【インタビュー】PENICILLIN、結成25周年第1弾に「1度の人生、死にもの狂いで」

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■空撮映像を見ていると創作意欲が湧いてきたり
■もっとそのツボを明確にして作るのも面白い──O-JIRO

──楽曲においての新たな挑戦という意味ではどうですか?

千聖:バラードの「月の魔法」という曲は僕が作った時は全然意識してなかったんですけど、PENICILLINには珍しい8分の6拍子の曲ですね。あとHAKUEIくんの作った「見えないナイフ」は、僕は作らないメロディラインなので、面白くていろいろ味付けをしたいなと思いました。自分が作った曲「戦慄迷宮」「Dead Coaster」「Stranger」「月の魔法」とかは自分発信なのである程度完成形が見えているから、想定内なんですけど、「この曲はどうなるんだろう」「このBメロの展開はやったことないな」ってドキドキしましたね。PENICILLINの面白さ、バンドマジックが如実にわかりやすく出た曲だと思います。

──今も生まれてきた曲にドキドキできるのが25年続いてきた秘訣でもあるんでしょうね。

千聖:ああ(笑)、いちいちドキドキしてますからね。

──アトラクションも含め、いろいろとドキドキしている3人なんですよ。

千聖:JIROさんの作った「瘡蓋」も自分にはないアプローチなので、ギターをグイグイ乗せていくのが楽しくて仕方なかったのも確かですね。「月の魔法」は自分で作ったときのイメージより最終的には80’sアメリカンハードロックな感じになっちゃったけど。

O-JIRO:バラードだけどハードロックだもんね。

──ギュイーンって入ってくるギターのタイミングが千聖さんらしくもあり、カッコいいと思いますよ。

千聖:ありがとうございます。ドライヴ感が出したかったんですよね。

▲O-JIRO(Dr)

──歌詞は共通したテーマはあったんですか?

HAKUEI:決め事はなかったんですけど、アルバムの場合、勝手にリンクしちゃうところはありますね。今回は「戦慄迷宮」が最初にできていたので、そこにひっぱられてアトラクションつながりでジェットコースターならぬ「Dead Coaster」の歌詞を書いたりとか。あとはアルバムタイトルが『Lunatic Lover』に決まってから、“1曲目を狂気的な愛”という意味の「Lunatic Love」にしたり、「月の魔法」という曲名にしたり、繋げるところは繋げたいというのはありました。

──そう思うと“100年後の君に 会いに行くから”と歌う「Stranger」もどこか繋がっているのかなと。

HAKUEI:「Stranger」はそこまで想定して書いたわけではないけれど、予想以上にこの曲が最後になってしっくりきたんですよね。そういう意味では不思議ですね。あとは今回、激しいアプローチの曲でも歌はそんなに激しくないんですよ。激しいアプローチの曲でもシャウト気味の歌い方はほとんどしてなくて。

──そうなんですよね。

HAKUEI:ニュアンスを大事にして丁寧に歌った曲が多いですね。フルアルバムだと歌い方にヴァリエーションをつけたくなってハードコアパンク的なアプローチをするかもしれないですけど、今回はそういう時期だったのかなと。いい意味でまとまりがある作品になりましたね。メロディも全曲ポップだし。

──歌詞でいうと「見えないナイフ」は今までと違う言葉使いだなと思ったのですが、これはチャレンジなのでは?

O-JIRO:確かに“見えないナイフがグサリ”とか、最初、耳だけで聴いた時に「これグサリって言ってるよな」って。そういう擬音語的な言葉が出てくる歌詞は珍しいですね。

HAKUEI:ジャンルって勝手にカテゴライズされちゃうじゃないですか。でも、この歌詞を書いた時はそういうこと考えたくないなと思ったんですよ。ロックバンドだからとか、ヴィジュアル系だからとか、男だからとか、カテゴリーに囚われがちなんですけど、そんなのつまらないなと思ったら新しい表現がフッと思い浮かんだ。“お願い神様 これアレかな?”っていうところだったりとか。曲自体、そういう言葉が合うようなフワッとした雰囲気だったので、書いてて面白かったですね。

──そういった意味では「瘡蓋」も歌詞に想像する余白がありますね。

HAKUEI:そうですね。この詞もジャンルに囚われずにメロディにフラットに向き合って書いた感じです。

──話を聞くとそれぞれが冒険しているんですね。ここからアニバーサリー第2弾に繋がっていくんでしょうか?

千聖:今、思いついたんだけど、コンセプトというか視点を変えて制作するというのも面白いですね。今までのルーティーンでの作品はある程度作ってきたので、角度を変えて作ってみるのもいいかもしれない。アルバム『瑠璃色のプロヴィデンス』に収録されている「記憶の固執~融けゆく時間~」という曲を作った時はダリの絵にインスパイアされたんですけど、JIROさんの作った「Lunatic Love」も映像を見て作ったって話だから共通したものがあるかもしれないし、「Stranger」は映画『マッドマックス』の影響もヴィジュアルコンセプトにあったりしたけど、そういう視覚からくる何かを見て曲を作るとか。

──なるほど。

千聖:いつもはタイトルも何も決まってないところから作り始めるんですけど、タイトルありきで作ってもいいし、さっきピンクフロイドって言ってくれたのもJIROさんが映像にインスパイアされなかったら、そういう感想じゃなかったかもしれないし。

O-JIRO:例えば空撮の映像を見ていると創作意欲が湧いてきたりとか、そういうツボみたいなものってあると思うので、もっとそのツボを明確にして作るのも面白いかもしれないですね。

千聖:テーマが空撮での映像を見てHAKUEIくん、JIROさん、僕が感じたことをくっつけて曲を作ってみるとか。TVの『笑点』じゃないけどお題があって作るとか、あえてそういうことをやってみるのもいいかもしれない。

HAKUEI:いいかもね。見えやすいかもしれない。

千聖:今回のミニアルバムは「戦慄迷宮」があったから、キレイな流れができたけどね。

HAKUEI:そうだね。奇しくも自然とまとまった。

──発想が尽きないですね。話を聞いているとPENICILLINは脳みそが柔らかいんだと思います。

千聖:でも、素晴らしいアーティストって例えばゴッホとかロートレックなんか短命で明らかに生命を燃やして描いたわけじゃないですか。「自分の身体よりこの絵が完成すればいいんだ」みたいな。それは極端な例だとしても、死にもの狂いでやらないと誰も納得しないだろうなというのもあるので。気楽にできた曲もアリだと思うんですけど、それは必死にやった分のお釣りかもしれないし。せっかく1度の人生なので。

──では最後に11月20日からスタートするツアー<WINTER TOUR 2016 Lunatic Lover>への意気込みをお願いします。

千聖:今回はミニアルバムなのでいろいろな曲を織り混ぜながら。

O-JIRO:セットリストの半分以上、旧曲もできるので。

千聖:それはそれで楽しみですね。あとファイナルの12月17日はHAKUEIくんの誕生日ですね。喉の手術をしてメンテナンスし終わった後のツアーだし。

HAKUEI:全然違いますよ。

千聖:長年使っていた楽器だからね。

──確かにそうですよね。

HAKUEI:前よりキレイに振動するし、喉に負担がかからない。全国、気持ち良く歌いに行きます! ファイナルはせっかくなので何か企画も考えたいし、これがPENICILLINの今年最後のライヴになると思うので思いきりやりたいですね。

取材・文◎山本弘子



■結成25周年アニバーサリー第1弾ミニアルバム『Lunatic Lover』

2016年11月9日(水)発売
【Type-A:CD&PHOTO BOOKLET】XNBG-10021 ¥2,800(本体価格)+税
【Type-B:CD ONLY】XNBG-10022 ¥2,500(本体価格)+税
1. Lunatic Love
2. 戦慄迷宮
3. Dead Coaster
4. 見えないナイフ
5. 瘡蓋
6. 月の魔法
7. Stranger

■<WINTER TOUR 2016 Lunatic Lover>

2016.11/20(日) 仙台 MACANA
OPEN 17:30 / START 18:00
(問)キョードー東北 TEL. 022-217-7788
2016.11/23(水・祝) 岡山 IMAGE
OPEN 17:30 / START 18:00
(問)夢番地 岡山 TEL. 086-231-3531
2016.11/26(土) 福岡 DRUM Be-1
OPEN 17:30 / START 18:00
(問)GreeN Musi TEL. 092-714-0230
2016.12/3(土) 柏 PALOOZA
OPEN 17:30 / START 18:00
(問)サイレン・エンタープライズ TEL. 03-3447-8822
2016.12/10(土) 大阪 Shangri-La
OPEN 17:30 / START 18:00
(問)夢番地 大阪 TEL. 06-6341-3525
2016.12/11(日) 名古屋 ell. FITS ALL
OPEN 17:30 / START 18:00
(問)ズームエンタープライズ TEL. 052-290-0909
■<WINTER TOUR 2016 Lunatic Lover FINAL & HAKUEI BIRTHDAY LIVE「SUPER HEART CORE ’16」>
2016.12/17(土) 渋谷 TSUTAYA O-EAST
OPEN 17:15 / START 18:00
(問)サイレン・エンタープライズ TEL. 03-3447-8822
▼チケット
スタンディング ¥6,500(税込/D別)
※ご入場には6歳以上からチケットが必要になります
・e+ http://eplus.jp
・ローソンチケット http://l-tike.com TEL.0570-084-003
・チケットぴあ http://t.pia.jp TEL.0570-02-9999

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