【レポート】VAMPS主宰＜HALLOWEEN PARTY 2016＞最終日、「年に一回しかこの格好出来ないから困っちゃう」

VAMPS主宰＜HALLOWEEN PARTY 2016＞が10月30日、5DAYSの全日程を大盛況のうちに終了した。この一大パーティーは、神戸ワールド記念ホール2DAYSおよび幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール3DAYSで行われた大規模なもの。その最終日となった幕張メッセ国際展示場9・10・ 11ホールにはYOSHIKI×HYDEのサプライズ競演も実現、10回目を迎えたハロパ5DAYSファイナルのオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆＜HALLOWEEN PARTY 2016＞ 画像

開催10回目を迎えたVAMPS主宰ハロウィン・ライヴイベント＜HALLOWEEN PARTY 2016＞は、今年も神戸ワールド記念ホールで2日間、幕張メッセ国際展示場9・10・ 11ホールで3日間開催され、計5日間で総勢31組のアーティストが出演、約6万人の観客を熱狂させた。その日本最大級のハロウィン・ライヴイベントが10月30日、幕張メッセ国際展示場9・10・ 11ホールにて華々しくファイナルを迎えた。

「HAPPY HALLOWEEN！　実に不気味な夜だ。こんな夜はモンスターたちを集めて合コンしたいなぁ」



HYDEのユニークなナレーションが始まりを告げた最終日、その先陣を切ったのはBREAKERZだ。幕張初日はモンスターハンター、2日目はDAIGOとして自身が出演するCMでもおなじみの天使の仮装をした彼らが最終日に選んだのは、前日に出演したオリエンタルラジオ率いるRADIO FISHだった。DAIGOが中田、AKIHIDEとSHINPEIがダブル藤森となり、「HYDEこそがPERFECT HUMANだ」と讃える替え歌とキレのあるダンスでBREAKERZ版「PERFECT HUMAN」を披露。途中でDAIGOがHYDEのお面をかぶると場内のテンションも急上昇していく。歌い終ったDAIGOは、「お面を使いたいと言ったら、”どうぞどうぞ”と言ってもらえた」とHYDEの公認であることを報告して場内の笑顔を誘った。

ひとしきり観客を沸かせた後は、「BAMBINO～バンビーノ～」を筆頭にアッパーチューンを連発し、「REAL LOVE」で中田(DAIGO)と藤森(AKIHIDE)がキスする場面では場内に黄色い声が響きわたり、トップを見事に務めた。




「＜HALLOWEEN PARTY＞ではみなさんも主役です」──やまだひさし

MCのやまだひさしが言うように、ハロパは観客のハイクオリティな仮装も楽しみの一つ。その中から、VAMPSメンバーのお眼鏡にかなった優秀者たちがランウェイを歩く『HALLOWEEN COLLECTION』のコーナーには、この日も気合の入った仮装姿の観客が続々と登場。HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRAからも、『刀剣乱舞』の鳴狐に扮した分島花音、神戸公演に出演した時よりもグレードアップした『バイキンマン』姿のShinya(DIR EN GREY)、棺を引きずった柩（ナイトメア）が『勇者ヨシヒコ』の仮装で登場し、オーディエンスを沸かせた。


続いては、ハロパ初登場となる和楽器バンドだ。その名の通り、和太鼓や津軽三味線、箏や尺八といった和楽器を武器にしたバンドサウンドは独特かつ新鮮だ。ボーカロイド曲で知られる「千本桜」もコブシの効いた歌声と肉感的な和グルーヴで飲み込み、観客の心を虜にする。

そんな7人の仮装のテーマは、戦に敗れた武将をイメージしたという和装ホラーだという。中でも、観客が大熱狂したドラムとの壮絶なバトル演奏を披露した貞子姿の和太鼓の黒流は、「呪うよ？　実家にも出るよ？　呪いのBlu-ray送るよ？」というMCでも会場の心をわしづかみにした。詩吟や民謡の影響を匂わす妖しげな旋律もハロウィンにぴったりで、初登場とは思えない盛り上がりのままステージを終了した。


ミニスカートのピカチュウ姿で登場したのは、2度目のハロパ出演となる『THE ROAD TO HALLOWEEN PARTY 2016』幕張1位のBooing!!! 。ポケストップと化した音楽プロデューサーも巻き込んだポップなステージを披露した。


モノノフの掛け声がこだまして始まったのは、今回が3度目のハロパ出演となるももいろクローバーZだ。幕が開くとのび太に扮した佐々木彩夏がまず登場。「＜氣志團万博＞の時に「セクシーを用意しろ」ってHYDEさんに言われたけど準備出来なかったよ～」とぼやき、寸劇がスタートした。続いてスネ夫（高城れに）、ジャイアン（玉井詩織）、しずかちゃん（有安杏果）、ドラえもん（百田夏菜子）も登場。「身の丈にあったセクシーでいいんだよ！」と全員が納得したところで、「BIONIC CHERRY」を熱唱していく。

「スターダストセレナーデ」ではアリーナに降り、歌いながら小走りで観客にお菓子を配るなど、ファンサービスも忘れない。5人のキュートな歌声と笑顔とサプライズな演出に、もはや誰もがメロメロ状態となった。観客の仮装のレベルの高さに関心した百田の、「みんなかわいいね」というMCの後は、最新曲「ザ・ゴールデン・ヒストリー」の披露だ。選曲や曲順も含め、バンド好きが大半を占めるハロパの観客も大いに盛り上がる充実のステージだった。



最終日のSPECIAL PERFORMERはAKiだ。明希(シド) としてHALLOWEEN JUNKY ORCHESTRAのベーシストも務める彼だが、この日はソロとしてSPECIAL ACT STAGEに登場した。オッドアイのヴァンパイア姿で現れたAKiは、チャッキー（G/佑聖）やピンヘッド（G/加藤貴之）、フレディ・クルーガー（Dr/宮上元克）に扮した強力なバンドを従え、エモーショナルなラウドチューンを熱演する。11月発売の新曲「STORY」演奏後は、ベースを高く掲げて投げキス。そのセクシーなパフォーマンスにハートを射抜かれた人が続出したことに間違いないだろう。



ひときわ大きな歓声と拍手に迎えられスタートしたのは、『VAMPSのホラーショー』だ。フロートに乗って現れたのは、ジャック・オー・ランタン姿のARIMATSU、ブギーマンのJIN、フランケンシュタインのJu-ken、そして軍服を着た狼男のK.A.Zといった面々。4人が「HALLOWEEN PARTY-DOLLS Ver.」を演奏し始めると、ステージ前のブロックを囲むように突き出したランウェイを女の子がワゴンを押して歩き出す。ワゴンの上に乗せられているのは、なんと「HALLOWEEN PARTY」のミュージックビデオに登場する吸血鬼姿のHYDEの生首だ。人形と思いきや、生首は曲に合わせて左右に揺れ、ときおりまばたきしながら歌っている。メインステージに現れた首ナシ吸血鬼が生首を取り戻すと、棺の中から現れたのは吸血鬼HYDEだった。ハットやジャケットに赤いモチーフが加わりヴァージョンアップした吸血鬼だ。吸血鬼HYDEがデスボイスで「KYUKETSU -SATSUGAI VAMPS Ver.」を歌うと、たちまち場内はヘドバンの坩堝に。


「INSIDE OF ME」ではステージにゾンビが大量出現した。「Lucy in the Sky with Diamonds」ではそのゾンビを振り切り、花道に現われたスチームパンク風の飛行船型自転車に乗り込み、お菓子をばら撒きながら観客の頭上をサブステージまで空中移動する。K.A.Zもフロートでサブステージへ移動すると、ゾンビもアリーナへ這い出すなど、オーディエンスは気が気でない。

「よく来てくれたね。今日はやっと普通の姿に戻れて嬉しいよ。年に一回しかこの格好出来ないから困っちゃう」──HYDE

吸血鬼HYDEによると、VAMPSのこの日の仮装のテーマは「「HALLOWEEN PARTY」の歌詞に登場するモンスターたち」だとのこと。だがフランケンシュタインだけが歌詞になく、「来年は違うのにしようね」とHYDEに言われうなづくJu-ken。するとHYDEはおもむろに、「今年もやるよアイス・バケツ・チャレンジ！」と、ALS患者である友人の回復と、ALSという病への理解と治療研究の支援を願い、ハットを取って氷水をかぶった。

「あ～～っ‼!　冷たいっ!!!　ぶっ放すぞー」──HYDE


ラストを飾った「SEX BLOOD ROCK N' ROLL」を歌い終えた吸血鬼HYDEは、ゾンビたちに棺に押し込められ、K.A.Zのギターの音が高く叫んだところで幕が降ろされた。

「結局HYDEさん、どうなったんだろうね」──やまだひさし

ステージに再登場した司会のやまだひさしが観客の心を代弁した。その後、やまだは個性あふれる仮装をほどこしたオーディエンスたちを紹介、この日も日本中から集結していたことはもとより、中にはカナダやチリから来たという海外勢も。

「さてさて、いよいよパーティも大詰め！」というHYDEのナレーションの後は、幕の向こうからHALLOWEEN JUNKY ORCHESTRAの奏でる「Penalty Waltz」が聞こえ出す……のが恒例なのだが、ざわめく場内に聞こえてきたのは優美なピアノの音色だった。幕が開くとそこにいたのは、吸血鬼姿のHYDEとピアノの前に座るYOSHIKIの姿が。「え⁈　本物？　ニセモノ？」というざわめきの中、スクリーンにデヴィッド・ボウイの『アラジン・セイン』メイクをしたYOSHIKIの笑顔が映された瞬間、凄まじい歓声と割れんばかりの拍手が会場に轟く。やがてYOSHIKIのピアノだけをバックにHYDEがゆっくりと歌い出したのは、X JAPANの「Say Anything」だ。深く響く調べと歌声に、多くの人が涙を浮かべて立ち尽くしているのが見える。


「僕のコンサートはよくこういう時にニセモノが出てきますけど、本物です」というHYDEのMCに微笑むYOSHIKI。花道を歩きたいというYOSHIKIの希望で、2人が花道でトークを続ける。YOSHIKIのデヴィッド・ボウイのメイクはハロパを意識したものだという。時折脱線しながらの2人の微笑ましいやりとりに、会場からは大きな笑い声が上がった。

「今日は本当に来てくれるまで信用してなかったんですよ（笑）。いろいろ伝説もお持ちじゃないですか」──HYDE
「来ますよ。HYDEのためだったら。今朝ロサンゼルスから着きました。夢の中にいるみたいです。いいね、ハロウィン」──YOSHIKI
「いつでも席、空けとくんで」──HYDE

今回のサプライズ出演は、先日開催された＜VISUAL JAPAN SUMMIT 2016＞での2人の競演がきっかけで実現したとHYDEが言う。その際も「Say Anything」はYOSHIKIのピアノとHYDEの歌だけで披露された。

「その時に（共演した曲が）もう1曲あったじゃないですか」──HYDE
「HYDEの声があまりにも素晴らしくて。この曲、僕大好き」──YOSHIKI
「リハの時も「この曲いい曲だね」って言ってくださってね。光栄です」──HYDE

YOSHIKIが大好きな曲とは、L’Arc～en～Cielの「MY HEART DRAWS A DREAM」だ。流麗なピアノの調べと力強い歌声が溶け合うと、やがてそれは観客の歌う柔らかな声だけとなり、そして、またそこにYOSHIKIのピアノとHYDEの歌声が重なっていく。それはもう、永遠に続けばと願うほどの美しい時間だった。

歌い終えた2人はセルフィーを撮り(この写真はYOSHIKIのインスタグラム、Twitterにアップされた)、「こんな素晴らしいイベントに呼んで頂いてありがとうございます。感謝してます」とYOSHIKI。HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRAのコーナーでは「X」を歌うのが恒例だと知ると、YOSHIKI自ら何度も、「We Are…」とコールし、観客も「X！」とジャンプしながらレスポンスを。HYDEとハグを交わしたYOSHIKIがステージを去ると、HYDEが奏でるテルミンの音で曲を当てる「曲当てQUIZ」がスタートした。



珍回答が続出する中、テルミンの迷（？）演奏の責任を取ってHYDEが1人で「X」を歌うことに。すると突然、背後からHYDEのギターを抱えたYOSHIKIが登場。YOSHIKIのギター演奏でHYDEが「X」を歌いながら観客とコール＆レスポンスするという、夢のような共演が実現した。さらにその後、YOSHIKIは自らすすんでクイズにも参加し、HYDEとともに箱の中身を当てる罰ゲームも行ない、宴を大いに盛り上げた。



予想をはるかに超えるYOSHIKIのエンターテイナーぶりに、「CGだからねあれ、多分」とHYDEも笑顔だ。さらに、「自分の演奏でYOSHIKIさんが歌ってくれると思わなかった」とHALLOWEEN JUNKY ORCHESTRAのYUKI(Rayflower,DUSTAR-3)が言うと、「まさかYOSHIKIさんの後ろでドラムが叩けるなんて。高校の時にYOSHIKIさんを見てツーバスにした」と淳士(SIAM SHADE, BULL ZEICHEN 88) も感激だ。

あまりに濃密過ぎる5日間を振り返り、「ステージ降りた瞬間からハロロスが始まります」と語ったのはDAIGO。「こんなにみんなが楽しみにしてるイベントはないんじゃないかな」と、アザラシ大佐に扮した逹瑯(MUCC)も語る。そして全員でアリーナに降り立ち、客席にお菓子を撒き入れながら、観客とともに計5日間の余韻をかみしめた。



記念すべき10回目にふさわしく、日本のロック史に残るであろう夢のサプライズ共演も実現した＜HALLOWEEN PARTY 2016＞。出演者はもちろん、観客の仮装のクオリティも年々上がっていくのもハロパの醍醐味だが、果たして次はどんな驚きと進化が待ち受けているのか？　早くも期待が高まるばかりだ。

取材・文◎早川加奈子
撮影◎今元秀明／緒車寿一／田中和子



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