【レポート】POLYSICS、トークライブ<DAY2 -トイスの覚醒->「東阪ロンドン、みたいな(笑)」
バンド結成20周年を迎えたPOLYSICSが、東京・風知空知で3日間連続開催したイベント<20周年特別企画 All Time POLYSICS!!! トークライブ OR DIE!!!>。先ごろ公開した<DAY1〜トイス前夜〜>レポートに引き続いて、その2日目となる<DAY2〜トイスの覚醒〜>の模様をお届けしよう。
◆POLYSICS 画像
DAY1では、3人がそれぞれ懐かしいツナギを身にまとってトークを展開したが、この日の衣装は、さらにレア度がアップ。ハヤシはパイロット服(<ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2009>で着用)、フミはハワイアンドレス(<OTODAMA'11-'12~音泉魂~>で着用)、ヤノはマリンルック(<ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2007>で着用)と、過去に夏フェスでのみ使用された衣装で登場すると、満員の観客は悲鳴に近い大歓声を上げた(しかし、この日の東京は最高気温が10度を下回るという、まさかの展開に)。そんなざわめきの中で、「トイス!」の挨拶に続き、乾杯を行い、トークがスタートした。
<トイスの覚醒>と題されたDAY2は、ヤノが加入した2004年から、4人体制最後のライブとなった、2010年3月の日本武道館ワンマンライブ<POLYSICSメジャーデビュー10周年スペシャルライブ!! ~BUDOKAN OR DIE!!!!~>までの出来事をピックアップ。そこでまず、ハヤシ、フミの2人と、ヤノとの最初の出会いの話に。以下そのトークを。
ハヤシ:最初、ドラムオーディションの応募書類に写真があって、ヤノの後ろに、コンピューターとかミキサーとかが写っていて。しかも、好きなアーティストの欄にYMOとかが書いてあったんだよね。
フミ:そうそう。サンレコ(音楽雑誌『Sound & Recording Magazine』)に載ってそうな写真で(笑)。
ハヤシ:だから、「打ち込みとか出来そうだし、いいじゃん!」って思ったら、実際はまったく機材に詳しくなかったっていう(笑)。
ヤノ:触ったことなかったんです(場内爆笑)。
フミ:それで加入が決まって、私たちがアメリカツアーへ行っている間に、曲を練習してもらったんだよね。
ヤノ:「カジャカジャグー」とか、「Mr. ELECTRIC SHOCK!!」とかですね。
ハヤシ:「URGE ON!!」もやった。
ヤノ:あと「ワチュワナドゥー」も。
フミ:その5~6曲を、私たちがツアーから戻ってきてからスタジオで立て続けに演奏したら、ヤノが「もう無理ッス」って(笑)。
ハヤシ:「え?もう? POLYSICSって2時間くらいライブやるよ」って(笑)。
ヤノ:その時まで、30分くらいのライブしかやったことがなかったんです。もう、ペース配分が全然分からなくて。それと緊張で、その時は完全にバテました。
現在の正確無比な彼のドラミングからは想像できない、ヤノがPOLYSICSのドラマーとしてキャリアをスタートさせた際の逸話が語られると、この日のレア映像第一弾として、ヤノがデビューを飾ったCLUB Queでの7日連続ライブ<7DAYS TO DIE!!!! ~ALL OF POLYSICS!!!! ~そして伝説へ...~>の映像が披露され、会場は大いに盛り上がった。
こうしてヤノがデビューし、新体制となったPOLYSICSは、その後、同企画を2日間に凝縮した大阪公演を終え、次に向かった先は、なんといきなりのロンドン。「東阪ロンドン、みたいな(笑)」とフミが語ったように、この時期から怒涛の海外ツアーがスタートする。そこで、ヤノ加入前の2000年まで少し時代をさかのぼり、海外ツアーでのエピソードを中心に、メンバーの想い出が語られた。
「本格的なUSツアーをやるっていう初日、2003年9月17日(LA公演)をメチャクチャ覚えていて。その時のリハで、現地のPAが「ギターが大きい。客席には聴こえるように出すから、下げろ」っていうから、アメリカのライブってそういうもんかと思って、結局、自分でも聴こえないくらいまで下げたんだよね。それで本番が始まって、ワーッとステージに出ていったら、お客さんが1人だけで。しかもその1人って、日本のライブによく来てくれていたアメリカ人の留学生だったんだよね(笑)。でも、2曲3曲とやっていったら、どんどん人が集まってきて、最終的にはちゃんと盛り上がって。それで、もう立てないくらい全力を出し切った後、スタッフに「ギターどうだった?」って聞いたら、「全然聴こえませんでした」って(苦笑)。いきなりUSツアーの洗礼を受けたんだよね」──ハヤシ
さらに3人のトークは止まることなく、シアトルからデトロイトまでキャンピングカーで丸2日間走り続けて移動した話、2004年初ロンドンでの夜、ヤノが寝言で奇声を発したという話、その後の9月、ブライトンでのライブがあまりに熱く、ヤノ曰く「死ぬかと思った」という話(※DAY1質問コーナー参照)、2005年のスペインで、ニューオーダーやヒューマンリーグらと<PRIMAVELA SOUND FESTIVAL>で共演して最高だったという話、ただその際、リハを仕切っていた舞台監督が本番前に帰ってしまい、出番時のセッティングが大混乱となった話、その一方で、同フェスに出演していたエコー&ザ・バニーメン(イギリスのポストパンクバンド)から「『POLYSICS OR DIE!!!!(UK盤ベスト)』を持っている」と言われて驚いたという話、欧米では深夜のアルコール販売が禁止されており、ライブ後にビールを飲むのもひと苦労だったという話、ヒューストンではまともなPAもステージもないようなライブハウスで演奏した話、2006年にカイザー・チーフスの欧州ツアーに帯同した際、ツアークルーがフミの誕生日を祝ってくれ、最終日にはケータリングスタッフがメッセージを添えてシャンパンを贈ってくれたという話、そしてカヨ卒業直前に行われたUSツアーの話などなど……ここで紹介した数倍ものエピソードが語られた。
その多くは、日本国内の常識では考えられない、海外ツアーならではの過酷な体験談であったが、そうした出来事を、ユーモアを交えながら笑顔で振り返ることができるところに、POLYSICSという“バンド体力”の強靭さ、そして、海外でもファンを増やし、着実にその存在を知らしめてきたという自信と貫禄が感じられた。
ここで披露されたレア映像第二弾は、「たぶん誰も見たことないと思う」(ハヤシ)という、2004年USツアーで初めてオハイオ州アクロンを訪れた際のライブ映像。オフショットやリハーサルの様子もダイジェストで含まれた貴重な映像だ。しかも、このアクロンという都市は、POLYSICSの原点であるDEVO誕生の地。そこでの熱演に、観客の視線は釘づけとなった。
尽きることのない海外ツアートークに一旦区切りをつけると、続いては<アウトテイク傑作集>という、これまた超激レア企画コーナーへ。ここで披露された音源は、「Shizuka is a machine doctor」と「Rocket」のデモバージョン。「Shizuka is a machine doctor」のデモは、最終的な完成形とは、もはや別曲と言えるほどに極端にテンポが遅く、一方の「Rocket」デモは、コアファンには「ズボン」という仮タイトルが付けられていたことで知られているが、当然ながら、その音源が公開されたのは今回が初めて。曲の雰囲気や歌詞の違いに、多くのファンが興味深く耳を傾けていた。
さらには未発表曲までも披露する大サービス。フミがボーカルをとる「セメントを塗る女」と、「DTMK未来」のモチーフとも言えそうな「週刊ストーリーズ」が再生され、アクの強い個性的な2曲に対し、リリースを望む声も聞かれるほどだった(残念ながら、現状では音源化の予定はなさそうだ)。
◆ ◆ ◆
約20分の休憩を挟んだ後、3人は衣装を変えて再び登場。ハヤシは、メジャーデビュー直前の新宿リキッドルーム(当時)公演などで着用した水色、フミは、2007年に開催されたMySpaceイベント<Secret Shows Japan>用に作られた青色、ヤノはシューズブランドVANSとのコラボレーション広告でのみ使用された緑色と、いわゆる“アザーサイド”のレア衣装で、再び会場を沸かせた。そして第二部は、前日同様に、観客からの質問コーナーへ。
【質問1】海外ツアーに必ず持っていくものは?
ハヤシ:わさび豆!
ヤノ:食べ物だと、味噌汁。
フミ:子供用お弁当箱サイズのフォークとスプーン、あとワインオープナー!
【質問2】ツアー移動日の楽しみは?
ハヤシ:日本でも海外でもレコード屋巡りだね。
ヤノ:散歩かな。
フミ:“ヤノ散歩”ね(笑)。私は、海外だったらスーパーとか薬局とかが好きで、変わった調味料とかずっと見てる。日本でも、地元のスーパーや市場が好き。オシャレな雑貨店とかは行かない(笑)。
【質問3】POLYSICSの一番難しい曲は?
フミ:一番やりたくないのは、「ありがTOISU!」。やらなきゃいけないことが多すぎて、嫌だ(笑)。
ヤノ:「VIVA!」は、間奏で小節を見失いそうになります。レコーディングが大変でした。
ハヤシ:嫌いとか出来ないとかじゃなくて、「Rick O・K! sec.」は、ライブでやってみたくて何度かリハでトライするんだけど、結局、「これ、ライブでやって楽しいかな?」と思ってしまって、まだやったことがない(笑)。
◆ ◆ ◆
普段はなかなか聞けないような質問や、それに対する興味深い回答も飛び出し、大盛況のうちに<DAY2〜トイスの覚醒〜>が終了。結成20周年を記念したユニークなトークライブも、いよいよ最終日<DAY3〜進撃のトイス〜>を残すのみとなった。
撮影・文◎布施雄一郎
■<POLYSICS結成20周年記念2マンTOUR!!! POLYMPIC 2017>
OPEN 17:15 / START 18:00
w/wienners
(問)清水音泉 06-6357-3666
2017/06/04(日) 高松MONSTER
OPEN 17:15 / START 18:00
w/TBA (※To Be Announced)
(問)DUKE高松 087-822-2520
2017/06/10(土) 水戸LIGHT HOUSE
OPEN 17:30 / START 18:00
w/OKAMOTO'S
(問)VINTAGE ROCK std. 03-3770-6900
2017/06/14(水) 名古屋CLUB QUATTRO
OPEN 18:15 / START 19:00
w/TBA
(問)JAILHOUSE 052-936-6041
2017/06/15(木) 梅田CLUB QUATTRO
OPEN 18:15 / START 19:00
w/キュウソネコカミ
(問)清水音泉 06-6357-3666
2017/06/17(土) 広島セカンドクラッチ
OPEN 17:30 / START 18:00
w/赤い公園
(問)YUMEBANCHI広島 082-249-3571
2017/06/18(日) 福岡BEAT STATION
OPEN 17:30 / START 18:00
w/岡崎体育
(問)BEA 092-712-4221
2017/06/24(土) 仙台CLUB JUNK BOX
OPEN 17:30 / START 18:00
w/TBA
(問)GIP 022-222-9999
2017/06/25(日) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
OPEN 17:30 / START 18:00
w/SCOOBIE DO
(問)FOB新潟 025-229-5000
2017/07/01(土) 札幌BESSIE HALL
OPEN 17:30 / START 18:00
w/アルカラ
(問)WESS 011-614-9999
2017/07/07(金) 渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 18:15 / START 19:00
w/TBA
(問)VINTAGE ROCK std. 03-3770-6900
2017/07/08(土) 渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 17:15 / START 18:00
w/TBA
(問)VINTAGE ROCK std. 03-3770-6900
2017/07/09(日) 渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 16:15 / START 17:00
w/銀杏BOYZ ※弾き語り
(問)VINTAGE ROCK std. 03-3770-6900
▼チケット
前売:¥4,000(D別)
一般発売:2017/05/14(日) e+ / ぴあ / ローソンチケット
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