【インタビュー】ONE☆DRAFT、10周年の節目「ただ音楽を続けていられれば、それでいい」

ポスト

剛速球で三振を取ることしか考えないピッチャーのように、真っ向勝負で音楽に挑んできた10年間がここにある。2017年にデビュー10周年を迎えるONE☆DRAFTの、レーベルを超えたオールタイム・ベスト『俺タチのまとめ盤』は、シングル中心に未発表曲を含む2枚組全33曲。LANCE(MC&Vo)、RYO(Vo)、MAKKI(DJ)の鉄壁のトライアングルが生み出す、熱く拳を振り上げるガチうた、男心の本音をさらす泣けるラブソング、理屈抜きにブチ上がるパーティー・チューンの、時を超えてなんとみずみずしいことか。心はヤンチャな少年のまま、たくましく成長を遂げた3人が、過去、現在、そして未来について語ってくれた。

◆ONE☆DRAFT 個人アーティスト写真

  ◆  ◆  ◆

■入るべき曲が入ったのかな
■途切れてない感じがあります

――お久しぶりですけど、そんなに変わらないですね。老けた感じはしない(笑)。

MAKKI:ありがとうございます(笑)。でもさすがに、デビューの時と比べたら多少老けたかなと(笑)。

RYO:25歳から35歳だからね。

――体力は?

RYO:それは変わってないかもしれない。むしろ増えたのかもしれないです。ライブに関しては。

――アスリートも、30代になってからのほうが力が出るって言いますからね。そして、目の前にあるのが、10年間の軌跡をまとめたベストアルバム。これはまず、どういう基準で選曲していったのか。

LANCE:今まで出したシングルを全部並べて、そこからは、ファン投票までは行かないけど「これは絶対ライブで聴きたい」というコメントがあったものを優先的に。CDを買う人のほうが数字的には多いけど、ライブに来てくれる人たちしか僕らには姿が見えてないから、そういう人たちの推し曲を自分らなりにまとめたというか。これは僕らにとって大事な曲だからとか、そういう思いは逆にないですね。リスナー中心です。

――ああ。なるほど。

LANCE:それとDISC-2の「まだ止まれない」という新曲は、新曲と言えるほど新しくはないですけど、ずっとライブでやってきた曲だったから。生でしか聴けなかったものを、家でも聴いて覚えてくれたらと思います。

MAKKI:福岡ソフトバンクホークスの“どんたくシリーズ”(2011年)で流れるテーマ曲として作ったんだよね。

LANCE:リリースの予定もあったんですけど、タイミングが合わなくて。ライブだけでやってたら、いつのまにか勝手にプレミアがついちゃったみたいな。今回、プレゼント的な感じで入れられて良かったですね。

▲LANCE

――このアルバムのために、10年分聴き直すわけですよね。何か、心によぎるものはありましたか。

MAKKI:あらためて確認すると、かなり出してきたんだなということは感じましたね。アルバムが7枚あって、ミニアルバムとシングルがあって。

――自分の変化を感じます? 個人的な目線で。

MAKKI:そうですね、最初から、変化球を投げようとは思ってなかったんで。そんなに大きな変化はなく、自然になるようになってるんだろうなという感じはしますけど。

――しかもライブでやってますからね。今さら「フルサト」を聴いて懐かしいと思うこともなく。

RYO:ミュージックビデオを見ると懐かしいですけどね。曲はいつまでも年を取らないかもしれない。

――RYOさん、このベストについては?

RYO:曲を選ぶのにすげえ悩むというよりも、「これは入れるべきでしょ」というふうに、ポンポンと決まっていったので。入るべき曲が入ったのかなという感じです。10年間、長いようであっという間ですよね、振り返ると。

――良い意味でメッセージが変わらないのも、曲の印象が変わらない理由かなと思うんですよ。たとえば「スタートライン」とか、わりと最近の曲ですけど、気持ちとしては新人みたいな曲だし。LANCEさん、歌詞の面では、何か変わってきた自覚はありますか。

LANCE:変わって…ないと思うんですけど。デビュー前は、生まれてからデビューするまでの人生を書けたんですが、たとえば今書くとしたら、最近から今日までみたいな、スパンの短い曲になってくると思うんですよ。デビュー曲の「フルサト」を書いた時には、これまでの人生を振り返って、いきなりデビュー曲で最後みたいな曲になったんですけどね。それが物語っているように、曲を書く歴史というものがあって。たとえば高校の時のことを「青春の雨(なみだ)」で書いたり、自分の人生をいろいろ埋めていくと、埋まってない隙間がだんだん減ってきたみたいな。だから今後作る曲は、新しい内容にしたいというふうに、シフトしていった感はあります。

――それは確かに。

LANCE:ただ、青春の歌を歌っても夢の歌を歌っても、角度が変わって来るだけで、結局同じ夢を見ているわけで。そう考えると、変わってないというよりは進んでいるという感じはありますね。途切れてない感じがあります。

――途切れてない。いい言葉。

LANCE:高校時代だったら、3年間で一区切りですけど、デビューから10年たっても卒業してないから、ずっと続いてる感がある。変わってないというか、懐かしくないというか、あっという間というか。そんな感じですね。

――MAKKIさん。特に思い入れの強い曲とかあります?

LANCE:「神田川」じゃないか?

――あはは。人の曲じゃなくて!

LANCE:前に住んでた家の前に神田川が流れてて。九州から出てくる前に「神田川」を聴いてたんですけど、こんな小さい川かと(笑)。

MAKKI:それはともかく(笑)。何だろうなー。それぞれに思い出があるんですよね。

RYO:1曲と言われると、「フルサト」かな。曲作り、レコーディング、ミュージックビデオ撮影、何もかも初めてで、とにかく緊張してましたね。あのミュージックビデオに出てくれた俳優の石田卓也くんは、のちに『リアル鬼ごっこ』とかで売れて。僕らのミュージックビデオに出た俳優は売れていくって、3人で言ってたんですよ。

LANCE:「ラヴソング」の中尾明慶くんもそうだし、「情熱」に出てくれたジャイアンツの坂本勇人くんもね。当時はルーキーで、一番ヒマだといって出てくれたのに。そこから一度二軍に落ちて、這い上がって、チームリーダーになっていった。
この記事をポスト

この記事の関連情報