ローランドが新製品発表、エントリー向けキーボードやスマホ用ミキサー、アコギ用アンプ、オーディオインターフェイス、ステージピアノなど多数リリース
ローランドが2月1日に新製品発表会を開催、新コンセプトのキーボード「GO:PIANO」、「GO:KEYS」、スマホで高音質での動画収録ができるミキサー「GO:MIXER」、アコースティック・ギター用アンプ「Acoustic Singer」、ステージピアノ「RD-20000」などを紹介した。
今回お披露目されたのは、1月5日にラスベガスで開催された世界最大の家電見本市「CES」、1月19日にアナハイムで開催された世界最大の楽器ショー「2017 NAMM Show」で発表された新製品。キーボード、ステージピアノ、音楽制作機器、ギター関連製品など多彩なラインナップが揃った。価格はいずれもオープンプライス(以下記載の価格はすべて税込の想定売価)。
■弾き語りに最適なハイエンド・アコースティック・アンプの「Acoustic Singer」2モデル
BOSSブランドからは昨年登場のWAZA AMP、KATANA AMPに続くアンプの新製品が登場。「Acoustic Singer」は、クリアで力強さのあるサウンドを実現したハイエンド・アコースティック・アンプだ。アコースティック・ギター用、ボーカル用の2チャンネル仕様で、それぞれディスクリート・アナログ・インプット回路と3バンドEQを搭載し、クリアでパンチのあるサウンドを生み出す。ギター・チャンネルにはコーラス、ボーカル・チャンネルにはディレイ/エコー、そして両チャンネルにはそれぞれリバーブと、エフェクトが充実しているのもうれしいところだ。
エレクトリック・アコースティック・ギター用プリアンプ 「AD-2」や、ギター弾き語りボーカリスト向けのプリアンプとエフェクトを凝縮した「VE-8」で好評のアコースティック・レゾナンスを搭載。ピエゾ・ピックアップのギターでアコースティック・ギター本来の自然で豊かな鳴りを取り戻すことができるこのエフェクトの効果は抜群だ。
▲フロントパネルにはコンボジャックのマイク入力とギター入力を用意(左)。つまみは上がマイク用、下がギター用とわかりやすい配置。デモはbonobos、LITTLE TEMPOのギタリスト小池龍平さん(右)。ルーパー機能を駆使してマイクからの声などでリズムを構築、その上にギターや自動ハーモニーを加えたボーカルを乗せ、とても1人とは思えない豊かなアンサンブルを聴かせた。
さらにパフォーマンスはもちろん練習にも活躍するルーパーや、ギターのコード進行から自動でキーを検出し、音楽的で自然なハーモニーをつけてくれる自動ハーモニー、音色変化を最小限にとどめたハウリング対策が可能なアンチ・フィードバックも搭載。弾き語りギタリストのライブ・パフォーマンスを強力にバックアップしてくれる。
ラインナップは120ワットの「Acoustic Singer Pro」(76,000円前後)と60Wの「Acoustic Singer Live」(52,000円前後)の2モデル。発売は2月11日の予定。
■BOSS COMPACT 40周年記念の限定モデル「DS-1-4A」
2017年で40周年を迎えるBOSS COMPACT Seriesからは新製品「DS-1-4A」が登場。シリーズ全ラインナップは118機種、現在も50機種以上のラインナップで販売されているBOSS COMPACT Seriesにおいて、最長のセールスで多くのロックギタリストの人気を集めているディストーション「DS-1」の限定カラーバージョンだ。精悍なブラックカラーにゴールドの文字やパーツをあしらったプレミアムモデルとなっており、1月末より発売中。価格は6,500円前後。2017年12月までの期間限定販売となっている。
■タフでコンパクトなデュアル・エクスプレッション・ペダル「EV-30」
「EV-30」は、スペースの確保に苦労するペダル・ボードシステムへの組み込みにも最適な省スペース設計のエクスプレッション・ペダル。アルミ・ダイキャスト製の堅牢で安定性に優れたボディにより、コンパクトなサイズながらBOSS伝統の信頼性と耐久性を確保している。トルク可動範囲が広いのも特徴の一つ。演奏ニュアンスをスムーズに表現できる。
▲省スペース設計でペダルボードに組み込むのも楽(左)。内部がわかる展示も用意されていた(右)。
接続端子は2系統のEXP OUTを搭載し、2つのペダルを同時にコントロール可能。それぞれの端子についてエフェクトの最小値を設定可能。極性切替のスイッチも用意する。1月末より発売中。価格は9,200円前後。
▲.strandberg*との共同プロジェクトによるプロトタイプも参考出展。
▲ハムバッカーをシングルコイルのサウンドに変えたり、さまざまなチューニングに瞬時に切り替えることが可能。
このほかギター関連では、新たなコラボレーション企画として、新進気鋭のギターメーカー「.strandberg*」とV-Guitarの共同プロジェクトがスタートしたことも紹介。詳細については後日発表とされたが、会場にはプロトタイプが展示されていた。Roland/BOSS長年ギター・シンセサイザーの開発に取り組んできたが、その最新版となるモデルだけあって、各種ギターのモデリングや変則チューニングへの対応に加え、ギターシンセへの対応が盛り込まれるという。正式発表が待ち遠しい製品だ。
■エントリー・キーボード「GO:KEYS」&「GO:PIANO」
▲赤いボディが映えるGO:KEYS。標準鍵61鍵ながら3.9kg(ACアダプタ除く)と軽量なのも特徴。
▲ピアノを楽しみたい人をターゲットにしたGO:PIANOには譜面立てとペダル・スイッチが付属。
Rolandブランドからは、初めて鍵盤楽器に触れる人でも気軽に、かつ本格的に音楽を楽しめる新しいコンセプトのキーボード「GO:KEYS」&「GO:PIANO」が登場。軽量・コンパクトなボディに高品位なサウンドを内蔵。鍵盤には象牙調の61鍵ピアノタイプの新鍵盤を採用する。2.5W+2.5Wのステレオ・スピーカー内蔵で、別途スピーカーなどを用意せずに演奏できるのもうれしいところ。さらに電池駆動も可能なので、いつでもどこでも楽しめる。
Bluetoothオーディオ/MIDI機能の搭載も見逃せない。スマホやタブレット内の曲をワイヤレスで「GO:KEYS」「GO:PIANO」のスピーカーから再生可能。YouTubeの動画のサウンドに合わせて演奏するといったこともできる。以上の機能は両モデル共通だが、それぞれ異なる特徴を持っている。
「GO:KEYS」は多彩なサウンドとパフォーマンス機能を使って演奏を楽しみたい人向け。注目はむずかしいことを考えずにどんどん曲が作れるループミックスという機能。ロック、ヒップホップなどダンス系を中心にループ・ミックス・セットを12種類内蔵。鍵盤にフレーズ・パターンがアサインされており、指一本でパターンの演奏が可能。カンタンにリズム、ベース、シンセやピアノのバッキングと次々にパートを重ねていける。もちろんこれに手弾きの演奏を加えることも可能だ。さらにパネル上のパフォーマンスパッドでエフェクトをコントロール、フィルターやロールといったDJっぽいサウンド変化を楽しむこともできる。「自動伴奏をカンタンに生成してくれてどんどん曲を作れるキーボードは今までたくさん出ているんですけど、何が違うのかと言うと、ローランドが本気を出すとやっぱりいいんですね。パターンそのものがとてもいいです。」「エレピやストリングス、ピアノ、一つひとつの音色がものすごくクオリティが高い」「見た目もかっこいいし、セカンド・キーボードとしてもばっちりおすすめできるんじゃないかな」とは、デモ演奏を披露した篠田元一さん。
▲パネル上のボタンはタッチ式。10に分かれたパフォーマンスパッドをなぞるように左右に動かすことでピッチ変化やビブラート、フィルターやロールなどのエフェクトをコントロールできる(左)。デモ演奏は篠田元一さん。GO:KEYSは指1本でカンタンに演奏できることを紹介。
一方の「GO:PIANO」はシンプルにピアノ演奏を楽しみたい人向け。ローランドのデジタルピアノのサウンドを継承した音色を搭載。高品位なピアノ10音色は、一音一音がピアノ特有の個性を持ち、タッチによる音色変化、表現力を実現。エレピ、オルガン、ボイス系音色など鍵盤初心者でも楽しみやすい計40音色を内蔵。また、無料のレッスンアプリ「Piano Parter」対応で、内蔵曲をタブレットに表示したり、音あてゲームを楽しむことも可能だ。篠田さんは「ローランド的にはエントリーモデルということなんですが、音はものすごくいいですね。しかもコンパクトサイズで鍵盤も標準鍵。タッチもこのクラスのピアノとしては抜群。とてもステキなピアノ」と評価。
エントリー・キーボードとして注目を集めること間違いなしの「GO:KEYS」「GO:PIANO」。いずれも43,000円前後で、発売は4月の予定。このほか、デジタルピアノ関連製品ではエントリー・ピアノとして好評の「HP603」のホワイトカラーモデル「HP603-WHS」が台数限定で登場。発売は2月の予定だ。
■スマホで高音質な動画作成ができるミキサー「GO:MIXER」
こちらも新しいコンセプトの製品。「GO:MIXER」は、スマートフォンでの高音質な動画作成を強力にサポートする、手のひらサイズの8イン/2アウトのミキサー。動画共有サービスやSNSに「演奏してみた」「歌ってみた」動画をアップしているアマチュアのミュージシャンに向けてのローランドが提案する製品だ。スマホのカメラの機能向上で画質はアップしたが、次は音質向上を目指そうというわけだ。キーワードとして紹介されたのは、「Smartphone Connection」「SNS動画」「MIXER」。これら3つのキーワードを1つのデバイスにまとめている。
▲カジュアルなブリスターパッケージで販売されるGO:MIXERはマイクやギター、スマホとともに展示(左)。サイズは縦横95mmで厚さは28mm、重量は100g
インプットはキーボードに最適なTSフォンタイプのステレオ入力1系統、ステレオミニ入力2系統(入力1にはセンターキャンセルも装備)、TSフォンタイプのマイク入力、ギター入力を装備。アウトプットはヘッドホン用のステレオミニと、スマホにステレオ出力するUSBタイプBを装備。つまり、オーディオインターフェイスの機能も備えているのだ。iOS、Androidに対応する2種類のケーブルが標準で付属するのもうれしいところ。また、Android端末にステレオ音声での録画を可能にする専用アプリを用意する。発売は3月予定、価格は11,000円前後。
■オーディオインターフェイスRubixシリーズは3機種をラインナップ
USBオーディオインターフェイスも一新。新たに「Rubix(ルビックス)」シリーズが登場。1998年に発表された世界初のUSB 1.1対応のオーディオインターフェイス「UA-100」以来、数多くの製品がリリースされてきたUAシリーズ。その高音質、低ノイズ、低レイテンシーといった基本性能を継承しながら、さらに使いやすくなった3機種をラインナップする。
▲入力はコンボジャック、コンデンサーマイクのファンタム電源供給も可能。LEDのレベルインジケーターは上からでも正面からでも確認しやすいデザインとなっている。
2イン/2アウトの「Rubix22」(20,000円前後)、2イン/4アウトの「Rubix24」(25,000円前後)、4イン/4アウトの「Rubix44」(36,000円前後)はいずれも24bit/192kHzの入出力に対応。広いダイナミックレンジと低ノイズを実現した新開発のマイクプリアンプを搭載。さらに上位機種の「Rubix24」と「Rubix44」はコンプレッサーとリミッターを搭載する。本体は高級感のあるメタルボディ、頑丈なのはもちろんPCからの電磁波を遮断。全出力はインピーダンス・バランス型出力回路によりケーブルから侵入するノイズも軽減。グラウンド・ループによるノイズを遮断するグラウンド・リフト機能も備える。また、ドライバーのインストールの面倒も解消。macOSとiOSではインストールが不要。Windows 10では自動ダウンロードされる。発売は「Rubix22」が4月、「Rubix24」と「Rubix44」が5月予定。
■コンパクトなモニタースピーカー「MA-22」、Bluetooth対応の「MA-22BT」
ステレオ・マイクロ・モニター「MA-22」シリーズは、デスクトップに最適な製品。アナログ入力モデル「MA-22」(20,000円前後)とBluetooth対応の「MA-22BT」(23,000円前後)の2機種がラインナップされる。
20W+20Wの2WAYバスレフ方式採用で、コンパクトながら迫力のサウンドを実現。デスクトップでの使い勝手を考慮し、フロントパネルに音量、EQ(BASS/TREBLE)のつまみを配置。ヘッドホン端子も用意する。入力はRCAピンとステレオ・ミニの2系統。Bluetooth対応の「MA-22BT」の対応プロファイルはA2DP、HFPでコーデックはSBC(SCMS-T方式のコンテンツ保護対応)。
■あらゆる演奏シーンをカバーするステージピアノ「RD-2000」
1987年の「RD-1000」登場から31年、新たなテクノロジーと現代のマスターキーボードの機能を取り入れたステージピアノの最新モデルが「RD-2000」だ。
音源にはデュアル・サウンド・エンジンを採用。そのうちの一つ、V-Pianoテクノロジー音源をアコースティック・ピアノだけに贅沢に使用。極上のピアノ・サウンドと待望の全鍵発音を実現している。もう一つのサウンド・エンジンSuperNATURALのサウンドは「RD-800」をベースにブラッシュアップ。エレクトリック・ピアノでは60年代、70年代、80年代、それぞれを代表するモデルを緻密に研究。SA音源を採用した「RD-1000」も忠実に再現している。さらにBOSS CE-1 ChorusやRE-201 Space Echoなどのエフェクターも新規モデリングにより搭載。専用設計のアンプシミュレーターとともにエレピの音作りに効果を発揮する。
SuperNATURAL音源にはピアノ以外のサウンドも1,100以上収録。コンボオルガン、クラビはオリジナルモデルと同等の音作りや演奏表現が可能。ストリングスやブラス、シンセサウンドもたっぷり収録する。また、サウンド・ライブラリー・サイトAxialから歴代のRDサウンドを無償でダウンロードすることも可能だ。こうしたサウンドのポテンシャルを最大限に引き出すために、鍵盤部には安定したタッチと高い耐久性を備えた、木材と樹脂によるハイブリッド鍵盤PHA-50を採用している。
ボディは金属製、LED付きロータリーエンコーダーとスライダーを採用。高い視認性と堅牢性で激しいライブにも対応(左)。デモ演奏は篠田元一さん。音やタッチ、機能もいいが、PCのプラグインシンセをソフト音源でないような感覚で使えるのが利点とコメント。
注目は、現代のステージや制作現場に対応するマスターキーボード機能。PCを含む外部音源のパラメーターや音色切り替えを本体パネルで操作可能。さらに最大24bit/192kHz対応のオーディオインターフェイス機能も搭載し、PCからのサウンドと「RD-2000」本体のサウンドをミックスして出力したり、SUB OUTを利用して別々に出力することも可能。PCとの接続がUSBケーブル1本で済むのもポイントだ。「RD-2000」は250,000円前後で3月発売予定。
■月額制でソフトシンセが使い放題のクラウドサービス「Roland Cloud」
発表会のラストには、NAMMで発表された新たなサービス「Roland Cloud」とコミュニーケーション技術「RAINLINK」が紹介された。Roland Cloudに登録すれば、月額制でACB PLUG-OUTシンセを使用可能。さらに8TBの容量の高解像度ソフトシンセの新シリーズにもアクセスできる。膨大な容量のソフトシンセはダウンロード不要。ユーザーの持つ電子楽器で演奏したデータをRAINLINKテクノロジーにより高解像度データで手元のデバイスに保存し、Roland Cloudにアップロード、クラウド上でレンダリングすることで高解像度のオーディオデータに変換し、手元にダウンロードできるという。今後発表されるRAINLINK対応のハードウェアやクラウドレンダリングの手法を用いることで、作曲家やゲーム音楽のクリエイターなど、DAWやソフトのユーザーの表現の幅を拡げ、クリエイティブなコントロール方法やかつでないレベルのリアルさを実現できるとのこと。日本でのサービス開始が楽しみなサービスだ。
▲Roland CloudにはSH-101やSH-2といったPLUG-OUTシンセや、8TBのサンプルによるフラッグシップバーチャルピアノTERA PIANOなどがラインナップされる。
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