【インタビュー】奥華子、「キミの花/最後のキス」で語る“若い時の恋愛”と“失恋バラード”

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■これまでのシングルで一番時間がかかったかもしれないです。

──レコーディングはいつやっていたんですか?

奥:年末ですね。でも、そこからずっとお正月中も歌詞を考えていて。一回少し実家に帰りましたけど。

──歌入れは年明けだったんですね。でも、アレンジがしっかり固まっていたら、それだけで気持ちもラクだったんじゃないですか?

奥:逆にアレンジがもう出来ちゃってたから、歌詞が大変だったところもあって。ボリューミーでダイナミクスに溢れてて、ドラマチックだから言葉が負けてしまうんですよ。「どんな言葉を当てても負けちゃうな」っていうところが難しかったんです。

──そこが一番大変だったわけですね。

奥:そうそう。今回、歌詞の言葉数は少ないので、言葉数が少なくてもいかに意味を持たせるかということと、バンドに負けない声が響くような言葉を選ぶというのが難しくて、ずっと作詞をしていました。これまでのシングルで一番時間がかかったかもしれないです。描きたい内容に合わせて、音に合う響きのある言葉を選ぶというのは、今回、挑戦したところだと思います。


▲「キミの花/最後のキス」通常盤

──この曲で描きたかったのは?

奥:1番だけだと「どういう状況なんだろう?」って感じですよね。ただフラれただけなのか。ただ「寂しささえ嬉しかった 行き止まりの恋だとしても」という……この結果は最初からわかっていたと思わせるような言葉が出てくるんですね。

──うん。期限付きのような雰囲気がありますね。

奥:恋愛の中で、「もしかしたら、あの時言っていたら変わってたのかもしれない」とか、いろんな後悔があるじゃないですか。それがたぶんこの主人公は今もまだあるんですよ。吹っ切れてもなく。

──相手の人もすごくズルいですよね。もう終わりなのに「最後のキス」なんて、後ろ髪を引くようなことをしていくという。

奥:そう、優しくない。でも嫌いになれないし、憎しみもあるし、それは愛しさなのかもしれないという。憎めるくらい人を愛せるかというと、なかなかないことかなって思うから。結構、相手のことが好きなんですよね。

──このまま相手のことを忘れられないとしたら、どんどん憎しみに変わっていきそうではありますね。大人の雰囲気がある関係でもあるし。

奥:あぁ、そうですね。二番目の彼女の感じというか。答えがないというか、行き止まりって片思いで終わることをそう思う人もいますしね。そこはあまり限定しないほうがいいと思って歌詞は書いているので、いろいろ想像してくれたらいいと思います。

──いろいろ膨らみそう(笑)。

奥:普段はライヴで歌った曲をレコーディングすることが多いんですよ。でも今回は弾き語りでも、スタッフの前ですら歌っていなかったんですけど、この前初めてライヴで歌ったんですよ。「あっ!こういう曲だったんだ」って弾き語りをして、自分でも初めてわかるみたいなこともありました(笑)。バンドのアレンジが出来た状態で歌詞を考えていくっていうのは作り方としてはかなり珍しいパターンでしたね。

──今後もこういう作り方はありですか?

奥:辛いからもうしないと思います。ちゃんと全部作ってからアレンジしてレコーディングしないと。そうじゃないとこんなに大変なんだなってわかっちゃったから。歌詞が変わるかもしれないから、レコーディングの時は歌わずに演奏だけしたんですよ。ピアノに立てているマイクに歌が入っちゃうので。だから、カラオケにした時に、違う歌詞がふんわり聞こえたら最悪じゃないですか。

──心霊現象か?って言われちゃうしね(笑)。

奥:そうそう(笑)。録音する時に、あまりわからないんだけど、違う歌詞だとわかっちゃうから。歌わずに弾いたのも難しかったですね。

──いつも弾き語りだと、歌ありきのピアノだものね。

奥:そうなんです。歌ありきの間だったりするので。みんなも歌を聴いて演奏するから、歌もなしでクリックもなしで演奏するってどういうこと?っていう(笑)。みんなもビックリでしたけど、それを普通にやっちゃうのもすごいなと思います。みんなすごい集中力でしたけどね。

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