【インタビュー】マイク・トランプ「先人の知恵を受け継ぎ、未来へ繋げていく」

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2016年9月に発表した前作『Nomad』に続く、マイク・トランプの通算10作目となるニュー・アルバム『Maybe Tomorrow』が早くも完成した。シンガー・ソングライターとしての才能を開花させた出来栄えであり、心のままに湧き出てきたメロディと自然なフィーリングが、今現在の姿を表しているような作品となっている。一足早く2月24日に海外発売された『Maybe Tomorrow』は、自国デンマークのアルバム・セールス・チャートにて初登場No.1をマークした。

◆マイク・トランプ画像

「なぜ新しいアルバムを制作したのか?とよく聞いてくるけど、それは馬鹿げた質問だ。オレは自身のことを表現しているだけなんだ。ホームと呼べるこの場所に辿り着くまでにはかなり時間がかかったけれど、音楽とはシンプルに自身の延長線上にある大切なものだからね。マイク・トランプの嘘偽りのない正直な人生そのもので、過去から学び、成長し、今の立場を確立させたんだ。このニュー・アルバムを聴いていると、自分と一緒に成長してきた誠実なオーディエンスの姿も見えてくる。彼らと一緒にいることができて最高のフィーリングだ」──マイク・トランプ

これは、デンマークを代表するシンガー・ソングライターへと成長し、自らの道を歩むマイク・トランプの新しい軌跡だ。


──10作目となる新作の完成、おめでとうございます。

マイク・トランプ:ギターを持って、落ち着いてじっくりと1曲1曲丁寧に作っていったんだ。自問自答しながらね。楽曲、バンド、アーティスト、ファンといった枠を飛び越して、ひとりの人間としての自身を表現したかった。最終的にはみんな帰るべきそれぞれの家へと帰るように、オレもそのようにしたかったんだ。

──前作『Nomad』の反応はいかがでしたか?

マイク・トランプ:とても良かった。マイク・トランプというソロ・アーティストになってからはや20年だよ。ファンがオレと共に成長していることが感じ取れたし、楽曲を通じて一体感も感じる。40年もロックン・ロール生活を送ってこれたのも彼らのおかげだね。大きな木のように成長していくのが当たり前のことだと思っているから。

──今作のレコーディングも順調でしたか?


マイク・トランプ:シンプル・アンド・イージーだよ。前作と同じメンバー、同じスタジオ、同じスタッフだからね。新しい試みや実験的なものはもう必要ない。古典的なアーティストだし自身のヒーローに続いて歩んでいくのみだ。

──『Maybe Tomorrow』はどんな作品になりましたか?

マイク・トランプ:ここにはトリックなしの真実と希望が詰まっている。100%の誠実さで作られたアルバムで、リスナーはその言葉を信じていてくれる。ファンとオレは心の底から信頼を築き上げてきたんだ。そこには何も隠すものなんかないんだよ。

──曲作りも順調でしたか?

マイク・トランプ:オレのヒーローの2人、ボブ・ディランとブルース・スプリングスティーンに少しだけ近づくことができたようにも感じるよ。ギターを手に取り、曲を作り始めるとその曲が向かいたいところへと連れて行ってくれるんだ。ほとんど何も考えないで曲を作っていると、その日に感じたことや世界で起きたハッピーなこと/悲しいこと/怒りを感じることに対する感情が曲となって表現される。もちろんそのサウンドはマイク・トランプにしか出せない、誰でもないオレ自身の姿なんだ。

──アルバム・タイトル『Maybe Tomorrow』に込めた思いは?

マイク・トランプ:希望だよ。希望を捨てずに持ち続けること。誰しも時には諦めることはあると思うけど、でも明日にはチャンスがある。昇らない太陽はないし愛は取り戻せる。頭痛だってその内に消え去るだろ?そしてエネルギーを蓄え、そのパワーで次のことに打ち込む。そう「諦めるな!より良い明日があるさ!」というメッセージだよ。

──オススメの曲はどれでしょうか。


マイク・トランプ:まずはオープニングの「Coming Home」だね。ロックンロール・ライフを送ってきたオレの長い旅を通じて感じたことを歌った曲だ。インターネットの力を借りて人々を傷つけたりデジタルの情報を全て信じるのではなく、自分の考えを持って生きて欲しい。アーティストは傑作を制作するのに何十年もかかるし、その為に命を削っているんだ。そういったことを決して忘れてはならないよ。アーティストは「今後どこへ向かっていくのか、どのような曲を作り、どのような立場を表明していくのか」と思う。人生の最終地点に到達しようとした時、その光を消す前に自身に問いかけることにもなる。「Maybe Tomorrow」はオレが思って感じたことのすべてなんだ。

──ライヴではどのようなセットリストになりそうですか?

マイク・トランプ:ソロ・アルバムが今回で10作目になるから、それらの中からライヴにフィットする曲を選択する。ホワイト・ライオンの曲もプレイするけど、オリジナルとは違った感じでプレイすると思う。もう2017年だからね、今正しいと思うサウンドでプレイしたいよね。振り向くこともないし再結成もあり得ない。とにかくマイク・トランプの今を見せるべきだと思っているから。

──最近気に入っているアーティストやバンドはいますか?

マイク・トランプ:現在ニュー・アーティストを見つけるのは難しい。はや20代ではないしね(笑)、逆に1950~1960年代の音楽を聴いたりしているかな。若いころには理解できなかったことが今理解することができるし、新しい発見があるからこっちの道の方が自身にとっては重要なんだ。音楽から色々なものを吸収できるのは素晴らしいことでね、それらを理解し自身のすべきことに活かしていく。音楽に限った話じゃないけど、先人の知恵を受け継ぎ、理解し未来へと活かし繋げていく。これこそが一番大切だし重要な事柄だと思うよ。

──ミュージック・ビジネスやロックの未来はどのようになっていくと思いますか?

マイク・トランプ:例えば、君が米農家で君自身と家族がお米で育ち、お米で生計を立てて生活していたとしよう。そして突然米を育てる方法が水田と人ではなく、工場でロボットとコンピューターによって作れるようになったとしたら…。それが現在のミュージック・ビジネスに感じることだ。冷たくて非人道的なことがオレは好きではない。しかし一方で、デジタルの発達がこれまで届くことのなかった人々にまで届けることができるようになったことは理解している。でも、もし選択肢があるとするならば、かつてレコード店がオープンするのをワクワク待っていたときのように、新作のロックLPを購入することができることを望むな。スタジオでアナログ・テープに録音していた時は、何度も何度も録音を繰り返し、納得いくまで作業を行っていた。それぞれのテイクは違うものだし、それぞれの味があったんだよ。バンドはレコーディングの為にしっかりとリハを行う必要があったし、どんどんプレイがタイトになっていくのが楽しかった。今はエンジニアのマジックで修正ができる便利な時代になったけど、人間性や温かみは失われつつある。

──そうかもしれません。

マイク・トランプ:アルバム『Maybe Tomorrow』がリリースされたら、ヨーロッパをツアーし、アメリカへも行く予定だ。ライヴはロックン・ロールだ。人生を歩んでいくということは、果てしないハイウェイを走っていくことと同じだからね。日本へ一日も早く呼び戻して欲しいと思っているよ。あれから長い時間が経ったからね。マイク・トランプをサポートしてくれる日本のファンは誇りだし、感謝の気持ちでいっぱいだよ。


マイク・トランプ『メイビー・トゥモロウ』

2017年3月15日発売
BKMY-1045 2,222円(税抜価格)
※日本盤仕様デジパック(帯、プロフィール、インタビュー付)
1.Coming Home
2.It's Not How We Do It
3.Spring
4.Would I Lie To You
5.Rust And Dust
6.Leaving One Day
7.Time And Place
8.What More Can I Say
9.Why Even Worry At All
10.Maybe Tomorrow

Produced by Soren Andersen & Mike Tramp

Line-up
・Mike Tramp(vo / g)
・Soren Andersen(g)
・Morten Hellborn(ds)
・Morten Buchholz(keys)
・Jesper Hauggard(b)
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