【インタビュー】有村竜太朗、個人作品集完成「純度がものすごく高い」

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■ソロは自分の理想を追いかける作業
■より掘り下げていくことになる

──「魔似事」は退廃感のある曲ですが。

有村:この曲は自分らしいというか、最近のPlastic Treeにありそうな曲なんですけど。やってみたかったのはアップライトベースを使ったりとか、こういう曲なんだけどサウンド感を変えて実験してみたいというのはありました。それもできて良かったですね。ゲストミュージシャンはいないですけど、これも「蜉融」と同じような感じで、個人的な実験ができた曲ですね。

──そのアップライトベースも鳥石さんが弾いているんですか? これまでプレイしたことはあったんですかね。

有村:僕が使ってほしくて、「やってみてくれない?」ってお願いしたら、どこかから借りてきてくれたんです。使ったことはほぼないみたいでしたけど(笑)。

──アップライトって、「魔似事」以外の曲でも使ってますよね?

有村:「また、堕月さま」もそうですね。「鍵時計」は最終的に普通のベースになったんですけど、当初はアップライトだったんです。なんか僕、アップライトが好きで、ほぼ全曲でアップライトを試しましたね(笑)。Plastic Treeでもやったことはなくて、ソロをやるなら、やっぱりアップライトベースをなるべく入れたいなって。あと、この曲ではライヴでしか使ったことがない、もう15年くらい音を出してないんじゃないか?っていうギターを引っ張り出してきて。ギブソンのES-335なんですけど。それを音出るのかな?っていうところからはじめて(笑)。

──その音がどうしても欲しかったんですか。

有村:ちょっとヌメッとした音の感じがいいよねっていうので、「じゃあES-335とか合いそうですね。そういえばうちにあったな」と。でも、音出るのかな?と思ったけど、意外といい音してたので、「これで録りましょう」という。

──そういうことがどんどん試せるような環境で、制作やレコーディングもリラックスした感じだったんですね。

有村:ほんと、思いつきでやっていたりするんですよ。

▲個人作品集 1996-2013『デも/demo』通常盤

──バンドのみなさんもそれぞれ自分の色を出してるような曲も多いですが、そういったところも求めていたんですか。

有村:それはありました。はじめに僕が作ったデモのままやろうとすると、それはそれでいいんだけど、むしろ壊してほしいんだよねって。もちろん曲によるんですけどね。特にリズム隊のふたりには、よく言ってました。リズムに関しては僕はわからないから、素晴らしいプレイヤーだと思って誘ったわけだから、思いつくこと全部やってみてっていう感じだったんです。

──改めて、曲作りからアレンジをして仕上げていくプロセスはPlastic Treeでの方法論と同じような感覚ですよね? ソロとの違いはどういうところになるんでしょう。

有村:変わらないと言えば変わらないんですけど、まずプレイヤーが違うから全部違うと言えば違うかな。あとは、例えば僕が作って僕が歌詞をつけた曲だとしても、Plastic Treeって不思議なもので、メンバーみんなそうなんですけど、自分の理想どおりの曲になると基本的にボツにするんです。

──えっ!?

有村:僕の場合はリズムやベースもなんとなく入れて、ギターは弾くのが好きなのでたくさん重ねて、歌メロも入れたデモを曲出しで提出して。みんなで聴いたときに、これ以上の発想ないねってなると、なんかやめちゃうんですよ。

──Plastic Treeの曲として持っていくときに、(ナカヤマ)アキラくんならこういうギターを弾くだろうなとか考えながら作ってるわけですよね?

有村:考えないんですよね。こんな感じのものを作りましたって持っていって、みんながプリプロで参加したときにすごくよくなって、俺のギターなんか全部ボツでいいやって感じにならないとダメというか。もっといいフレーズやリズムをつけてくれて、初めて採用となるんです。じゃあ、もっといいメロディをつけようってなるんですよね。だけど、そうならないものは、僕は特にすぐに仕舞ってしまうんです。で、そういう曲がまた溜まっていく。ソロの場合は、自分の理想を追いかける作業で、より掘り下げていくことになるんですよね。曲が進んでいく過程は同じような感じですけど、方法論がまた違って。なので今回は、個人としての純度はものすごく高いものです。

──実際にこうしてソロ作品を作ってみて、充実感はこれまでと違ったものがありますか。

有村:充実感、うん、そうですね。Plastic Treeはもう長く同じメンバーでやっているバンドで、そこに対しての自負はあるんです。自分の人格はもうPlastic Treeから生まれているくらいのものはあるんです。でもそこでは“バンド”の理想があって、自分もその一員としているんですけど、今回初めてものを作るというところにより踏み込む作業、自分の理想を突き詰める作業をしたなという感じですね。もちろん今回は自分だけで作ったわけではないですけど、起点が自分だということで大きく違いますしね。あとは、やることが多いなと(笑)。こんなエネルギー量がいるのか!っていう。だから二度とできないかも、と思いましたけどね。

──それは残念ですけど(笑)。

有村:でも、やりたいことが逆に増えたんです。やりたいことがいっぱいできて、このアルバムを作るのにもどんどん時間が足りなくなっていったので。これからもPlastic Treeも、個人活動も、続けられたらなとは思うんですけど。

取材・文◎吉羽さおり



■個人作品集1996-2013『デも/demo』

2016年11月23日(水・祝)発売
【初回盤A】¥3,700+税/IKCB-9550~1 ※タイトル手書きシール付
<DISC 1>
1.幻形テープ/genkeitêpu
2.浮融/fuyuu
3.魔似事/manegoto
4.また、堕月さま/mata,otsukisama
5.うフふ/ufufu
6.猫夢/nekoyume
7.鍵時計/kagidokei
8.恋ト幻/rentogen
9.op.1 ※幻形テープ/genkeitêpu AC Ver.
9.op.2 ※浮融/fuyuu AC Ver.
9.op.3 ※また、堕月さま/mata,otukisama AC Ver.
<DISC 2>
[DVD]『有村竜太朗 映像作品集2016』
【初回盤B】¥3,700+税/IKCB-9552~3 ※タイトル手書きシール付
<DISC 1>
1.幻形テープ/genkeitêpu
2.浮融/fuyuu
3.魔似事/manegoto
4.また、堕月さま/mata,otsukisama
5.うフふ/ufufu
6.猫夢/nekoyume
7.鍵時計/kagidokei
8.恋ト幻/rentogen
9.op.4 ※猫夢/nekoyume AC Ver.
9.op.5 ※鍵時計/kagidokei AC Ver.
9.op.6 ※恋ト幻/rentogen AC Ver.
<DISC 2>
[DVD]『有村竜太朗 映像作品集2016』
【通常盤】¥2,500+税/IKCB-9554
1.幻形テープ/genkeitêpu
2.浮融/fuyuu
3.魔似事/manegoto
4.また、堕月さま/mata,otsukisama
5.うフふ/ufufu
6.猫夢/nekoyume
7.鍵時計/kagidokei
8.恋ト幻/rentogen

■<Tour 2017「デも/demo」>

2017/1/12(木) 大阪梅田AKASO
2017/1/13(金) 名古屋ボトムライン
2017/1/23(月) 品川ステラボール
開場/開演 18:00 / 19:00
▼チケット
¥5,500(tax in) スタンディング
入場時別途ドリンク代必要、3歳以上有料、3歳未満入場不可
一般発売日 2016年12月18日(日)

◆有村竜太朗 オフィシャルサイト
◆有村竜太朗 オフィシャルYouTubeチャンネル

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