【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.36「史上最高地ロッキン・ハイライブの結果は?」
昨年「Hiroのもいもいフィンランドvol.14」でお伝えした「ヘルシンキのロックバンドAncarA エベレストのベースキャンプ標高5364mで史上最高地ロッキン・ハイライブを計画」がその後どうなったかをお伝えしたいと思います。
このロッキン・ハイライブに出かけたのはヘルシンキのロックバンドAncarA。このライブの計画を進めるうち、まずは参加に難色を示したベーシストとドラマーが脱退。新メンバーを加え約2年間の準備期間をえて史上最高地ロッキン・ハイライブに挑んだのは、このメンバー。
Sammy Salminen(サッミー・サルミネン)ヴォーカル
Gary Keskinen (ギャリー・ケスキネン)ギター&キーボード
Juha Wahlsten (ユハ・ワフルステン)ギター&バッキングボーカル
Toni Hintikka (トニ・ヒンティッカ)ベース
Rale Tiiainen (ラレ・ティーアイネン)ドラム
このロッキン・ハイライブは準備期間中から撮影されていて、今年ドキュメンタリーとして劇場公開された後、この秋フィンランドの国営TVで放送されました。
準備期間中、まずはレコード会社との契約を試み、ソニーを訪れるSammyとGary。ロッキン・ハイライブ計画を聞き、曲をきいたソニーの担当者、こんなめちゃくちゃな計画をするのはヘヴィーなメタルバンドかと思いきや、クリアでピュアサウンドのロックバンドというのに驚いた様子。メンバーの年齢が40歳前後というのに難色を示し、結局契約には至らず。そして当然ながらこのライブ実行には資金も必要。一般公募した寄付金は目標額に達しなくて返却。人口1000人にも満たない村トゥーリにあるフィンランド最大のデパート(日本人的にはデパートに思えないのではありますが…)のオーナーに資金援助を求めるものの乗り出してもらえずで難関続きに。最終的にSammyが何とか資金を集めメンバーは夢の史上最高地ロッキン・ハイライブに向けて出発!
最初の予定だったエベレストのベースキャンプ標高5364mでは演奏許可がとれず、許可が取れた標高約4500mのネパールのディンボチェ村でライブを行うことに。ここまでたどりつくのに2週間かかったそうです。その間、多かれ少なかれ皆高山病に悩まされたとのこと。Sammy、Gary、同行した聴覚障害のあるラッパーsignmarkと撮影スタッフはベースキャンプにも足を運んだそうです。
そして2015年11月15日夢の史上最高地ロッキン・ハイライブを無事行うことができました。ベースキャンプは無理だったものの、史上最高地ロッキン・ハイライブを行なったことには違いありません。この時の様子をミュージックビデオに収めています。壮大な眺めも素晴らしいですが個人的にはこの曲も大好き!ぜひ見て聴いてみてください。
ギタリストのGaryによると、この旅で現地で一番きつかったのは体力的に会場まで歩いた道のり。そしてネパールの現地の人々の厳しい生活状況を目のあたりにするのもつらかったそうです。
この史上最高地ロッキン・ハイライブ、ギネスブックに登録の予定だったのですが、最後に笑えないオチが…ギネスブックに登録するには現地でチケットを売る必要があったとのこと。チケットを売らずにライブをやったのでギネスブック登録には至りませんでした。ということで、今後計画される方がいたらご注意を。
夢実現の後さぞかしメンバーの絆が強いものになったのかと思いきや、このあとギタリストのGaryはバンドを脱退。彼に話を聞いてみると、「この経験は俺たち皆の人間性を成長させ、それぞれ生きる方向を見つけることができた。決して後悔はしてない」とのことで、さっそく新しいバンドForte Silenceを結成。さらには音楽的な夢に向かう若者の毎日を追うネット番組に取りかかっているとのこと。そして夢について語ってくれました。
「人生は1度しかないってことを忘れずに夢に向かって進むべきだ。もし試みることをしなければどこにも進めない。人生は経験からなり、経験はいろんなことを教えてくれる。たとえそれが悪い、または良い経験であっても。ただ夢がいつも自分をハッピーにしてくれるわけでもない。幸せは今のこの瞬間にあるってことも忘れないでいたい」
とのことです。
ちなみに自分の夢の一つは日本でフィンロックフェスの開催!実現はかなり難しそうですが(笑)夢見るのは自由!もう一つは大好きなアーティスト、アダム・ランバートに会ってお話してみたい!かなうかなわないは別として夢はいつまでも持ち続けたいです。かなわなければほんとにいつまでも持ち続けることになりますが(笑)。
文:Hiro
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