【ライブレポート】The Super Ball、デビュー後初の東名阪ツアー完遂「誰ひとり離したくない」
ツインヴォーカルユニットThe Super Ballが、4月16日に東京・赤坂BLITZにて、メジャーデビュー後初となるワンマンツアー<The Super Ball LIVE TOUR 2017『スパボ! スパボ!スパボ!』>の最終公演を開催。胸震わすハーモニーと真っ直ぐな音楽愛を、とことん届けてくれた。
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「こんばんは、The Super Ballです。楽しんでいきましょう!」と、バンドメンバーに続き笑顔で登場した2人。お待ちかねの1曲目は、「キミノコエガ…。」だ。アコースティックギターを手に包容力のある歌声で温もりをもたらす佐々木陽吾、キーボードを弾きながらクリアなハイトーンヴォイスを響かせる吉田理幹。オーディエンスがクラップする中、個性の異なる2人の歌声が、不思議とぴったり重なっていく。理幹が「みなさん楽しんでいますか? 今日が楽しみすぎて昨日あまり眠れなかった僕は、今とても楽しんでいます! もう、どうする⁉」と興奮気味に言うと、「そりゃあ歌うしかないね!(笑)」と陽吾。音楽活動に専念するため共同生活をしているというふたり、トークともなるとすっかり和やかモードで、観ているこちらもついついほっこり。「今日は一人ひとりにちゃんと届けるから、しっかり受け取ってください」という理幹の言葉から、デビューシングルの「トモダチメートル」へ。“君”への一途で不器用な想いが、痛いほどに伝わってくる。
一転、理幹が「みんなで歌うぞ!」と言って前に出てハンドマイクで歌ったのは、「シアワセ」。陽吾もギターを弾きながら前に出て、フロアの熱がどんどん上昇していく。青森出身の陽吾が津軽弁で自己紹介すると、「陽吾さんが津軽弁をしゃべるといつでも笑ってもらえてうらやましい!」と理幹が羨望の眼差しを向け、その流れで、教員免許を持っている陽吾が津軽弁の“ひんじゃかぶ”が“ひざ”を意味することをオーディエンスにレクチャーする場面も。歌唱力で圧倒しながら、そういった気取らないところもまた、ふたりの魅力だ。
息を合わせた歌い出しから惹きつけられてしまう「笑顔のカバー」。陽吾がエレキギターを手に、R&Bなテイストを見せる「tell me why」。The Super Ballは、表現幅の広いユニットでもある。「野球選手を目指していたころ、音楽に助けられた」という理幹の言葉を受け、「春は新生活が始まる季節。苦悩することもあると思います。次に歌うのは、僕らが歌を始めたときの想いが詰まった曲です」と陽吾が前置きした「赤いポストの貯金箱」。バンドメンバーを入れずに届ける2人の歌と想いに、どうしたってグっときてしまう。「大学生のとき、内定をもらったけど、夢を諦めきれずにこの道を進んで。ずっと歌っていきたいなって、今、歌いながら思いました」と言った理幹。結成当初は路上ライヴになかなか人が集まらなかったという彼らだが、ギター伴奏だけで歌った「おいで」には、赤坂BLITZを埋め尽くしたファンへの感謝と“歌が好き”という純粋な気持ちが満ちていた。
「真夏の夜空とシンデレラ」は、彼らが今ツアーのために用意した、高揚感たっぷりなサマーチューン。当たり前のようにコール&レスポンスが起こって、“楽しい”が加速していく。キラーチューン「スーパーボール」では、陽吾と理幹が笑顔で隣り合ったり、いくつかの巨大バルーンがフロアに投入されたり。さらに、「Rin! Rin! Hi! Hi!」「夢人島へGO!!」では、シングル「Rin! Rin! Hi! Hi!」で異色のコラボを果たしたハシグチカナデリヤが、真赤なレスポールギターを携えてゲスト出演。王道をいくThe Super Ballと、サイケデリックを極めるハシグチカナデリヤ。その融合は、やはり目にも耳にも鮮烈。ハシグチカナデリヤとアイコンタクトして歌う理幹、向き合ってユニゾンフレーズを弾く陽吾と、2人の楽しそうな姿も印象的だった。
「ツアーっていいですね。公演を重ねるたびに、メンバーはもちろん、会場のみなさんとも息がどんどん合っていく」と陽吾が手応えを口にし、「今回のツアー、今までで一番、最高と思う景色が見られたけど、もっとみなさんと一緒にいろんな景色を見たいし、誰ひとり離したくない」と決意した理幹。ふたりが心を込めた「明日、君の涙が止む頃には」は、オーディエンス一人ひとりの胸の奥深くまで染み渡ったはずだ。
そして、アンコール。リゾットを頼んだ理幹に「なにが入っているの?」と尋ねたら、「生ハムとチーズとリゾットとごはん」という謎の返答をされたというまさかの天然エピソードを披露する陽吾に、「陽吾さんはすぐそうやってツッコミ入れるから……」と照れ笑いする理幹。愛すべきふたりは、2017年夏に3rdシングル発売&<SUMMER TOUR 2017「みんな毎日いろいろお疲れサマーツアー!」>を開催することを発表。その上で、「ふたつのかげ」「ミライキャッチャー」を歌い、あらためてファンと一緒に未来へ歩んでいくことを誓った。驚くほど混じり気のないThe Super Ball、彼らの快進撃を見逃すわけにはいかない。
文:杉江優花
撮影:Kousuke Umebayashi
■セットリスト
M2.RUN
M3.トモダチメートル
M4.シアワセ
M5.SKY
M6.笑顔のカバー
M7.tell me why
M8.赤いポストの貯金箱
M9.おいで
M10.真夏の夜空とシンデレラ
M11.スーパーボール
M12.Rin! Rin! Hi! Hi! (w./ハシグチカナデリヤ)
M13.夢人島へGO!! (w./ハシグチカナデリヤ)
M14.明日、君の涙が止む頃には
En1.ふたつのかげ
En2.ミライキャッチャー
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