チケット高額転売問題、法制化第一歩へ
去る4月21日(金)、衆議院第二議員会館にて「チケット高額転売とネットダフ屋行為の抑止に向けて」と題した会合が行われた。
この会合は石破茂を会長とするライブ・エンタテインメント議員連盟に対し、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会/一般社団法人日本音楽事業者協会/一般社団法人日本音楽制作者連盟/コンピュータチケッティング協議会といった各団体が、現状報告を行うとともに、問題の解消に必要な措置を議論するというもの。
昨年、新聞に掲出された「私たちは音楽の未来を奪うチケットの高額転売に反対します」という意見広告も記憶に新しいが、ネットダフ屋、ボットによる大量買い占め、法的規制がない脱法状態、高額転売の拡大など、高額転売をめぐる現状はいまだ変わってない。またこれらに伴うリスクとして、ネットダフ屋によるユーザー摂取の固定化、若年層への悪影響など拡大の一途をたどっている状況だ。
この日の会合には、アーティスト代表としてサカナクションの山口一郎、一般社団法人 日本2.5 次元ミュージカル協会 代表理事・松田誠、コンサートプロモーターズ協会 会長・中西健夫、日本音楽事業者協会 専務理事・中井秀範、日本音楽制作者連盟 理事・野村達矢らが現場の声を届けるべく出席した。
会議の冒頭には石破茂会長をはじめ、各団体の代表者が挨拶。サカナクション山口は「チケットの値段設定を細かく考えて決めているにも関わらず、その何倍もの価格で転売されている。音楽や文化に関わっていない人が利益を得ており、ファンが無駄なお金を支払って文化を体験する状況はミュージシャンとして許せない。健全な音楽ファンが健全に文化に触れる、そういう環境を取り戻したい。議員皆さんのお力でファンの皆さんを救ってもらいたい」と訴えかけた。
サカナクション山口一郎 コメント
一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会 代表理事・松田誠 コメント
コンサートプロモーターズ協会 会長・中西健夫 コメント
日本音楽制作者連盟 理事・野村達矢 コメント
日本音楽事業者協会 専務理事・中井秀範 コメント
ライブ・エンタテインメント議員連盟をはじめとした各関係団体の働きによる法制化を実現を目指す一方で、6月1日にはコンサートプロモーターズ協会による公式チケットトレードリセール「チケトレ」(サービス運営:ぴあ株式会社)が始まることとなった。安心安全な会員制、画像アップロードを義務化した出品、チケット偽造/不送付トラブルなどを抑止した決済システムなどが特徴だ。
会合後、山口は「純粋に音楽が好き人たちはたくさんいらっしゃいますが、十代の若い子たちがチケット転売の一番の被害者になっている。通常であれば5,000〜6,000円のチケットを3〜4万円で購入してライブに来てくれています。僕らはエンタテインメント、文化を提供する側としてライブを行うこと自体は果たしていいことなのか、自分たちが行っていることを見失ってしまいそうになります。モラルとして訴えていくしかない現状を法規制としてなんとか形を作っていきたい。そうすることで音楽という文化を守っていけますし、何よりもファンの方達を守っていける。今日はそういう形を作っていける第一歩になったと思います」と語った。
高額チケットを買ってでも観たいという心理はわからなくもないが、果たしてその行為はアーティストを応援していることになるのか。“モラルとして訴えていくしかない現状”を変えるべく、アーティストや関係者だけでなく、リスナーとしてこの問題を注視していくべきと言えるだろう。
◆プロジェクト オフィシャルサイト
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