【ライブレポート】つりビット、赤坂BLITZを竜宮城に変えた日。「もっと皆で色んな景色が見たい」

5人組アイドルユニットつりビットが、ワンマン公演＜赤坂サカナ！～みんなで釣ろう赤坂BLITZ～＞を2月26日に行なった。

◆つりビット ライブ写真

2013年に結成されたつりビットは、釣りというコンセプト以外あえて奇をてらわず、王道ポップソングの素晴らしさを武器に活動をしてきた。5年目を迎える年に初めて1000人規模の会場でワンマンをするというのは、サイクルの早い今のアイドルの中では決して早い方ではないが、近年人気グループの解散、再構築が多いアイドルシーンにおいて、デビューから同じメンバーで丁寧に一歩ずつ階段をのぼってきたつりビットは、その誠実さからしっかりとした根を持った広がりを見せ、この日BLITZには1200人のファンが駆けつけた。

「本日の公演が素敵な竜宮城となりますよう皆様のご協力をお願い致します」という開演前の諸注意アナウンスに歓声が上がり照明が落とされると、ステージ後方のスクリーンにメンバーのリハーサル映像が流され、HERE WE GO!!の文字とともに5人が登場し、1曲目の「My Victory」からライブはスタートした。「1番ぢゃなきゃ意味がない！途中、傷つき倒れそうでも」と歌うメンバーの決意表明のようなこの曲でフロアーに一気に火がつくと、続いては「スタートダッシュ！」。大歓声の中での最初のMCでは最年少の小西杏優から高校合格の発表もあり、ファンから祝福の声が上がった。

前半のハイライトはメンバーを2組に分けて行われたサプライズパフォーマンスで、先行は長谷川瑞、聞間彩、小西杏優による「ズキズキ物語～恋のハロウィン大作戦～SPECIAL REMIX～」。「サビでみんなに踊ってほしい所があるんですけど」という小西の呼びかけから披露された人気楽曲のダンスミックスに、BLITZは巨大なパーティフロアーへと変貌した。対して後攻の竹内夏紀、安藤咲桜が歌ったのは、海辺で繰り広げられる恋模様を描いたミディアムナンバー「潮風日記～Another Arrange Ver.～」。それまで熱気でいっぱいだったフロアーを鎮める清涼剤のような2人の優しい歌声が会場を包み込み、短いコーナーだったが2組で見せた動と静のパフォーマンスには、メンバーそれぞれの成長も感じられた。




楽屋でのメンバーを映し出したコミカルな映像で始まった後半は「Go! Go!! Fishing」、ラテンサウンドで楽しく踊りまくる「ギョギョギョムーチョ」。寿司屋の白いはっぴ衣装での「寿司パラダイス」、ファンと共にタオルを回して盛り上がる「爆釣御礼」と続くと、「釣りパーティー」ではTBSの『櫻井・有吉THE夜会』で披露し話題となった、釣り竿型兵器「ロッドくん」を使って竹内と小西がフロアーにお魚ぬいぐるみを、長谷川、聞間、安藤はカラーボールを投げ込んで、この日一番の盛り上がりを演出。ラスト「最後の曲は感謝の気持ちを込めて歌います」という長谷川の言葉からの「Chuしたい」では、集まったファン全員のサプライズでたかれたオレンジ色のサイリウムで会場が美しく照らし出され、多幸感の中本編は終了した。

「釣った魚にエサをやれー！」というフロアーに沸き起こる掛け声の中登場したアンコールは、「レモン海岸」から2ndアルバム収録の新曲「Get ready Get a chance」を初披露し、つりビットを語る上で絶対外せないナンバー「真夏の天体観測」の3曲。アンコール終わりのMCでは、サブリーダー竹内が満員のフロアーに向かって、「この赤坂BLITZが始まりで、今日見に来て下さった方はここがスタートだし、ずっと応援して下さった方はまたここから新しいつりビットが見られると思って、新鮮な気持ちで一緒に色んな事をしていきたい」と思いを語り、鳴りやまない拍手の中歌われたダブルアンコールの「はじめのキモチ」後、最後のMCではリーダー長谷川が、「これからもっともっと皆で色んな景色が見たいなと今日凄く思いました」と集まったファンに感謝の気持ちを伝え、つりビット初のBLITZワンマン公演は終演した。

ファン達からの手作りのつりビット年表と、中央に竜宮城を配した巨大なスタンド花がロビーに飾られていたこの日のライブ。プロデューサーのトベタ・バジュンを始め、メンバー、スタッフ、ファンが一丸となり歩んできたつりビットのここまでの4年間の全てが赤坂BLITZ公演にはあった。メンバー全員が高校生以上になり、初めての全国ツアーと共に5年目がスタートするグループはこの先どんな成長をみせてくれるのか？アンコールで歌われた今までには無かった晴れやかなシティポップスチューン「Get ready Get a chance」での大人っぽいパフォーマンスには、次のフロアーへの階段を昇って前に進んでいく彼女達の片鱗も感じられ、ここから始まるつりビットの新しいストーリーが楽しみに思えたライブだった。

取材・文◎山村哲也