を公開中！

■ライブは一瞬だけのものだと思ってたけど
■映像になることで永遠に残っていくもの

——自分的にはどんな場面が印象深く残っていますか？

家入：やっぱり最初のアカペラ始まりは“うわあ〜っ”って思ったし、“この場所でやっと会えたね”っていう気持ちが湧き上がってきて、いつも以上にパワーが出た瞬間でしたね。それとメドレーでステージの階段を昇って「Bless You」に入る箇所はキー出しがない状態で歌ったんですよ。もし私が音をはずしたら違うキーで始めるっていう。イヤモニなしで歌っているので勘が頼りなんですけど、絶対にそうしたいって。結果、いい緊張感の中でしか出せない空気感があったと思います。

——武道館が終わって少しホッとしました？

家入：素直に嬉しかったですけど、心配性なので５周年で武道館に立ったから満足というのは全くないです。「レオちゃん、良かったね！」って物語がエンドロールに向かっていくのはすごく嫌で、むしろ「ここからもう１回始めるんだ」って気持ちが強かった。だから、アンコールで一緒にもっと大きい場所に行こうって言ったし、今までの家入レオとこれからの家入レオの両方を見てもらえたライブだったと思います。


——そんなライブをWOWOWで見るのを楽しみにしている方たちにメッセージをお願いします。

家入：東京以外にお住まいの方たちから「行きたかったけど、行けなかった」という声も多くいただいていたので、WOWOWさんで放映していただいて嬉しいですね。応援してくれている方たちはもちろん、もっとたくさんの方たちに私の存在を知ってもらえたらなと思っています。ライブは生で観ていただくのがいちばんいいのかもしれないですけど、TVなどの画面を通すと表情や細かいこだわりも見ていただけると思うので、家入レオのライブを初めて見る方にも武道館に来てくれた人たちにも絶対に見てほしい。

——確かに映像だから感じられることもありますものね。

家入：あと夢の時間を噛みしめられるのもいいですよね。「嫌なことがあった時はレオちゃんのライブDVDを見るんです」とか「真っ白でいられたあの場所での自分の気持ちを思い出せるから、明日から頑張ろうと思えるんです」っていうファンレターをいただくことが多くて。ライブって一瞬だけのものだと思ってたけど、そうじゃなくて永遠に残っていくものなんだなって。

——一生の思い出になりますからね。最後に今後の予定についてですが、9月からはZeppツアーがスタートしますね。

家入：各地2デイズで廻るんですが、＜５th Anniversary Live at Zepp＞で5周年というところもありつつ、今までと違う試みをすることになると思います。そこはぜひ楽しみにしていてほしいですね。

——武道館とはまた違う構成で見せるツアーですか？

家入：そうですね。武道館はエンターテインメントという部分もありましたが、Zeppツアーはワクワクドキドキも詰めつつ、さらに音で勝負する音楽的なライブになると思います。

——なるほど。武道館で今までは傷ついたり、我慢したりすることによって前に進めると思っていたけど、そうじゃないんじゃないかと思うようになったと話していましたよね。それも今後の作品作りやライブに反映されますか？

家入：そうですね。考え方は変わりつつありますね。今まで過ごしてきた22年間の積み重ねの中、自分はどこかで我慢したり、辛い想いをした分だけ、いいことがあるって思っていたんですけど……。

——負荷をかけることで次に行けるっていう。

家入：そう！それでパワーを発揮できると思っていたんですけど、やればやるほどキツくなるんだなって。経験して初めて分かった答えだったから、時間は無駄じゃなかったし、だからこそ出来た曲や出会えた人たちは否定したくはないんです。ハッピーでいるって怠けることじゃなくて、楽しいことしている人には自然と人が集まってくると思うんですよね。あと単純に悲しい気持ちと楽しい気持ちのどっちが維持するのが大変なんだろう？って考えたら、ハッピーでいることって相当、労力のいることだと思うんですよね。

——確かにそうかもしれないですね。

家入：「元気出して」、「ひとりじゃないよ」ってシンプルに励ます時って、その人の人間力が試されると思うんですよ。同じ言葉なのにこの人に言われると響くっていう。それはその人が積み重ねてきた涙だったり、その人が持っている何かだと思うから「レオちゃんに言われると何でもない言葉だけど、頑張ろうって思うんだ」って言ってもらえるように日々を重ねていきたいなって。傷つけあうことで進むことからは卒業したいと思いました。

——それは「Hello To The World」や「僕たちの未来」の頃から少しずつ始まっているような気がしますけどね。

家入：そうですね。その変化がいい意味で伝わったのが武道館のライブだったと思います。まだまだ変化中で、コマみたいに何周もまわるのが私のスタイルだったりするので（笑）、もしかしたら、もっとダークな曲を書きたくなるかもしれないし。でも、もっともっとという想いがあれば、それでいいんだなと今は思えます。

取材・文◎山本弘子