【インタビュー】奥華子、『遥か遠くに見えていた今日』にこめた“後回しにしない”気持ち

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■曲が出来た時に最高の気分になる。この基準だけで生きているような気がします(笑)。

──話をアルバムに戻しますが、今回の収録曲で、一番悩んだのはどれですか?

奥:「遥か遠くに」っていうアルバムの最後の曲は、マスタリングの前日に出来上がったんですよ。サビは数ヶ月前にできていて、このアルバムのタイトルをつける時も、「この曲が今の自分だな」と思って。そこからアルバムのタイトルもつけたんです。でも、Aメロ、Bメロがなかなかできなくて。サビだけあって、周りが全然できないという状態が続いてギリギリにできたという。

──マスタリング前って、相当ギリギリだよね。そこからレコーディングしたの?

奥:弾き語りだから、曲が出来た時が完成なんですよ。だから、レコーディングも何もなく、この一回だけ、一発録りで。事務所の社長がエンジニアというのもあって、そのままトラックダウンして、翌日マスタリングという感じでしたね。


▲『遥か遠くに見えていた今日』初回限定盤

──出来立てホヤホヤのものが収録曲されたんですね。

奥:スタッフはみんなヒヤヒヤですよ(笑)。

──それはいつの話?

奥:4月7日ですね。

──それで5月17日にはもう発売。

奥:すごいですよね(笑)。ディレクターもどんな曲かわからないまま、収録曲されることだけは決まっているような感じで。

──この曲を入れるとなった時点で、アルバムのタイトルも決まっていたわけですよね。

奥:はい。「遥か遠くに」も入れると決めてて、タイトルも決めていました。それで自分にプレッシャーを与えるような感じで。それが好きなのかな(笑)。作品が出来た時が生きていて、一番好きな瞬間なんですよ。曲が出来ない時が最低で、曲が出来た時に最高の気分になる。この基準だけで生きているような気がします(笑)。だから、今回もこの「遥か遠くに」が出来て、アルバムが全部完成した瞬間が最高。フラフラでしたけどね。精神削られた感じがして。

──どうしてアルバムのタイトルを『遥か遠くに見えていた今日』にしたんですか?

奥:今回のアルバムって、全体的に、「人生は有限だな」って思ったことに対しての曲が多いなと思ったんですね。時の流れと共に生きていて、その中で人を好きになって、生きているっていうことを切り取った曲が多くて。いつまでも続いていくと思っているから、後回しにしてしまう人生というのもあるじゃないですか。「もっとあの時の優しくしていれば良かった」「ああしていれば良かった」というような。今までの曲もそういう曲は多いんですけど、今回は特にそういう歌詞が多いし、年齢も重ねてきて、昔自分が遥か遠くに見えていた未来はどうだったかな?って。

──昔、自分が思っていた未来の姿と自分を重ねてどうかってこと?

奥:そうそう。本当にあっという間に1年が過ぎていて、どんどん年を重ねてしまうんだなって。昔はそんなこと思っていなかったのに、「どうして時間って日に日に過ぎていくのが早く感じるんだろう?」とか。「スタンプラリー」という曲でもそういうことを言ってるんですけどね。今、自分が思っていることが「遥か遠くに」の中にも、アルバムタイトルにも現れているなと思って。

──アルバムの全体像をまとめる曲だし、タイトルなんですね。「遥か遠くに」はサビの部分から、よくここまで広がりましたね。

奥:そうなんですよ。このサビの部分だけ、歌詞とメロディが同時に出てきて、iPhoneに入っていたんです。「これ、いい曲にしたいな」って思いばかりが焦って、なかなか完成しなかったんですけど。

──アルバムは「明日を信じて」という歌詞で前向きに終わりますよね。

奥:そう。人って、いつ死ぬかわからないのに、よく生きていられるなって思うんですよ。明日も生きていると思う前提で生きているんですよね。明日、もし死ぬってわかっていたら、生きていられないというか、生きづらいじゃないですか。震災もあって、改めて、普通に当たり前の生活がどれだけ素晴らしいのか……わかってはいるんだけど、忘れてしまったりする。それを直接は言ってないんですけど、このアルバムを聞いて、感じてもらえたらと思いますね。

──聞いたら、日常にある恋や愛の曲が詰まっていて。「プロポーズ」は愛ですよね。「Mail」や「アイスクリーム」は恋ですし。「ほのぼの行こう」は後半のフックになっていますね。アレンジも歌詞も。

奥:タイアップがあると思い切れますよね。『牧場物語』というゲームのイメージソングなので、牧場をイメージしながら作ったんですよ。奥華子はCMソングでコミカルな感じも自分の売りだなと思っていて。「ほのぼの行こう」は失恋バラードとは毛色は違うんだけど、この感じも奥華子の良さだと思うので、アルバムにもいれたいなと思って。

──「アイスクリーム」の比喩もうまいですよね。

奥:私、いつも思うんですけど、例えばラーメンって、熱いから美味しいじゃないですか。冷めると本当にまずいですよね。熱いことに意味がある。アイスクリームも溶けたらアイスクリームじゃないし。

──飲み物ですらない。

奥:そうそう。だから、アイスクリームを買う時って緊張しません? すぐに食べなきゃ!って。そこに自分のすべてを持っていかれるじゃないですか。そのくらい、すべてにおいて「今」じゃないとダメっていうものが絶対にあるはずじゃないですか。恋愛もそうじゃないですか。っていうことを言いたくて作った曲ですね。

──うんうん。今、あなたが必要なのに!っていうね。「スタンプラリー」もタイトルを見て、曲を聞いたら、「そういうことか!」ってわかる比喩ですね。

奥:これは常々自分が思っていることをそのまま書いたんです。今の時代って、私も含めて、みんながスマホに侵されているじゃないですか。常にスマホを見て、人と喋っていても、人にメールをするにも、「この言葉で合ってたっけ?」って検索したり。メールでも、こういう場合はこう返すみたいな、定型文みたいなものを使ったり。でも、それをみんながやったら、全部おなじ回答で、そこに個性ってなくなっちゃうのかなって思うんですよ。でも、そうやって間違えないように、怒られないように日々生きている自分がいて、「つまんないなぁ」って思うんだけど、また検索してしまうんですよ。そういう自分への気持ちですかね。もっとオリジナルのスタンプを押していこう、今しかないスタンプを押していこうっていう。ある意味、全部共通しているんですけど、今だからできることがあるし、そういうものを後回しにしちゃダメなんだよって、自分に対して思っていることを詰め込んでいる。私、全部後回しにしてしまうので(笑)。恋愛とかも仕事もすべて。

──聞いてくれた人へのメッセージにもなっているんだけど、自分への戒めにもなっている。

奥:逆ですね。聞いてくれる人へのメッセージというよりも、ほとんどが自分への戒めです(笑)。伝えたいというよりも、自分に怒りを覚えているという感じかな。自分に言い聞かせているからか、「スタンプラリー」はすぐに出来たんですよ。

──普段思っていることが爆発したんですね。

奥:そう。「充電が切れたらおしまい 誰とも繋がれないよ」って、本当にそうだなと思っているんですよ。

──充電が切れたら行方不明になりますからね。

奥:そうなんですよ。


▲『遥か遠くに見えていた今日』通常盤

──自分を戒めるメッセージを込めた作品を作ったことで、自分は変わったんですか?

奥:それが……全然変わらないんですよ(笑)。単純に、アルバムがやっと出来たから、今まで出来なかったことをやろうっていうのは思いますけどね。人と会ったり。制作をしていると本当に人に会えないんですよ。実際に時間もないし、精神的にいっぱいいっぱいで余裕を持てないから。

──じゃあ、今は吸収する時間でもあるわけですね。そういう時間もないと作品もできないでしょう?

奥:はい。必要な時間だと思います。いつも、冷静に考えると、こんなに吸収する時間が少ないのに、よく曲を作っているなと思うんですよ(笑)。槇原敬之さんの曲以外は聞かないし。

──音楽を聴いたから曲ができるというものでもないから、音楽聞かなきゃダメだとは一概には言えないけどね。

奥:とはいえ、もうちょっと聴いてもいいんじゃないかと思います(笑)。もっとライヴを観に行ったり、映画を観たりしたほうがいいなぁと思っているんですよ。

──これからツアーも始まるから、それはそれで吸収の時間じゃないですか? その土地のファンの方に会えるし。

奥:そう、確かに。ただ、ライブって自分からのアウトプットなんですけど、実はもらう方が多いんです。

──「今年は、新しい作品を出して、それを持ってツアーを回りたい」って年明けに言っていたけど、その言葉通りになりましたよね。

奥:はい。この感じは久々だなと思っているところです。去年は10周年だったり、全曲ライヴをやったり、特別な年だったんですよね。それが終わって、新たにアルバムを作って全国40ヶ所以上を回るという、一番、基本的なスタイルで活動ができる。今回のアルバムは、まだ誰の前でも歌っていない曲ばかりなんですよ。ライヴで歌ってはじめて完成するというか、その曲が始まっていくと思っているので、アルバムが出来た段階ではまだ未完成なんですよ。だから、みなさんにどんな風に聞いてもらえるのか楽しみです。

取材・文◎大橋美貴子



New Album『遥か遠くに見えていた今日』

2017年5月17日(水)発売
【初回限定盤】PCCA-04535/3,500円(tax in)(CD+DVD)
【通常盤】PCCA-04536 /3,000円(tax in)(CD only)

◇CD収録楽曲 (通常盤・初回盤共通)
M1.Rainy day
M2.恋のはじまり
M3.愛という宝物(2016cross fm オフィシャルGREEN キャンペーンソング)
M4.プロポーズ(「MAST」TVCMソング)
M5.彼女
M6.365日の花束 
M7.キミの花(TVアニメ「初回限定」オープニングテーマ)
M8.ほのぼの行こう(ニンテンドー3DS用ソフト「牧場物語 3つの里の大切な友だち」イメージソング)
M9.思い出になれ(テレビ朝日「じゅん散歩」16年10月・11月エンディングテーマ) 
M10.最後のキス
M11.Mail
M12.アイスクリーム
M13.スタンプラリー
M14.遥か遠くに

◇DVD収録内容 (初回盤)
「キミの花」Music Clip
「最後のキス」Music Clip 
Making of 「遥か遠くに見えていた今日」
「思い出になれ」 Image Clip
※商品の仕様、収録曲は変更になる可能性がございます。

■予約/先着購入特典情報
全国のCDショップにて、奥華子ニューアルバム『遥か遠くに見えていた今日』 初回限定盤もしくは通常盤をお買い上げの方に先着で、下記の特典をプレゼントいたします。数量限定の特典となりますので、
お近くのCDショップでのご予約・ご購入をお勧め致します。

★TSUTAYA RECORDS: オリジナルポスター(TSUTAYA RECORDS Ver.)
★タワーレコード: オリジナルポスター(タワーレコード Ver.)
★HMV: オリジナルポスター(HMV Ver.)
★新星堂/ワンダーグー: オリジナルポスター(新星堂/ワンダーグーVer.)
★その他: オリジナルポスター(応援店Ver.)

※オリジナルポスターは全5種ございます。
※一部お取り扱いのない店舗/オンラインサイトもございます。店舗へご確認のうえご予約ください。
※特典は無くなり次第の終了となります。あらかじめご了承ください。

■配信情報
iTunes
https://itunes.apple.com/jp/album/id1226339430?l=ja&ls=1&app=itunes

Apple Music
https://itunes.apple.com/jp/album/id1226339430?l=ja&ls=1

奥華子 キャンペーン情報

■奥華子×nana ボーカルコンテスト
キャンペーン期間:5/2(火)12:00〜5/23(火)9:00
課題曲:「キミの花」「最後のキス」
「キミの花」「最後のキス」を歌って、ボーカルコンテストに参加しよう!
参加方法はこちら→http://nana-music.com/topics/okuhanako/?f=okuhanako

■奥華子「プロポーズ」プロモーションビデオをみんなで作ろうキャンペーン
キャンペーン期間:5/2(火)12:00〜5/30(火)23:59
あなたが感じた「しあわせな瞬間」を取った写真を投稿してください。
家族の幸せな瞬間、友人との思い出、夫婦やカップルの愛情、入学・成人・結婚などの人生の節目の瞬間など、それぞれの「しあわせな瞬間」を投稿してみんなで「プロポーズ」のPVを作ろう!

特設サイト・参加方法はこちら→https://okuhana9thcp.ponycanyon.co.jp
GYAO! Wキャンペーンはこちら→https://okuhana9thcp.ponycanyon.co.jp/w-chance/

<奥華子×TOWER RECORDS「遥か遠くに見えていた今日」発売記念リリースイベント>

5月16日(火) 18:30~ アリオ橋本 1Fグランドガーデン (タワーレコード アリオ橋本店)
5月17日(水) 19:00~ イオンモール津田沼 1Fさくら公園側特設会場 (タワーレコード 津田沼店)
5月18日(木) 19:00~ ミント神戸2Fデッキ特設ステージ (タワーレコード神戸店)
5月19日(金) 19:00~ タワーレコード梅田NU茶屋町店 店内イベントスペース
5月20日(土) 11:30~ タワーレコード名古屋近鉄パッセ店 店内イベントスペース
5月20日(土) 17:30~ タワーレコード静岡店 店内イベントスペース
5月21日(日) 12:00~ イオンモール盛岡 イオンホール (タワーレコード盛岡店)
5月21日(日) 18:00~ ATi郡山1Fイベントスペース (タワーレコード郡山店)

<奥華子全国ツアー情報>

5月27日(土)【秋田】秋田市文化会館 小ホール
5月28日(日)【岩手】盛岡劇場 メインホール
6月03日(土)【青森】 青森1/3
6月11日(日)【福島】福島テルサ FTホール
6月23日(金)【宮城】仙台市宮城野区文化センター PaToNaホール
6月25日(日)【山形】山形テルサ アプローズ
7月01日(土)【東京】めぐろパーシモンホール 大ホール
7月02日(日)【千葉】青葉の森公園芸術文化ホール
7月06日(木)【沖縄】桜坂劇場ホールA
7月14日(金)【愛知】名古屋アートピアホール
7月15日(土)【三重】津リージョンプラザ
7月22日(土)【宮崎】延岡総合文化センター 小ホール
7月23日(日)【香川】香川県教育会館 ミューズホール
7月29日(土)【長野】長野市芸術館 アクトスペース
8月05日(土)【大阪】大阪市中央公会堂
8月10日(木)【福井】福井まちなか文化施設 響のホール
8月11日(金)【石川】北国新聞 赤羽ホール
8月13日(日)【富山】富山県教育文化会館
8月20日(日)【埼玉】彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
9月02日(土)【福岡】イムズホール
9月03日(日)【長崎】長崎 ブリックホール国際会議場
9月08日(金)【岡山】倉敷市芸文館
9月10日(日)【広島】広島市南区民文化センター
9月15日(金)【栃木】佐野市文化会館
9月17日(日)【新潟】新潟市民芸術文化会館 りゅーとぴあ 劇場
9月21日(木)【愛媛】松山市民会館中ホール
9月23日(土)【島根】松江AZTiC canova
9月24日(日)【鳥取】米子AZTiC laughs
9月30日(土)【群馬】藤岡市みかぼみらい館 小ホール
10月01日(日)【滋賀】米原市民交流プラザ ルッチプラザ
10月09日(月)【静岡】しずぎんホール ユーフォニア
10月13日(金)【神奈川】横浜関内ホール
11月11日(土)【鹿児島】鹿児島CAPARVO HALL
11月16日(木)【北海道】札幌市教育文化会館 小ホール
11月17日(金)【北海道】函館金森ホール
11月26日(日)【京都】府民ホールアルティ
12月01日(金)【大分】大分ブリックブロック
12月02日(土)【熊本】熊本B.9 V1
12月10日(日)【茨城】結城市民文化センター 小ホール

※追加で関西他県での公演を予定しております。
詳細は→http://www.okuhanako.com

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