【インタビュー】La'cryma ChristiのHIRO、ソロアルバムを語る<第2回>「愛する人を取り戻す旅」
La'cryma ChristiのギタリストHIROが1stソロアルバム『Gale』を4月28日に発売する。その話題作を語る独占インタビューの2回目だ。前回インタビューでHIROは言った。「自分自身が聴きたいアルバム」「自分の好きなもの、自分の得意なものが凝縮されたアルバム」「自分の核をそのままさらけ出すことができたアルバム」。その言葉どおり、ソロアーティストHIROの美意識で満たされている。
◆アルバム『Gale』トレーラー 動画
しかし、『Gale』を語るうえで、避けては通れぬキーワードがある。“構想10年”と“ストーリー”。全4回インタビューの第2回目は、アルバムに秘められたストーリーの話から。
◆ ◆ ◆
■故郷の夜空に浮かんでいた月
■それを音で描きました
──前回のお話では、アルバムには秘められたストーリーがあるそうですね。
HIRO:そうです。曲をただ並べるだけでは飽き足らなくて。自分でストーリーを考え、それに沿って曲順を決めました。そうすることでアルバムの中のその位置にその曲がある意味というか必然性が生まれました。曲の終わり方にしても、ストーリーをつなぐためには、こうでなければならない、という必然性を意識しています。
──そのストーリーとはどういう内容でしょうか?
HIRO:狼男の話です。ある男が赤い月の夜、狼に噛まれ、狼男になってしまいます。彼は、捕らわれてしまった愛する人を取り戻す旅に出ます。旅の途中に「Steppenwolf」や「Bare Fangs」など、狼男とつながる曲名もあるので、いろいろイメージを膨らませてもらえると思います。いくつかの出会いもあって、最終的な戦いを挑みます。その結末は…。アルバムをお聴きください(笑)。
──1曲目「漆黒」を聴くと、強い風が吹く夜の情景が浮かびます。ストーリーのオープニングは夜ですか?
HIRO:そうです。漆黒の夜空に風が吹いて、雲間から徐々に月が姿を現します。ただ、その月をどういう月にしようか考えたとき、僕の中で見えたのが故郷の夜空に浮かんでいた月でした。それを音で描きました。たとえばスーパームーンをイメージしたほうが神秘的だって声もあると思います。でも、どうしても故郷の月が記憶に貼りついていたので…。この選択が『Gale』を象徴しているかもしれません。というのは、メロディにしても、どんな転調にするかも、ギターのトーンやアレンジも、常に自分が好きなほうを選択したからです。どっちにしようか迷ったり、何かを変更したりするとき、より多くの人たちが共感してくれるほうを選択するのも理解できるけど、ソロアルバムだからこそ、僕は僕がグッとくるものを選びたいんです。自分の琴線に触れるものを…。
──2曲目の「Blood Moon」は、故郷の月であり、ストーリーに欠かせない赤い月ですね。
HIRO:ドロップD(6弦のみ1音下げたチューニング)でのギターリフがけっこう気に入っています。普段は、曲名をつけるのが得意じゃないのに…。大抵は、作詞した人に任せてしまうのに、なぜかこの曲に限り、作った時点で「Blood Moon」と決めていました。何曲もあった候補曲の中から、これをアルバムに入れようと、プリプロを始めてみたら、アルバムの1曲目にしたくなって。で、1曲目に置いてみたことがきっかけで、ストーリーを作ろう、ストーリーに沿って曲を構成しようと、イメージが膨らみました。実は、それまでは別の1曲目候補があったけど…。
──元候補はアルバムに収録されていますか?
HIRO:はい。9曲目の「Vanity」です。実は、何年も前から、いつかソロアルバムを作る日がきたら1曲目、と密かに決めていた曲です。でも、「Blood Moon」を候補にしたとたん、長年の予定が一瞬にして覆りました。僕にとっては、ある意味、パプニングでした。ただ、1曲目の座は奪われても、大好きな曲なので、ストーリーに沿った形にしてアルバムに入れました。
──『Gale』のストーリーも、アルバムの具体的な内容のインタビューも始まったばかりですが、第二回目はここまで。次回は、さらに深いお話を訊かせてください。
HIRO:まだ狼男が登場したところまでなので、次は旅をもっと進めましょう。
取材・文◎藤井徹貫
■1stソロアルバム『Gale』
01. 漆黒
02. Blood Moon
03. Like the Wind
04. Steppenwolf
05. Dear Phantom
06. 甘い罠
07. Fairies in the Forest
08. Bare Fangs
09. Vanity
10. 穏やかな風
▼1st Album 「Gale」先行販売予約サイトhttp://wardrecords.com/SHOP/GQCS30001.html
■<HIRO 1st Solo Live「Gale」〜the Beginning 〜>
OPEN / 16:00 START / 17:00
feat. SHUSE on Bass / LEVIN on Drums / Special Guest KOJI on Guitar
※SOLD OUT
(問)Zeppライブ 03-5575-5170(平日13:00~17:00)
■La'cryma Christi<KOJI & HIRO Joint Live>
6月17日(土) 表参道GROUND
Open / Start 16:00 / 16:30
\7,500 (tax in / 1Drink別)
▼<KOJI&HIRO Joint Live Act 2>
6月22日(木)下北沢GARDEN
Open / Start 18:00 / 18:30
\7,500 (tax in / 1Drink別)
【チケット先行予約サイト】
http://wardrecords.com/SHOP/LC004.html
▼Support Musicians
NATCHIN on Bass
笹渕 啓史 on Drums
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